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繰り返し、積み重なって*
「ケイト様、今夜はこれを入れてみましょうか」
僕はにっこり微笑んで、ケイト様によく見えるようにそれを広げてみせた。
僕の手でベッドへ運ばれたケイト様は、僕の手元にある紐に球体がいくつも並びついたものを見て、ゆっくり瞬いた。
「え……入れる、って……どこ……ぁ……っ」
既に僕の帰宅時間に合わせて強制的に発情させられているケイト様は、理性を失いかけたとろんとした瞳を、それでも恐怖に揺らした。
聡明な彼には、これがどこに入れられようとしているのかが分かったらしい。
「や、やだ、セリク……。お願い、やめて……っ」
やめてくれと毎夜懇願するくせに、その身体はもうすっかり僕に慣らされて、僕の愛撫を受ける度、甘くねだるような声を漏らす。
僕は彼の身体を隅々まで優しく撫でる。
「あっ、んっ、や、あっ、んんっ」
最初はあれほど声を漏らす事を恥ずかしがっていたケイト様も、僕がそのお可愛らしい声をもっと聞きたいと繰り返しねだれば、おずおずとそれを僕に差し出すようになった。
純粋な彼は、その健気な様が、余計に僕をその気にさせるのだと知らないのだろう……。
ケイト様の後ろへと手を伸ばして、その入り口を指先で撫でさする。
「ふふ、もうこちらは欲しそうにお口をパクパクしていらっしゃいますね?」
「っ」
僕の言葉に、ケイト様のほんのりと染まっていた頬がカアっと赤くなる。
嫌悪感と悲しみを混ぜ込んだような表情で、ケイト様は唇を噛み締めた。
「そんなに強く噛んでは傷になってしまいますよ」
僕が唇を撫でると、ケイト様は悲しげに小さく首を振った。
この思い詰めたお顔を、今夜もすっかりとろとろに蕩かせよう。
そうすれば、快感に侵されてどうしようもなくなったケイト様は、きっとまた僕に縋り付いてくれる……。
そのあられもない姿を思うだけで、僕の中に無限に熱が湧く。
僕はケイト様の内側を魔法で洗浄すると、そこへ連なる球体の1つ目をあてがった。
「い、嫌だ、セリク……お願い、入れないで……」
涙を滲ませて懇願するその眼差しが、僕に助けを求めて縋り付く。
それだけで、僕の口元はどうしようもなく歪んだ。
「ほら、ひとつ目が入りますよ」
ぐい、と押せば、それは大した抵抗もなくケイト様の内側へと入り込む。
「ぅあっ。ぁ、ぁあ…………」
その声に滲む絶望が、僕を一層熱くする。
「2つ目も入れてみましょうね」
「や、やめて……セリク……っ、ぁあぁっ、ん……っぅ」
体内でカチャリとぶつかり合う球の振動を敏感に拾って、ケイト様の体が跳ねる。
「ふふ、気持ちいいですね。まだまだありますから、ケイト様の中にいくつ入るか試してみましょうね」
「あ……、や、だ、やめ……っ、やめて、セリク、お願い……だから……っっんんんんっっっ、あっ、あぁあぁっ、や、ぁあっっ」
3つ4つと入れてゆけば、次第に言葉は全て嬌声へと変わってゆく。
ああ、なんて愛らしいんだろう。
「ケイト様、大好きです……。ずっとずっと、僕だけのケイト様でいてください……」
僕はケイト様の耳元で、祈るように囁いた。
***
セリクは俺に何度も囁く。
ずっと一緒にいて欲しいと、ずっとそばにいるからと。
今日もセリクは俺の背中に抱きついたまま眠ってしまった。
俺は両手首と両足首をそれぞれ拘束されていたけれど、両手を揃えてなんとかセリクに布団をかける。
「僕が……ずーっと……、ケイト様の側にいますからね……」
眠りに落ちる直前まで、セリクはそう言っていた。
そうだよな……セリクはまだ知らないんだ。
こうやって囲って閉じ込めておけば、俺とずっと一緒にいられると信じているのだろう。
俺の姿はずっとこのまま……、セリクが死ぬ頃にだって、今からほんの40日分ほどしか歳を取らないのに……。
セリクの一生なんて、俺にとっては2か月にも満たないのに……。
もうそれなら俺は、いっそこのままセリクの一生に付き合ってやればいいんじゃないだろうか。
入学式やガイダンスには参加できなくなるだろうけど、土日を考慮すればギリギリ単位を落とすほどの欠席日数でもないのではないか?
最悪留年するとしても、俺の一年でセリクが救えるなら安いものだ。
……両親には申し訳ないが。
俺がずっとそばにいる事で、セリクをこれほど追い詰めてしまったことへの罪滅ぼしになれるなら、それでもいいかもしれない。
そんな風に頭では考えても、俺の心はそれを受け入れきれなくて、嫌だと泣き叫ぶ自分が心の中にいるのを感じる。
こんなのは嫌だ。
こんな風に毎日犯され続けるのは、耐えられない。
身体も心も、もう限界だと訴えていた。
身体中がまだ重くだるい。
けれど腹の奥にはまだ甘く痺れるような感覚が残っていて、それを感じずにいられない自分が、どうしても許せない。
ああ……、今頃ディアリンドは何をしているだろうか……。
ディアリンドの顔が見たい。
ディアリンドの声が聞きたい。
セリクに繰り返し犯される日々で、時々意識を飛ばしてしまうこともあり、俺にはもうあれから何日経ったのかも、正確にわからなくなっていた。
ただ、徐々に朝晩が冷え込むようになって、秋が近づいていることだけは分かった。
秋になると、ディアリンドはここを旅立ってしまう。
彼がいなくなってしまうことが、ここにいなくなってしまうことが、どうしようもなく心細い。
……助けに来てほしい……。
けれど……こんなに穢れてしまった俺を……ディアリンドにだけは知られたくない……。
彼はこんな俺を知ったら、どう思うだろうか……そう考えるだけで、背筋が凍りついてしまいそうだ。
セリクの留守中は、外からの音がまるでしないこの静かな部屋で、俺はずっと1人、両手足をソファーに拘束されたままで、何ひとつできることもないまま1日が終わるのを待っている。
そして、セリクが帰る頃には俺の身体は勝手に熱を持って、セリクの帰宅と同時に嬲られるのだ。
こんな毎日の繰り返しに、俺は気が狂ってしまいそうだった。
どうか、誰か……。
俺を……助けてください……。
祈る俺の胸に美しい青色が過ぎる。
彼に縋りつきたくてたまらない。
けれど、彼に助けを求める事が、怖くてたまらない……。
俺はいつまでもいつまでも堂々巡りを繰り返す心に疲れ果てて、涙で滲む目を閉じた。
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