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乱入*
「兄ちゃん待たせた! 無事か!?」
叫ぶようにして入ってきたのは蒼だった。
その後ろにはエミーとロイスもいる。
思わずそちらを見てしまったけれど、視線を戻せばディアリンドは俺の白濁をその美しい顔面で受け止めてしまっていた。
「ご、ごめんっ。俺が放してって言ったからっ」
すぐに浄化しようと手をかざした俺を止めたのは蒼だった。
「オレがやる」と言った蒼は、言葉通りに一瞬でディアリンドを浄化した。
俺とディアリンドをそれぞれ見た後で、蒼は「あー、服脱がしたのは紋を探したのか。一応着せようとした形跡はあるな。ディアに着衣の乱れは無し。な」と何やら口の中で呟いてから「……ふん。まあ及第点ってことにしといてやるよ」と告げた。
いや、何が……?
首を傾げる間にも、吐き出したばかりの熱がじわじわと体内に集まり始めているのを感じる。
っ、だからこれは一体……なんなんだよ……っ。
眉を顰める俺に、ベッドに乗り上げた蒼が近づく。
「蒼……?」
「ごめん兄ちゃん、ちょっと場所探すからな」
そう言って蒼は、俺の下腹部へと手を伸ばす。
俺の物の付け根から臍の方へ向けて、蒼の細い指が俺の腹の中を確かめるように、何度も押してゆく。
その度に、俺の口からはあられもない声が漏れた。
「あっ、あ、ん……っ、ぅあぁんっ」
どうしてかわからないけど、俺の身体はその刺激を酷く甘く受け止めてしまう。
顔も頭も茹で上がるように熱くなって、何も考えられなくなる。
「あーーーーー、ダメだこれは。兄ちゃんが色っぽすぎて、オレでも襲うって!」
何やら叫んだ蒼が精一杯深呼吸をして、意識を集中させようとしている。
……何……してるんだろ……。
蕩けた頭では、状況をまるで飲み込めない。
「んっっ、ぁああああっっ!」
押されたところが酷く熱くて、俺の腰が震える。
「ここだ」
蒼は短く告げると俺のそこへと浄化の力を注ぎ込んだ。
「っ!」
パキンと体内で何かが砕けた。
「くっそ、砕けた手応えはあんだけどな。腹の中に残ってんのかよ、悪趣味だな……」
蒼の額に汗が滲んでいる。
今の浄化は俺の見たことがない形のもので、結構複雑そうな術に見えた。
「中に……指突っ込んで掻き出すしかない……か……」
その言葉に、俺の内側が震える。
それはきっと、俺の身体が待ち望んでいた刺激なのだろう。
それをもらえれば、俺を蝕むこの熱も治まってくれるような気がして、俺は熱に浮かされたままに尋ねた。
「蒼……ナカ、に、入れて、くれるの……?」
「ぅあーーーーーーー、無理……」
蒼が頭を抱えて蹲った。
「オレ今ちんこついてたら絶対最後までヤっちゃう自信あるって!! あーくそ!なんでついてねーんだよ!! あっもしかしてそのための安全装置なのかこれ!?」
何の話だろう……。
「ってかディアはこれずっと我慢できてたとかおかしいだろ!? 何だお前ついてねーのかよっ!?」
「ついてはおります」
「あーーっクソ真面目が!! 兄ちゃん可愛すぎんじゃん!! 誰だよこんなとろっとろにさせたやつ!! アイツか!! くそっ!! やっぱあいつの記憶消してくる!!」
バンと扉を全開にして出ていった蒼の後を、ロイスが慌てて追いかける。
エミーはこちらと向こうを交互に見てから、扉の外へと姿を消した。
シン、と部屋が静かになる。
1人残ったディアリンドは俺にそっと近づいてから尋ねた。
「ケイト様……その内側に私が触れることをお許しいただけますか?」
ああ、ディアリンドがしてくれるんだ……。
それはどうしようもなく幸せなことのように思えた。
「ありがとう……嬉しいよ……」
ディアリンドは真っ赤な顔をして「誠心誠意努めます」と宣言した。
俺はふわふわしたままの頭で苦笑する。
彼が誠心誠意じゃない時なんてないのに。と。
リンはいつだってまっすぐで、不器用だけど、一生懸命で……。
じんわりと暖かくなる胸に、ドキドキする心臓が合わさると、なんだか堪らなくなってしまう。
「リン……好きだよ……」
自然と零れた俺の言葉に、リンは青い瞳を瞬かせてからうっとりと微笑んで「私もです」と幸せそうに答えてくれた。
…………あれ、今、俺……なんて言ったっけ……?
リンの指がそっと俺の中に侵入する。
「っあ!」
待ち望んだ刺激に、身体が芯まで一気に熱くなる。
俺を傷つけまいとゆっくり進むその指に焦らされて、俺は夢中でねだった。
「んっ、あ……っ、リン……っ、はや、く、もっと……奥……きて……っ」
切なくてたまらなくて、俺はリンに両腕を伸ばす。
青い頭を両手で抱き寄せると、リンの香りで胸がいっぱいになった。
「っ、ケイト様……」
俺の一番奥にリンの指が届く。
「ぁぁんっ」
奥に溜まった何かのジャリッという感触が、背筋をゾッと震わせる。
これがきっと、彼が掻き出そうとしてくれているものだ……。
リンは慎重に、俺を傷つけないように気を配りながら、俺の中からそれを丁寧に取り除く。
頭では分かっているのに、俺はリンの長い指にどうしようもなく感じてしまって、嬌声を上げ続けた。
じわじわと胎の奥に溜まる熱が、もう……もう限界で……。
「ぁ、ダメ、っ、イキ、そ……っっ」
俺の声にリンがピタリと動きを止めた。
「……申し訳ありません。もう……後少しですので……」
苦しげなその言葉に、俺は必死で息を整える。
そ、そうだよね。イッたらきっと、そこに溜まってるのがバラバラになっちゃうよね……。
肩で息をする俺の呼吸が落ち着くのを、リンは息を殺すようにしてじっと待っている。
蒼が浄化をしてくれてから、俺の身体は異様な熱を産まなくなった。
それでも、好きな人に優しく触れられて、感じるなと言う方が無理だ。
リン以外に頼む方が良かっただろうか。と一瞬考えてから、やっぱり触られるなら絶対にリンがいいと思う。
俺は、俺にされるがままに、頭を抱えられた姿勢でじっとしている彼の髪を愛しく撫でて、伝える。
「ん、落ち着いてきたよ。待っててくれてありがとう……」
リンはまたおずおずとその指を動かし始める。
その優しい刺激が、俺にはどうにもたまらない。
「っ、ぁ……っ」
俺は、なるべく感じてしまわないように、頭を使うことにする。
思ってもみないような反応をする自分の身体と、両手足に残る傷痕、それに蒼達の反応を見る限り、どうやら俺はこの3か月の間にちょっと悲惨な目に遭ってしまったようだ。
きっと、優しい彼らが俺の記憶を消さざるをえないと判断する程に、俺は心に傷を残してしまったんだろう。
彼らは今、俺に罪悪感を感じているようだ。
それが、俺に無断で俺の記憶を消してしまったことに対してなのか、俺に頼まれて消したのだとしてもそんな状況に陥らせてしまった事に対してなのかは分からないけど、それを俺が尋ねるのは多分、彼らの傷を開いてしまうことになるんだろうな……。
それならもう、俺はこのまま気づかないフリをしていよう。
俺が楽しそうにしているのが、一番、皆の心を癒せるみたいだから……。
リンの指がぐっと奥に触れて甘い痺れが背筋を駆け上ると、俺は喉を逸らして声を上げてしまう。
「あぁあっ、んんっ」
「す、すみませんっ」
リンが慌てて謝る。
「ぁ……、だい、じょ……っ」
いや、ダメかも知れない。
もう、こんな、優しく撫でられたら……っっ。
「ぁあんっ」
些細な刺激を拾って、俺の腰がビクリと跳ねる。
ぅぅ、作業してるリンのためにも、なるべくじっとしていたいのに……。
「もう少し……」
苦しげに囁いたリンが、最後のカケラを体外へと掻き出す。
「これで全部です。ケイト様、もう大丈夫ですよ」
ホッとすると同時に、リンの指を失ってしまったところが酷く寂しい。
どうしよう……。
これって、リンに続きをお願いしてもいいのかな……。
いや、リンはそんなつもりでしてたんじゃないんだから、やっぱりダメか……。
名残惜しい気持ちのまま、青い頭を手放す。
リンは顔を上げて、俺を見た。
「……ケイト様?」
「リン……」
「どこか、痛むところがございますか……?」
「ぁ……」
リンはこんなに真剣に俺を心配してくれてるのに、俺は何てことを考えてるんだろう。
「ううん、大丈夫だよ。ありがとう……」
俺の言葉に、リンは綺麗な眉を小さく寄せた。
「ケイト様、お考えのことがございましたら、どうか何でも私にお話しください」
「リン……」
リンは悔しそうに一瞬顔を顰めて、それから懸命に俺を見つめて言った。
「……私は残念ながらエミーやロイスほど察しが良くないのです。ケイト様……どうか私にそのお心を見せてはいただけませんか……」
そうか、リンは俺が遠慮した事に気づいたんだ。
でも、それが何だったのかまでは分からなくて……けど、そのままにしたくないって思ってくれてるんだ……。
「私はこれ以上ほんの少しも、一度だって、ケイト様を傷つけたくないのです」
リンのまっすぐな心に、じわりと胸が熱くなる。
この心に応えたい。そう思うのは山々なんだけど、こんなに大事に思ってくれてるのに、こんなこと……言ってもいいんだろうか。
俺は迷いながらも、おずおずと口を開いた。
「ええと……、正直に答えて欲しいんだけど、リンは俺に触るの嫌じゃなかった?」
「はい、お許しをいただき幸甚の至りです」
……いや、そこまで?
「じゃあもし、俺がもっと触って欲しいって言ったら……、触ってもらえる……?」
言いつつ、恥ずかしくなってきて顔が赤くなる。
うう、俺は一体何を言ってるんだ……。
「もちろんです、喜んで致します」
リンは心の底から嬉しいって顔をして笑った。
うっ。眩しい。
って、え、本当に?
俺の隣に膝をついていたリンが、もう一度ゆっくり俺の上に覆い被さってくる。
それだけで、俺の身体は期待に震えてしまう。
「今からで、よろしいんですか?」
律儀に尋ねるリンに、俺は染まった頬で頷く。
そこに飛び込んで来たのはロイスだった。
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