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濃紫の瞳*

セリクは熱い息を吐くとベッドから起き上がった。 ダメだ、このままじゃ寝られそうにないや……。 そっと覗き見ると、隣のベッドではアオイが寝息を立てている。 けれど、手には紙が握られたままだし布団もかけていない。 ケイ様ならこんな時、エミーがちゃんと寝かせてくれるのに。 アオイの従者は何をしてるんだろう。 布団をかけてあげようかと思ってから、それで目を覚まされてもマズイか、と思い直して、僕はトイレに向かった。 この数年はこんなことなかったのにな……。 なんだかここ最近、夜に体が疼いてしまう日が増えた。 まるでケイ様に拾われた頃の身体に戻ってしまったみたいで、何だかちょっと怖い……。 早く済ませて寝よう。 アオイに見つかったら、なんて言われるか分からない。 そう思っていたのに、寝ていたはずのアオイがいきなりトイレの扉を開けてきた。 鍵のかからないタイプではあったけど、ランプが持ち込まれてるんだから、誰かいるってくらいわかるよね? せめてノックくらいしないかな? けれど、文句を言おうかと見上げたアオイは、酷く冷たい目をしていた。 どうやら彼には僕の小さな声が聞こえてしまっていたらしい。 どれだけ地獄耳なんだよ。 「オレの兄貴を穢すのは、たとえ想像の中でも許さねーからな」 なんでだよ!! 想像の中でくらい、好きにさせてくれたっていいだろ!? なんでこんなこと叱られないといけないんだよ! でもそんな気持ちは言葉にはできそうになかった。 だって、僕がケイ様で抜いてたなんて……、ケイ様が知ったら、きっと軽蔑されてしまう……。 いやだ、そんなの……。 ケイ様に嫌われるのだけは、絶対に嫌だ……。 じわりと視界は滲むのに、それでも僕のものは立ち上がったままで、僕はどうしていいか分からなくなった。 「ご、ごめんなさい……。もう、しませんから、お願い……ケイ様には言わないでください……」 必死で頼み込む僕に、アオイは僕の目の前に手を出すと、バチンッと音を立ててデコピンを喰らわせた。 ……痛い。 だってそんな……お願いするのにタメ口じゃできないよ。 こんなの理不尽だよ……。 零れ落ちた涙が僕の脚にかかる。 アオイは僕の手首を掴むと「こっちにこい」と僕を引っ張った。 なんだろう。 アオイ怒ってたみたいだし、折檻されるのかな……。 13歳までの記憶が一気に蘇る。ぎゅっと身体に力が入る。 ケイ様に拾われるまで、痛い思いをするのは日常だった。 あんまり酷くないといいな……。 痕が残るとケイ様が心配するから。 アオイは僕を僕のベッドに連れ戻すと、そこに寝ろと言った。 大人しく寝てろってことなのかな。 そんなの、僕だって大人しく寝てられるなら最初からそうしたいのに、できないんだもん……。 涙を堪えながらベッドに上がると、続けてアオイまで上がってきた。 「え、なん、で……」 これが男なら僕のこと抱くのかなって思うとこだけど、アオイは女の子だ。 いや、身体は女の子だけど、心は男の子だから……? でも聖女様は穢れた事ってしちゃダメなんだよね? 「足開けよ」 アオイは無感情な声で要求する。 「う、うん……」 僕は言われた通りにする。 「オレがしてやる」 アオイの言葉に僕は目を丸くした。 なんでアオイが、わざわざ僕の手伝いをしてくれるんだろう。 「ほら、もっとしっかり開いて、オレによく見せてみろ」 言われて、僕は自分の足を両手で1本ずつ抱えて、アオイにお尻が全部見えるようにする。 「ナカは綺麗なんだろうな?」 「う、うん、洗浄魔法かけてあるから……」 「ふぅん。じゃあ浄化もしとくか」 アオイが僕のそこへと手をかざす。 白い光が僕の内側を残さず綺麗にした。 「濡らさなくてもいけるか?」 「あ、えっと……」 僕は、僕に入れようと構えられたその細い手に魔法で空中の水分を集めた。 「へぇ、便利なもんだな。じゃあ入れるぞ」 こくりと頷く、人に触れてもらえるのは本当に久しぶりで、嬉しい。 ゆっくりと僕に入ってくるアオイの指は、言葉よりずっと優しくて、僕は声を出さないようにするのが難しくなって、ギュッと唇を噛んだ。 「っ……、ぅ……」 アオイの濃い紫色の瞳は、暗い室内では黒っぽく見えて、ケイ様みたいだった。 「お前……、音消す魔法とかねーのかよ」 「あ、る……けど……」 「けど?」 それは空間にかける魔法だ。この部屋にかけても、アオイには聞こえてしまう……。 アオイは手を止めて僕の返事を待っている。 「アオイには、聞こえちゃう、よ……」 「別にオレにはいいだろ? こっちはぶち込むもんもねーのにつきあってやってんだ。声くらい全部聞かせろよ」 アオイの瞳がじっと僕を見つめている。 え……。 アオイは僕の声、聞きたいと思ってくれるんだ……? 昔の僕は体も細くて声も高くて女の子みたいだったから皆喜んでくれたけど、今の僕はすっかり男らしくなって、声だって低くなってしまったのに……。 「う、ん……、じゃあかけるね」 何だか、久しぶりに人に求められたようですごく嬉しい。 僕はドキドキする心臓にコントロールを乱されないように気をつけながら、慎重に魔法を使った。 魔法がかかり終わると同時に、アオイの指が動き出す。 「っ、あ……っ、んんっ」 切ない刺激がゆるゆるとお腹に溜まってゆく。 「あ、んぅ、も、もっと……奥、欲し……っ」 アオイの指は細すぎて、二本三本と数を増やしてもまだ圧迫感が足りなくて、僕は物足りなさに身を捩る。 奥が熱くて、ジンジンしてるのに、もっと……奥、触ってほしいよ……。 切なさに涙が滲む。 「オレの手じゃ奥まで届かねーな。手首まで全部入れてもいいか?」 「あ、もっと……おっきいの、ほしい……」 「んじゃ入れるぞ」 「お願い……、奥まで……僕を、ぐちゃぐちゃに、して……」 僕が必死にねだると、アオイは眉を顰めたまま口の端だけをちょっと上げた。 ずぶ、と入ってきた手に、僕は喉を反らした。 「ぁああああっ!」 「痛かったら言えよ」 「いたく、ない、すご、ぃ、気持ち、イイ……っ」 あ、アオイの、手が……僕の、ナカ、で……。 「あっ、あ、あああっ、ぅあん、んんっ」 ぎゅっと握り込まれた拳が、僕のナカを掻き分けて、あ、奥っ、そこっ! 「あ、あっ、そこ、気持ち、い、あぁん、もっと、もっと、ぅぅんっ」 ようやく届いた刺激に、お腹も背筋もぞくぞくと悦びに震える。 アオイは僕の奥を小さな拳で何度も叩いてくれて、僕はあまりに気持ちよくて、もっともっとと繰り返しねだってしまう。 「セリク……」 名前を呼ばれて、僕は快感にぎゅっと瞑ってしまっていた目を開く。 「今、誰にされてる? 言ってみろ」 「ア……アオイ、に……されて、る」 「そう、ほら、奥当たってんだろ?」 「うんっ、奥、あぁん、きて、る、ぅあっ」 アオイは確かめるように僕の奥をぐりぐりと刺激する。 「イイんだろ?」 「んっ、イイっ、すごく、イイよぉ……っ、ぁあんっ」 「次からは、1人でする時も兄貴じゃなくてオレの名を呼べよ……?」 「う、ん、アオイ……っ、アオイっっ」 震える唇で必死にアオイの名前を呼ぶと、まるでご褒美みたいにアオイが奥を強く叩いてくれる。 僕はそれが嬉しくて、すごく気持ちよくて、繰り返しアオイを呼んだ。 「あ、イク……、うあ、アオイ……っ、イク、イっちゃうぅ、ぅああんんっ」 「サッサとイけよ」 言葉は冷たいのに、アオイは僕に合わせてしっかり奥を押し込んでくれて、めちゃくちゃ気持ちいい……。 「ん、ん、んんーーーーーっ!!!」 「ったく、どんだけイくんだよ」 言いながら、締め付ける僕のナカをアオイが優しく撫でる。 「ぅあ、んっ」 それがどうにもたまらなくて、僕は身を捩る。 「んぅっ、ぁあんっ」 いつまでも快感が奥に溜まり続けて、内側がずっとアオイの手を締め付けてて、良すぎて、ずっと終わらなくて、……っ、あ、アオイ……、を、離したく、ない……よ……。 「ア……、アオ、イ……っっ」 滲んだ視界で求めたアオイは、僕を見てちょっとだけ笑ってくれたような気がした。

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