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【番外】キリアダンを出て、セリクの体調が戻ってきた頃の夜のお話*
◆◆◆◆
本編3巻終わり頃の『ご褒美』で約束していた蒼とセリクのご褒美R18シーンです。
興味のない方は飛ばしてもらってOKです。
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宿に入って、アオイは言った。
「お。ここベッド広いな」
たったそれだけの言葉に、僕の心臓がドキンと跳ねる。
勝手に期待してしまった自分がなんだか恥ずかしくて視線をうろうろと彷徨わせていたら、アオイがクルッと僕を振り返った。
長い紫の髪が揺れて、スカートがふんわりと翻る。
ほんのそれだけの仕草でも、アオイは最高に可愛い女の子だった。
「セリク、体調戻ったよな?」
「ぇ……」
アオイは僕が具合悪かったの知ってたんだ……?
「う、うん……」
「んじゃ、今夜はこないだのご褒美をやるか。……どうだ?」
アオイはそう言ってニッと男らしい表情で笑う。
こんなに可愛い女の子なのに、それでも僕にはアオイがカッコよく見えてしまう。
「うんっ、ほ、欲しいっ」
慌てて答えると、アオイは「夜にな」と僕の頭を撫でてくれた。
「アオイ様、お時間です」
ララ様に呼ばれてアオイは「おう」と部屋を出ていく。
もう夕食の後だというのに、アオイはまだこの後2カ所もパーティーに顔を出さないといけないらしい。
相変わらず聖女様は忙しそうだなぁ……。
誰もいなくなった寝室で、僕はベッドにころんと横になる。
どうしてなんだろう……。
どうして、あんな可愛い聖女様のアオイが、元奴隷の僕なんかを抱いてくれるんだろう……。
僕はしてもらうばっかりで、アオイに何も返せないのに……。
何か……。
僕も何か、アオイにしてあげられる事があればいいのにな……。
頬にサラリと何か冷たくて柔らかいものが当たる感触に、僕は目を開く。
いつの間にか僕は眠っていたみたいだ。
目の前には僕をどこか心配そうに覗き込んでいるアオイの紫色の瞳があった。
ああ、僕の頬に当たったのはアオイの髪だったんだ。
「セリク、疲れてんなら、もうこのまま寝とけ」
アオイはそう言って僕に布団をかけようとする。
僕は慌てて跳ね起きた。
「えっ、や、やだやだっ、ご褒美くれるって約束だったじゃんっ」
焦る僕をみて、アオイが堪えきれずに笑った。
「ふっ、く、はははっ、ったく、どんだけ欲しがりだよ」
僕は、クククって悪い笑いをするアオイしか見たことがなかったので、驚いた。
アオイって、こんな風に笑うこともあるんだ……。
「んじゃ、してやるから準備しな」
アオイはそう言って男らしく笑った。
「う、うんっ」
僕が遮音魔法を部屋にかけたり、洗浄魔法でナカを洗ったりしていると、アオイが何か見慣れない魔法を使っている。
あれはなんだろう。
服を全部脱いだところで手招きされて僕が顔を寄せると、アオイが僕の顎を掴む。
アオイの顔まで引き寄せられて、そのまま唇が重なった。
せ、聖女様とキスなんて……していいのかな……。
こないだの馬車でも急にキスされて驚いたのに、今度はなんか……長いっていうか……。
え。
唇の間にアオイの小さな舌が割り入ってくる。
歯列をなぞられて、僕は迷いながらも口を開ける。
いいのかな……、だって……相手は聖女様なのに……。
開いた口に、アオイが小さな唇をぎゅうっと押し付けてくる。
アオイの舌を伝うようにして、なんだか甘いものがとろりと僕の口の中に流れ込んでくる。
アオイの唾液……?
にしては、なんか、甘…………、っ!?
コクリと飲み込んだ途端、喉が焼けるように熱くなる。
え、何これ、お酒……!?
「んっ」
顔を離そうと思うのに、アオイはがっしりと僕の頭を掴んでいて離す気がない。
「んんーっ!」
ぼ、僕まだ未成年だよっ。
っていうかアオイも未成年だよね!?
アオイは僕の口の中で「飲め」と指示した。
うう、これは飲むまで離してくれそうにないな……。
アオイが注いでくるその甘い何かを、僕は仕方なく飲み込んだ。
ようやく口を離されて、僕はげんなりしながら尋ねる。
「なんなのこれ……」
「オレの魔力を込めた唾液だよ」
「なんでまた……」
「に、ちょっと細工してある」
「……どんな細工なの……?」
僕の視線に、アオイは怯むどころか悪戯っぽく笑って言った。
「うまくいってりゃ、そのうちわかんだろ」
「えええ、どういうこと……」
「騎士のやつらが話してたの聞いたんだよ」
「それ絶対盗み聞きでしょ……」
僕の言葉にアオイは悪びれもせずクククと笑う。
それから、アオイはいつもみたいに両手を浄化してから僕に触ってくれた。
アオイの細い指が僕の首筋を撫でる。
「っ、ん……っ」
それだけでゾクゾクと背筋が震えてしまう。
アオイの手が僕の身体をあちこち撫でてゆく。
っ、なんかおかしい、こんなに気持ちいいなんて……。
「ぅ、あ、っ、んんっ、な、なに、これ……っ」
ただ優しく撫でられてるだけなのに、ゾクゾクする強烈な感覚に腰まで跳ねてしまいそうだ。
息も急激に上がって、心臓がバクバクいい始める。
「や、ぁ……っ、変だよ、これっ、なに……!?」
「ククッ、効いてるみたいだな」
アオイの満足げな声に、仕掛けとやらの効果を知る。
「さ、催淫、魔法……っ?」
「はぁ? そんなんじゃねーよ。ただちょい感度上げるだけの……ん? それってそーなるのか?」
考え込む様子のアオイが手を止めた隙に、僕は息を整えながら言う。
「……アオイ、こういうのは……双方の合意がないとダメなんだよ……?」
「双方の合意……?」
ヒヤリと冷たい声。
アオイは僕を睨んでいた。
「どの口が言うんだよ」小さな呟きはアオイの口の中で噛み潰された。
アオイのまとう空気が急激に剣呑なものとなる。
ああ、それは……、僕が覚えていない間の僕がしてしまったことだったのか……。
それに気づく度、僕はどうしたらいいのか分からなくなる。
僕がそんな、ケイ様を傷つけるような事をするだろうか。
僕はあの人にはずっと笑っていてほしいのに。
それでも、ここまでに気づいた全てを合わせると、そんな答えにしかならなかった。
せめて僕とケイ様が一緒に別の誰かに捕まってそういう目に遭ったとかならよかったのにな……。
けど、記憶を失った後でエミーやロイス達に警戒されていたのは僕だった。
「ねえアオイ、教えて……?」
僕はアオイに縋り付く。
だって、このままでは僕はずっと償いすらもできないじゃないか……。
「僕は……ケイ様に何をしてしまったの……?」
アオイの紫の瞳が大きく揺れた。
気づいてたのかよって、そんな風に。
「……アオイ……、僕は……」
「うるせぇよ。テメェは大人しくオレに抱かれときゃいーんだよ」
アオイはどこか苦しそうにそう吐き捨てると、僕の口を塞いだ。
小さなその唇で。
……そんなのおかしいよ。
だってそんなの……。
僕は、アオイにとって殺したいほど憎い相手のはずじゃないか。
なのに、どうして……。
「ぅ、ぁあっ」
強烈な快感に、思考が一瞬で霧散する。
アオイの両手は僕の身体の上をバラバラに這い回っていた。
「ぁっ、あっ、ああんっ、はぁっ、や、これ、こんな、の……っ」
僕の飲まされた小さな魔法術式は、アオイが魔力を込めて触れた部分へ内側から引かれるようにしてその刺激を何倍にも増やしていた。
外側に呼応して内側からも暴かれるような、その未知の感覚がどうしようもなく甘く響いて、僕の奥がぞくぞくと疼く。
ぽわ、と下腹部にあたたかなものを感じて、ぎゅっと閉じていた目をそうっと開く。
アオイは僕の後ろだけでなく前にも浄化をかけていた。
そのままアオイの手はぎゅっと僕のそれを掴む。
「ぁぁああああっっ」
ビクビクっと腰が揺れてしまう。
に……握られただけ、なのにっ……。
も、もう……イキそうだよぅ……っ。
「は、あ、あぁぁああんっ!、やぁぁっ、ぁぁぁんっ」
優しく扱かれるだけで酷く感じてしまって、あられもなく身を捩る僕に、アオイは耳を寄せて低く囁く。
「ほら……、合意しろよセリク」
「んっ……、ぅあっ、んんっ」
「お前、オレの手でぐちゃぐちゃにされたいんだろ?」
その言葉にどろりとしたアオイの欲を感じて、僕の背筋は震えた。
あ……、アオイの声が……、僕の中に入ってくる……。
僕の心が……アオイの声にゾクゾク震えて……。
まるで……、心を直接撫でられてるみたいだ……。
「言えよ。オレになら何されてもいいって」
「ぁ……っ」
アオイは手を止めていたのに、僕はアオイの声に腰を揺らしてしまう。
「……っ、いいよ……、僕、は……」
上がりきった息を必死で抑えて僕は伝える。
「アオイに、だったら……何、されてもいい……っ」
僕の言葉に、アオイは半月のような笑みを浮かべる。
「……これで合意だな?」
アオイの手が一気に動き出す。
途端に、僕はその強烈な快感に突き上げられて達してしまった。
「ぅっ、あっ、あっんんんんんんっっっ」
アオイは僕のでぬるぬるになった手のまま、僕の後ろにその手を滑り込ませる。
ずぶ、とアオイの手が僕の中へと入り込む。
僕に分かったのはそこまでで、その先はあまりに強烈な快感に何もかもが分からなくなった。
僕はただひたすらにアオイの名を呼んで、身体と心の全てでアオイに縋り付いていた。
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