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昨夜のこと(2/2)*

 ***  リンは、俺の今までの傷を一つずつ辿っては唇を寄せた。  そうして、悔しくてたまらないって顔をして、俺に謝罪した。  そんな、全部が全部リンのせいって事じゃないんだし、リンがそこまで悔しがる必要はないのに。  それなのに、俺を守りたくてしょうがないってリンの気持ちが嬉しくて、俺は自然と微笑んでしまうんだ。  あのね、リン、俺もリンのことが大好きで、リンのこと守りたいと思ってるんだよ……?  リンは俺に愛の言葉を囁きながら、深く口づけてきた。  俺はリンの中に舌を滑り込ませて、愛を込めてリンの内側を撫でる。  最初は俺が舌を入れただけであんなにびっくりしていたのに、リンは俺の舌を器用に包んで優しく擦ってきた。  舌同士がぬるりと絡み合う感触に、ぞくぞくと背筋が震える。 「んぅ、っ、ぁ……っ」  我慢できずに声が漏れると、唇は離れてしまった。  俺が口端から零してしまった唾液をリンが舐め取る。  それだけじゃなく、ちゅっと音を立ててから唇を離す。 「……っ」  リンは、音を立てる方が俺がより感じると気づいたようで最近はこんな風にわざと音を立てて俺に口づけるから、ドキドキし過ぎて困ってしまう。 「リン……お願い……」  俺はさっきからずっと、リンが贖罪の思いで触れる刺激に甘く優しく高められていて、早く欲しくてたまらないのに、リンの重い雰囲気から中々言い出せないでいた。 「ナカに触って……」  真っ赤になりながらも伝えると、リンは優しく微笑んで、すぐに香油を手に取り俺の内側へと指を挿し入れる。 「あ、あ、ぁ……っ」  待ち望んでいた刺激に、身体中が震えてしまう。 「うぁ、ぁっ、ぁあん……っ」  うう、リンの指が気持ち良すぎて腰が勝手に揺れちゃうよ……。 「ぁ……、早く……ぅ、もっと、奥に……っ」  リンは鮮やかな青い瞳を細めて、2本3本と指を増やしてくれる。  ゆるゆると俺の内側を撫でるその指に、甘い刺激が溢れ過ぎて、もう……っ。 「んっ、もう、……そん、な焦らさないでぇ……っ」 「焦らしているつもりはないが、ケイトを傷つけたくない……」  真面目に答えるリンの首に腕を回して、俺は必死でリンを求める。 「わかってる、けど、もう、……っ」  お腹の奥が、もう、気持ち、良すぎて……っ、耐えられない、よぉ……っ。  リンの指がっ、俺のいいとこばっかり、擦るから……っ! 「あ、ぁぁっ、ん、あ、あ、っんんんっ!!」  ぎゅっと閉じた瞼の裏が真っ白になって、どうしようもなく全身の力が入る。 「……っっ」  リンが、ちょっと驚いた様子で動きを止める。  うう……こんなのやだよ……。  リンに入れられる前に1人でイっちゃうなんて……。  まだ、リンのものは取り出されてもいないのに……。 「ケイト……?」  聞かないでよ、そこはもう、聞かないでいてよ……っ。  あ、今の、俺、前から出てないのか、だからリンが不思議そうにして……。  って俺……、ナカだけでイったってコト……?  え、これって男としていいんだっけ……?? 「ん、こん、な……ぅあ……ん……っ」  返事をしようと思ったのに、俺の身体は甘く優しく愛された熱の余韻にまだビクビクと震えていてうまく話せない。  リンが俺の様子に口元を緩めてまた手を動かし始める。 「や……、ぁ……っ、リン……っ、もういれてぇ……っ」 「だが、もう少し解した方が……」 「んっ、もうっ、とろとろだからぁ、ん……っ、おねがい……っ、リンのがほしいんだよ……っ」 「ケ、ケイト……っ」  ピタとリンが動きを止めて、そっと指を抜き取る。 「……ん……っ」  潤んでよく見えなくなった目をゴシゴシと擦れば、リンは顔を赤くしていた。  ……なんで、だろ……。  俺、なんて言った……?  熱にふわふわと浮かされた頭はろくに動かないままだ。  リンは最初あんなに無知だったのに、俺の様子をよく観察して判断できる頭と、俺の為ならいくらでも手間をかけられる気質が重なって、今ではすっかり俺の方が翻弄されてしまっている気がする……。 「待たせて、すまなかった……」  リンが熱い息を吐き出すようにして謝罪すると、俺の両足を優しく持ち上げる。  俺の後ろにリンの熱が香油を纏ってぬるりと触れると、俺の身体は期待に震えた。 「あ、リンの……うれし……い、あ、ぁああっ」  相変わらず、リンはそうっと優しく侵入してくる。  それでも、鮮烈な熱と重量にバクバクと心臓が早くなる。 「はや、くぅ……っ、おくまで、きてぇ……っ」  上がる息の合間で必死にねだると、やっとリンが少しだけ速度を上げた。 「あっ、やだ、もっと、……っはげしく、して……っっ、おねがい、リン……っ」  思わず腰が揺れてしまう、そこでようやくリンが大きく動き始めてくれる。 「あんっ、そこ、あぁあんっ、イイ……きもちいい、よぉ……っ」  俺の身体が、もっともっととリンを奥まで欲しがる。 「もっと、つよくして……、リンっ、リン……っおねがい……っ」  俺は両腕と両足で必死にリンにしがみつく。 「ああ、ケイト……どうしてそんなに愛らしい事を……っ」  リンが俺のすぐ横で何か言うけれど、もう俺にはよく分からない。 「や、イっちゃう、ぅ、また、イっちゃ、あっあぁあっ、おれだけは、やだ、やだよぉ……っ」  快感に感情までもぐずぐずに蕩けて、滲む涙でリンが見えなくなってしまう。 「や、あ、っ、おれ、リンを、あぁっ、リン、を、きもちよく、っしたいのにぃ……っ」  必死で首を振って快楽に抗う俺に、リンが顔を寄せて囁く。 「私も感じている……、ケイトを、これ以上ないほどに……」  どこか苦しそうな切ないリンの声が、たまらなく色っぽい。 「ぅ、あんっ、リン、リンっ!」 「ケイト……愛している……」  リンのたっぷり愛の籠った言葉に、カアッと頭が熱くなった途端、俺の内側がぎゅうっと力強くリンを絞った。 「ぁ、あぁあぁぁっ、イク、ぅ、んんんんんんっっっ……っ、んんんっっ!!」 「ケイト、私も……っ」  リンの低い声が唸る様に告げて、ぐんと速度を増す。  ひと回り大きく硬くなったリンのそれで、ぎゅうぎゅうと締め付け始めた俺の中を力強く突き上げられると、溺れそうなほどの快感に、俺は息すらできなくなった。 「んんんーーーーーーっっっっ………………っっ、……っっっっっ!!」 「くっ……」  リンが喉の奥で息を堪えたような音がして、俺の中にリンの熱い愛が勢いよく注がれる。  ああ、俺の中に広がる……。  リンの、俺を好きって気持ち……。  熱くて、すごく気持ちよくて……。 「ぁ、はぁ……っ、あ、リンの……、もらえ、て……、うれし……ぃ……っ」  俺は息を懸命に取り戻しながら、内側に熱く広がるリンの強い愛に、幸せを身体中で感じていた。  ***  その後も、リンは俺が求めるだけ、何度も繰り返し俺に応えてくれたんだよね……。  リンはずっと優しくて、でも俺を貫く愛は全然衰えなくて、俺が激しくしてってお願いするといくらでも力強く俺を抱いてくれて……。  本当に……リンからは体力の底を感じなくてすごい……。  できれば途中に何度か回復魔法をかけてあげたいと思うんだけど、俺、最中は頭がふわふわに蕩けてしまうので、最後か翌朝にしかかけてあげられないんだよね……。  なのにリンはちゃんと今朝も俺より早く起きてるんだよ。  寝る前にも俺の身体を全部綺麗にしてくれるし……。  申し訳なくて「ごめんね」っていつも言うんだけど「役得です」ってニッコリされちゃうと、そうなのかなぁ……よく分からないなぁ……と思うしかなくて……。  ああ、でも本当に、昨夜のリンは熱くて強くて、優しくて……かっこよかったなぁ……。  そんなことを思い返しながら、リンのいつもより鮮やかな青い瞳をうっとり見つめていると、リンが困ったような声で言った。 「……っ、ケイト様……」 「うん?」 「穴が空いてしまいます……」  それって、俺がリンを見過ぎって事? 「ダメだった?」 「……外では、そのお顔は、少し問題が……」  あ。俺……?  俺の顔が問題だったの……?  俺……そんなにリンの事好きだなぁって顔してた……?  うわ……本当に……?  それはちょっと、ごめんなさい……。  顔を覆った俺にリンが小さく頷いた。  でも、その青い瞳はどこか幸せそうだ。  今、リンの大きな手のひらで隠されているリンの口元は、もしかしたら綻んでいるのかもしれない。  ……リンも、俺のこと好きだって顔してるのかな……?  だったら、嬉しいな……。  まあ、ちょっと……、屋外では、恥ずかしいけどね……。  俺達が揃って真っ赤な顔でちょっと俯いて歩いていると、向こうから来たヒアッカが俺達を指差していきなり大爆笑した。 「ブフッ、なん……っ、ブハッ、なん、でそんな真っ赤……っ、ブクククッ」  大爆笑のヒアッカは、そのままお腹を抱えて膝から崩れ落ちてしまった。 「し、し、し、しかもっ、ブフォッ、2人揃ってって……っっ、っっっ、っ、ヒィィ、は、腹イテェ……っ、こっ、こんな時間からっ、何、してたんスかっっ」  下から見上げてくるヒアッカの視線に、俺は不服だぞって態度で返事をする。 「何にもしてないよ。ただ、リンがかっこいいなぁと思って、じっと見てたら、リンが赤くなっちゃって……」 「ちょっ、お二人っ、ブハッ、ピ、ピュア過ぎっス!!」  いや、多分ヒアッカが思うほどピュアではない。  昨夜の事を思い出していたのは、きっと、俺だけじゃなかっただろうから。  ヒアッカは、いつまでも笑いが止まらないようでヒーヒー言いながら完全に蹲ってしまった。  初めはゲラゲラ笑われてムッとしていた俺も、ここまで息を引き攣らせてる姿を見てると、だんだんヒアッカの呼吸とか腹筋の方が心配になってくるな……。 「えっ!? ヒアッカ!? どうしたの!?」  そこにテントの並ぶ方向からクロイスが駆け寄ってくる。  その足取りは昨日より随分としっかりしていた。 「クロイス、体調はどう?」 「ケイト様っ」  クロイスは俺にきちんと挨拶をしてから「ヒアッカはどうしたんですか?」と問う。  俺達の様子から、急を要するようなことではなさそうだと判断したらしい。 「ヒアッカは俺達を見るなり笑い出したんだよ、まったく失礼だよね」 「えっ、それは、はい……」  俺達は、まだ立ち上がれそうにもないヒアッカを、よく分からないという顔をしたままのクロイスに任せて、さっさと馬のところへ向かうことにした。

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