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CPで推せる!

 〈引き続き柱の中の人、一ノ瀬 六花視点〉  芦谷君に優しく問われるままに、私はどんな経緯でここに入れられたのか、元の世界ではどんな風に暮らしていたのかをペラペラペーラペラペーラと喋りまくった。  元々お喋りが好きで接客業を希望したタイプの人間なのよ私は!  母にも「あんたは口から生まれてきたに違いないわ」って言われてるからね!?  いや口から生まれるってどんな体勢よって思わなくもないけどね!?  ていうか話してたら久々にちょっと色々思い出してきたわぁ。  店はあれからどうなったのかしらねぇ。  急に私が蒸発したら、会社もデパートもバイトさん達も皆困っただろうなぁ。  両親はどうしてるかしらね。  私が一人暮らししていたアパートの賃貸契約はどうなったのかしら。  願わくば、私のお宝BLコレクションが捨てられていない事を祈るのみだわ……。  芦谷君は、私の話をうんうんと頷きながら親身に聞いてくれて、上手に相槌を入れてくれる。  まあ、この子すんごい聞き上手ね!?  いくらでも話せちゃうんだけどっ!?  18歳だという芦谷君は、私の事をここから出して向こうの世界に連れて帰りたいと思っている事、でもすぐにはそれが叶わない事を順序良く話してくれる。  私がなるべく不安にならないようにと気を遣いながら。  『必ずまた会いに来ますね』と優しく微笑む芦谷君は、頼もしいのにキュンとくる可愛さがあって、なにこれ萌えるわ、彼なら単体でも推せる!  と、思ったその時、奇跡は起きた。  芦谷君の隣に、青髪青眼の異世界風超絶イケメン騎士が現れた。 『わぁ、リン入ってこれたんだ』 『すまない、遅くなってしまった』 『ううん、来てくれて嬉しいよ』  そう言って見つめ合う2人はどう見ても……、どう見てもそういう空気じゃない!? コレ!!  待って、なにこれ、私の供給不足が生んだ幻!? 『……けどリン、無理してない……? 大丈夫……?』  そう言って、芦谷君は心配そうにイケメン騎士の頬をそっと撫でる。  おわぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!  眼福!! 眼福ですっ!! 『ああ大丈夫だ、問題ない』  ここまでクールな顔をしていたイケメン騎士が、初めて小さく微笑んだ。  ぐはっっ…………っ!  あまりのイケメン微笑っぷりに心臓が爆散する!!!  こ……っ、これは、間違いない……っ!  普段笑わない系の、氷の何とかとかそういうタイプの騎士だ……!  しかもそんな氷の騎士が、真に愛する人にだけ見せる系レア微笑……っっっっ!!  息も絶え絶えの私に、芦谷君が説明する。 『あ、突然ごめんなさい、この人は俺の護衛騎士、ディアリンドです』  紹介されて、青髪のクールイケメン騎士が騎士っぽい礼をする。 『ディアリンドと申します、お話中に大変失礼致しました』  ほあああああああああ……。  騎士っっかっこよ……っっっ!  ディアリンド……って、じゃあ、さっきのリンって言うのは、愛称なんですねぇぇぇぇぇ!?  その名前の中で、そんなとこ取っちゃうの!?  えっ、それってめちゃくちゃ甘くない!?  もうドチャクソにラブラブぽくない!? 『一ノ瀬さん……?』  芦谷君に尋ねられて、私は思わず涎が垂れていないか口元を拭ってから口を開く。 『騎士のお兄さんイケメン過ぎますね!』  あ。ごめん間違った。本音がダダ漏れた。  そんな私にドン引く事もなく、芦谷君は少しだけ頬を染めて笑った。 『ですよね、本当にかっこいいですよね……』  なにそのふにゃっとした照れ笑い、可愛い超えて尊いんだけど!?  っていうか騎士さん褒めたら芦谷君が照れるの!?  それってどういう事なのか140字以内で教えてもらっていい!?  しかもそのまま騎士さんの顔を見上げて、うっとりした顔になっちゃったんだけど!?  もうそれ恋する男子の顔でファイナルアンサーだよね!?  ごめん……、ごめんっ!  もーーーどーーーしても聞かずにいられなくてごめん!! 『ちょ、ちょっといい!?』  私が手招きをすると、芦谷君はちょっとキョトンとした顔をしてから、素直に私に顔を寄せてきた。  おおおお、18歳男子可愛い。素直可愛い。  デパ地下に一番来ない年代なんだよねぇ、10代後半男子って。  今まではそれでも通勤電車内で摂取できたんだけど、最近は本っっっ当にご無沙汰だったからなぁ。  私はしみじみと至近距離の18歳男子を堪能しながら、口元を手で隠して耳打ちする。 『あの、違ったら悪いんだけど、芦谷君って、もしかして、騎士さんの事好きだったりする……?』  途端に、ボンっと音でも出そうなくらいに芦谷君の顔が真っ赤になる。  うわぁぁぁぁぁぁぁ可愛いいぃぃぃぃぃぃぃぃっ!!!  耳まで赤い!!  ピュアッピュア!!  可愛いが過ぎる!!!!!!  芦谷君の赤面顔を有難く拝んでいると、不意に芦谷君が青いマントに隠される。  え。  騎士さんが芦谷君の肩を抱き寄せて、マントで赤面顔を隠してしまっている。  深い青色の瞳が私を気持ち睨んでるんだけど、なにこれなにこれ騎士さんの嫉妬!?  はー……もう最高かよ……。  芦谷君の赤い顔を、人に見られたくないと……?  自分以外の人に見せたくないと、そういう解釈でよろしいですか? よろしいですねっ!?  ドチャクソ美味しいんですが!?!?  あっでも待って!?  芦谷君、騎士さんの腕の中で暴れたりしないんだね!?  それって、それ……、その、嫉妬には慣れっこ的な……?  騎士さんを落ち着かせるために、ここは腕の中におさまっておこう的な?  えっ、じゃあ2人は、その距離がデフォルトだったりするって事……!?  もーーーーーーーっ夫婦かよっ!!!!!!!!  これは……アリってことよね……?  この2人で十分、R-18展開が望めるって事ね!?  そうよ、18歳なら合法じゃないの!!  ここはやっぱり芦谷君が受け……?  いいえ、そこを決めつけるのはまだ早いわ!!  せっかくの久々BL供給、可能性は無限大にしておきたいじゃない!! 『リン、大丈夫だよ。……ちょっと離してくれる?』  芦谷君の言葉に、渋々ながらも騎士さんがマントを下ろす。  ――けど離さないのね!?  騎士さんの片腕がしっかり芦谷君の腰をキープしたままなんですけど!?  しかも芦谷君が全然その点を気にしてなさそうなんだけど!?  やっぱり2人の距離って普段からそうなの!? 『あの、ええと……、その……』  芦谷君がもじもじしながら私に何か言おうとしてくれるので、私はビシッと手を突き出して止めた。 『大丈夫っ! 返事は不要よ!!』  もうここまでで十分察したから!  これ以上の言葉は野暮というものよ!  芦谷君は、私の言葉に優しい色をした瞳を瞬かせて、それからニコッと微笑んだ。  うっっっ。  その健気儚い笑顔、キュンとくるわ……っっ! 『私、2人のこと応援してるわっ! 1年くらいは寝ないで余裕で待てそう!」  私の宣言に、芦谷君は言う。 『一ノ瀬さんの体感1年だとフロウリアでは730年ですね。そんなにお待たせするつもりはありませんが、一ノ瀬さんが元気になってくれて、本当によかったです』  ふわりと花が綻ぶような幸せ満開の笑顔に、芦谷君の周りまでがキラキラと輝く。  あーーーーーっっっやっぱり芦谷君は天使!!  翼と輪っかが幻視できる!!  イイ…………、イイわぁ…………。  天使系健気優しい平凡男子と、クーデレ執着イケメン騎士様ね……?  しかも護衛って事は、身分差とか主従とかも盛り込めるのね!?  CPで推せる!!!!!!!!!!  そこでふと、私は気づいてしまった。  最初に聞こえた声と、この騎士さんの声はまるで別物だったと。  芦谷君に聞いてみたら、すぐ外に赤髪赤眼の細身の18歳騎士さんと、その子と手を繋いでる金髪碧眼の15歳の見習い騎士さんがいるっていうじゃない。  ……手を、繋いでる……?  15歳男子と18歳男子が……外で……手を繋いでいる……!?  何故に!?  私はついつい欲望に負けて根掘り葉掘り2人のことを聞き出してしまったわけ。  そしたら2人は友達以上恋人未満って感じみたいで、一昨日は急に飛び出した赤髪の子を金髪の子が追いかけたりしたとかで、これは……展開的に一番美味しいとこじゃない……っっ。  ああああこっちの青春BLCPも推せる!!!!!!!!!!  私は思わず宣言し直したわ。 『芦谷君達のおかげで、あと2年は楽しく待てるわ!』

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