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カラサディオが19歳になった日の、夜(2/3)*

 〈カラサディオ視点〉  私よりずっと太いダリスの指が、2本、3本と私の内側へ入り込む。 「ぅ……、ぅぅ、……っ」  ズリズリと進む動きに、度々息が詰まった。  異物感と排泄感のようなものがずっと続いていて、私はぐっしょりと嫌な汗にまみれていた。 「そろそろ、いいか……?」  ダリスの小さな呟きにゾッとする。  私の腰を抱え上げているダリスの足の付け根には、嫌でも目に入ってしまうほどに大きなモノが立ち上がっていた。  それ、を……、本当に、ダリスは私に入れようというのか……。  そんな……凶悪なサイズの……それを……?  ダリスのモノは私のよりひとまわり以上大きく、さらには力強くそり返っている。  もうずっとダリスの割れた腹筋に当たり続けているせいで、ダリスの腹筋は先走りに濡れて暗い部屋の中でもてらてらと妖しく輝いていた。 「無理だ! そんなの大き過ぎる!」  私の必死の訴えにも、ダリスは黙って口端だけを上げるだけだ。 「まっ、待ってくれ、ダリス!」  おもむろに指を抜かれて、排泄感が込み上げる。 「っ」  ダリスは暗く据わった瞳で私を見下ろして尋ねた。 「待てばいいのか? やめろとは言わないのか?」  そんな事……、やめろと言ってやめてくれるなら、お前はもうとっくにやめているだろう? 「……言っているさ、お前が流しているだけだろう」  私の言葉に、ダリスの元々厳しい眉がグッと寄せられた。 「カラサディオ……。本当に、嫌か? 俺に抱かれるのは……」  そんな、泣きそうな顔をするなんて卑怯だ。  ここまで力尽くで強引に進めておきながら、ここへきて、最後の最後に私に選ばせるなんて。  全てを力尽くで奪ってくれたなら、私は全部お前のせいにできるというのに。 「……こんな事が父上にバレたら、お前はクビどころでは済まないぞ」 「俺を伴侶にしろと言っているわけじゃない。侍従が主人の閨の世話をするのは珍しい事ではないだろう」 「それならお前が私に抱かれるべきではないのか?」 「カラサディオが望むなら、俺はそれでも構わない」  躊躇いなく返された言葉に、私は目を見張った。  私が抱いてもいいのか。  この、強く一途な男を……。  私の手で、ダリスを存分に乱しても良いと……?  ドッと全身の血が沸くような感覚に、心臓が苦しくなる。  ダリスはそんな私から一瞬も目を離さずに、灰色の瞳に劣情を滲ませて、掠れた声で乞うた。 「だが、今夜は俺に抱かせてほしい。お前が欲しくて欲しくて、たまらないんだ……」  私を必死で求め縋るその声に、くらりとめまいがする。  お前は……、どうしてそう、可愛い事を言うんだ。  いまだかつて、私はお前の本気のお願いを断れた事があっただろうか。  幼い頃から数知れず繰り返されてきたダリスの願いが、小さなものから大きなものまで次々と浮かぶ。  あれが食べたいとか、あの剣が欲しいとかあの鎧が欲しいとか、結局私はダリスがどうしても欲しいというものを、与えずにいられた試しがなかった。  きっと今回もそうなんだろう。  どんなにここで長く迷ったとして、私の出す答えはきっと同じなのだ。  私は諦念に至ると、ふぅと大きく息を吐いた。 「……仕方がないな」  途端、ダリスに喜びが滲んだ。  待て待て、まだ私の言葉は終わっていないぞ。 「今夜は私が抱かれる事にしよう。ただし、次回はお前が抱かれる事。これでいいな?」 「ああ、約束だ!」  無邪気に破顔するダリスにつられて笑みを浮かべてから、ハッと気付く。  いつの間にか話がすり替えられてはいないか?  私は、ダリスとはもう会わないと、そんな話をしていたはずだ。  それがなぜ、私がダリスに抱かれることに同意をし、さらには次の約束までしているのか。  ダリスはパッとベッドを離れると、引き出しから小箱を手に戻ってくる。  ベッドのサイドテーブルに小箱を置いて、そこから見慣れぬ瓶容器を二つ取り出して並べた。 「お前が痛い思いをしないよう準備しておいた。使っても構わないか?」  おい、なんでそんなにワクワクした様子なんだ。  それはなんだ、と聞きたいところだが、答えを聞くのが怖いな……。 「……身体に害はないのか?」 「もちろんだ。俺がお前にそんな事をすると思うか?」  いや、よくそんな事を堂々と言えるな?  お前は今まさに私に無体を働こうとしているところだぞ。  そう思う間に、ダリスは小瓶から指先ほどの玉を取り出した。  真珠のように乳白色をした球体……それはなんだ……?  それからダリスはトロリとしたハチミツのような色の液体を手に取る。 「いいな?」  ニッと男らしい顔でダリスが口端を上げながら私に覆い被さってくる。  ダリスの、私が頷くと信じて疑わない様子がどうにも納得いかない。  それなのに、ダリスは幸せそうに目を細めて私に優しく口付ける。 「カラサディオ……」  いいと言ってくれ、とねだるその響きに、私は結局「仕方ないな」と答えてしまうのだ。  ダリスの口元の笑みが深まると同時に、私の腰が持ち上げられる。 「ああ、どうして私はこんなにダリスに甘いのだろうな……」  小さく呟いた言葉に、ダリスがさも当然とばかりに答える。 「そんなもの、お前が俺を好きだからに決まっているだろう」  え……?  それはもちろん、憎からず思ってはいるが……。  私のお前への思いは、リサへのものと大差ないと思うのだが……?  不意にダリスの指がぬるりとした感触で、私の内へと埋め込まれる。 「っ、……ぅ」  慣れない感覚に嫌悪感はあれど、痛みはなかった。  ダリスが指に纏った液体が私の内側に触れると、触れられた部分がじわじわと熱を帯びる。  ぐちぐちと内側に塗り込められるように動きに、内腿が震えた。 「痛くは、ないな……?」  私にそう確かめるダリスはいつもよりも眉間の皺が多い。 「ああ」  私よりも、お前の方がよほど辛そうに見えるが?  先ほどから触れもしないのに、お前の凶悪なそれは随分と立ち上がり続けているな。  お前はそんなに……私に欲情しているのか……。  一体いつから、お前は私をそんな目で見ていたんだ……? 「ぅぁ……」  ダリスの指がずるりと抜かれて、排泄感に背筋が震える。 「香玉を入れるぞ」  言うと同時にダリスがもう一度私の中へと指を入れる。  その指先に、丸い玉を摘んで。  聞き覚えのない名に、やはり、なんだろうと思う。  麻酔のような物だろうか。  あまり強い薬でなければいいのだが……。  私が大人しくそれを受け入れると、ダリスは嬉しそうに口元を緩めた。 「ああ、カラサディオ……綺麗だ……」  どこがだ。  寝衣を乱され、髪も乱れてしまった私のどこを見て、お前はそう思うんだ。  けれど、ダリスにそう言われるのは嫌ではなかった。 「お前は、この国で一番美しい……」  うっとりと囁くダリスが私にまた覆い被さってきて、私の全身がダリスの落とす影に包み込まれる。 「その上、愚かなほど優しい」  それは褒めているのか貶しているのか。 「俺の主人として、もう少し利口でいてほしい気持ちもあるが、俺にとっては愚かなお前の、その愚かさも愛しいんだ……」  いや完全に貶しているな、これは。  だが、私が愚かなことは紛れもない事実だ。  反論しようもない。 「ダリスはもっと利口な主人に仕えた方がいい。私より頭も良い癖に、それを選ばないお前こそが本当の……」 「ああ、俺は愚かだ。お前さえそばにいてくれたら、それ以外は何もいらないと本気で思っている」  私の言葉を遮るようにして、ダリスはまっすぐ灰色の瞳で私を射抜いたまま告げた。  地位も名誉もいらないと。  ただ私だけが欲しいのだと。 「だからお前は、一生俺のそばで、いくらでも馬鹿なフリをしていればいいさ」  一生……?  お前は私のそばに、死ぬまで居続けると言っているのか……?  ダリスの言葉に、どうしようもなく心が揺さぶられる。  もうこの先、学院を卒業した後は、ダリスにもリサにも会わないつもりだった。  次にそばについてくれる者には、なるべく距離を置こうと、そう思っていた……のに……。 「カラサディオ……愛している……」  灰色の瞳が切なげに歪んで、さらに近づく。  唇が重なって、私は思わずダリスの首に腕を回していた。 「……っ、ダリス……」  不意に頬に温かいものが伝って、自分が泣いていることに気づいた。  ダリスは私の涙に瞬いて、それから苦笑するように笑った。 「お前は、全てをひとりで抱え込み過ぎだ」 「ダリス……」 「俺が今まで、お前をひとりきりにした事があったか……?」  いいや……、いつでもダリスとリサは、私を見捨てないでいてくれた……。  ふるふると首を振ると、ダリスの手が私の頬の涙を拭った。  ダリスの硬い指の腹が、私の涙を纏ってぬるりと頬を這う。  ほんのそれだけの刺激で、なぜか頬がカアっと熱くなった。 「ああ、効いてきたようだな」  ……何が……、あ……、まさか、ダリスは時間を稼いでいたのか!?  ダリスの手が私の後ろへと回る。  体を起こそうとするダリスの首には、私が腕を回したままだ。  けれど、腕の中のダリスを、私はなぜか離し難いと思ってしまう。 「なんだ、俺を離したくないのか?」  そうだとも違うとも言い切れずに黙ってしまった私に、ダリスは嬉しそうに微笑んで口付けた。  すぐにダリスの舌が私の口内に入り込む。  分厚いダリスの舌に撫でられると、不思議と口の中に熱い唾液が溢れた。  首の後ろがぞわぞわとするような、妙な感覚がする。 「ん……、ぅ、んぅ……っ」  コクコクと喉を鳴らしてそれを飲み込むうちに、ダリスの太い指が私の後ろの穴へと入り込む。 「ぅあっ」  おかしい。  ダリスの指に触れられた全てが、まるで燃えるように熱く感じる。  ぞくぞくと疼くような何かが、ダリスに触れられた場所からじわりと身体中に広がってゆく。  感じたことのない感覚に、私は激しく動揺した。 「な、ん……、だこれ、は……」  ダリスは私が口端からこぼしてしまった雫をべろりと舐めとると、悪い顔で笑った。 「媚薬だ」 「は…………?」  なんてことだ!  痛みを麻痺させるのではなく、感度を上げて快感で打ち消す気なのか!?  それは流石に、初心者の私には難易度が高いのではないか!? 「大丈夫だ、すぐに良くなる」 「なっ、何を……っ、ぅ、ぁぁあぁっっ!」  何を簡単に言ってくれるんだと、ダリスにぶつけようとした文句は、ダリスの大き過ぎるモノが無理矢理捩じ込まれた衝撃に掻き消えた。

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