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第3話
来たる合コンの日。
僕は遊馬に連れられてとあるレストランに連れてこられていた。
「居酒屋じゃないんだね」
「まあね。そもそもαってお坊ちゃんが多いし、僕たちは未成年だし、レストランの方が都合が良かったんじゃない?」
「なるほど?」
よく分からないけれど頷き、僕と違って堂々と入店する遊馬に続いた。
今日はΩが4人、αが2人、βが2人の8人らしい。
8人も人がいて上手く喋れるのかが不安だし、大学内にαもβもいるけれど、ちゃんと話したことが無いから余計に不安だ。
「αが2人もいるなんて奇跡だよ。
彼らは選び放題だから、わざわざ男のΩと会ってくれること自体少ないからね。
開催してくれたΩの先輩に感謝して、ちゃんと楽しもうね!」
と遊馬に背中を叩かれる。
やっぱり遊馬は凄い。
それは、合コンが始まってからもそうで、しっかりと話に加わりつつもトークを上手く回していた。
他の2人のΩは同じ大学の先輩らしく、遊馬はバイト先で仲良くなったらしい。
βの先輩達はΩの先輩の知り合いで、その先輩がαの2人を連れてきたらしい。
残念ながら、1人のαの子は遅刻しているみたい。
だから今は7人で食事をしていた。
つながりは色々複雑だけれど、要は遊馬以外の参加者は僕とは全くかかわりのない子ばかりということだ。
他の5人の顔と名前がなかなか一致せず、僕は少々焦っていた。
さらにここに1人増えるのか…
開始から1時間近く経とうとした頃、「遅れてすみません」と言いながら1人の男子がやってきた。
「おい、おせぇよ園田」とβの先輩がその人に声をかける。
園田という苗字に少し反応する。
僕が、立ったまま「すみません、教授に引き留められて」と頭を下げている男性を見上げた。
合わせるように彼の視線が僕に向く。
目が合った瞬間、僕の時が止まった。
園田太陽だ…
あれから4年近く経っていて、背もガタイもぐんと大きくなって、顔もより精巧になっているけれど…、間違いない、太陽だ。
彼も驚いた様子で目を見開いたまま僕を見ている。
「統和…?」
そんな僕たちを見た先輩が「えっ、何?知り合い?」と交互に僕たちを見ている。
僕が何も言い出せずにいると、「幼馴染っす。っていっても中学までですけど」と太陽が言った。
「そりゃ高校は違うだろ!
でも、大学で再開なんてロマンチックだな」と先輩が言ったのを皮切りに、また皆談笑を始める。
「園田も座れよ。
お前もノンアルのシャンパンとかでいい?」
「あ、はい。俺は何でも」と言いながら席に座る太陽が、僕の意識から消えない。
遊馬や目の前に座るβの先輩に話しかけられても、答えつつ意識は全部太陽に吸い寄せられていた。
上手く応答できていたかは分からない。
「統和の幼馴染、めっちゃイケメンだね。
2人は何かなかったわけ?」と遊馬がこそっと訊いてくる。
僕は力なく首を振った。
「何にも。それどころか、Ωのお前は嫌だとまで言われたからね」
と僕は自嘲気味に言った。
「え、ひど…
でも、Ω男性との合コンには来るんだね」
そんな遊馬の一言に余計に傷つく。
Ω男性は恋愛対象に入るなのに、僕だけは嫌なんだ…
確かに、僕はΩらしい見た目ではなく、華もない。
頭では分かっているんだけれど、あまりにもショックだった。
席も一番遠かったため太陽とは喋らず、一次会はお開きとなった。
先輩方は2次会に行くようだったけれど、僕は色々あって疲れていたし、遊馬も1限目からある授業に絶対遅刻したくないからという理由で帰ることにした。
僕たちが歩いていると、1人のβの先輩が「送っていこうか?」と訊いてくれた。
僕は「いえ!大丈夫です!」とお断りしたが、遊馬は「いいんですかぁ~」と言ったため、僕たちもそこで別れることにした。
先輩は1人で帰る僕を心配していたが、そもそも僕と遊馬の家も反対方向だったし、遊馬が先輩を気に入っているようだったから、説得して最後は納得してくれた。
遊馬、良かったね!と思いつつも、僕は太陽の事で頭がいっぱいになる。
めちゃくちゃかっこよくなっていた。
しかも、皆の話を聞くに、同じ大学らしい。
また会うこともあるのかな…
そんな風に考えて、慌てて打ち消した。
太陽からしたら嫌な僕となんて2度と遭遇したくないだろう。
なんなら、今日会ったことさえ嫌だったかもしれない。
そんな風に考え、トボトボ歩いていると、「おい」と後ろから肩を掴まれた。
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