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第10話

午後の授業の為、太陽と別れて遊馬と歩き出す。 僕は「じゃあ…」しか言えなかったけれど、遊馬は「またね、園田くん!」と可愛らしく手を振っていた。 2人で教室まで歩いていると遊馬が「園田くんって面白い人だね」と話し出した。 食事中は全然楽しい雰囲気じゃなかったけど…、と思ったところで、『ああ、2人で食券とか買っている時のことか』と納得した。 僕がいない方が楽しい空気だったんだろうな… 「うん。いい人だよね。 並んでる2人、お似合いだった」と僕が言うと、 遊馬は「やめてよぉ!」と手をぶんぶん振った。 「僕は先輩一筋なんだから!!」 と言われて、遊馬の気持ちを無視してしまったことに気付く。 「ごめん!そういうつもりじゃなかったんだけど周りにいた女の子たちもお似合いとか付き合ってそうとか言ってたから、つい…」 と僕が言うと、遊馬は顔を歪めた。 「げぇ…、噂って最悪。 先輩の耳に入らないといいな…」 確かにこんなうわさで2人の仲が(こじ)れたら最悪だ… 僕は自分の事しか考えてなかったことを申し訳なく思った。 「話は変わるけどさ、αって自分の大切な人になんでも尽くしたくなっちゃうんだって。 例えば、ご飯奢ったり、無理してでも迎えに行ったり」 と、遊馬がニコニコしながら言った。 それって…、太陽がよく僕にしてくれていることだ。 つまり…、太陽は自分の恋人にするべきことを僕にしてるってこと? 「やっぱりさ、僕って太陽くんの恋人に悪いことしてるよね… 距離、おこうかな」 と僕が言うと、遊馬は僕を見て口をあんぐりと開けていた。 「今の流れでそうなっちゃうの!? ええ…、ごめん、園田くん…」 と遊馬は頭を抱えている。 変なの。 「園田くんのために言うけど、多分恋人はいないと思う」 「でも、もう合コンとか行くの止めたらしいよ?」 「それはさ、好きな人とか気になっている人が出来たからじゃない?」 「なるほど…、つまり…、やっぱり僕って邪魔だよね?」 「…、ふむ」 遊馬は顎に手を当てて考え始めた。 なにやらぶつぶつ言っている。 「まあ、仮にそうだとしてさ、統和は園田くんが誰かと付き合ったら嫌じゃない?」 しばらくして遊馬はそう切り出した。 太陽に…、恋人が出来たら… もう一緒にご飯を食べたり。お出かけしたり、他愛もない話をしたり…、が出来なくなる。 「それは嫌かも…」とポツリと言った自分に驚く。 「ち、違う!僕にそんなこと言う権利ないし! 僕は太陽くんに幸せになってほしいよ!」 と慌てて打ち消す。 「ふーん?じゃあ僕が園田くんにアプローチしようかな~」 「だめ!!」 思わず出た言葉にまた自分で驚いた。 いや…、これは遊馬の恋人の先輩が可哀想だからで、浮気はよくないし!などと言い訳を考えていると、遊馬が「冗談だよ」とニヤリと笑った。 「統和はさ、もっと自分の気持ちに素直になった方がいいと思う。 園田くんの事、好きなんでしょ?」 そう言われて愕然とする。 「そんな…、でも、僕たちやっと友達として仲直りできたんだよ。 僕はそれだけで幸せなんだよ。 この関係をもう壊したくないのに…」 僕が泣きそうになりながらそう言うと 「なんで壊れる前提なのぉ」と遊馬に笑われた。 「もし、園田くんが統和の気持ちに応えられなかったとして、友達を辞めるような人じゃないでしょ?」 と問われて「それはそうかもしれないけど…」と返す。 「だから、統和はもっと素直になって、なんなら園田くんに好いてもらえるように頑張ればいいんじゃない? 少しずつアプローチするとかさ!」 そう言われて、急に視界が拓けた気がした。 そっか…、そういう頑張り方もあるのか… でも、彼と比べたら僕は全然魅力のない平凡なΩだ。 付き合える見込みは全然ないけれど、自分を磨くところから始めてみようかな。 僕の顔を眺めていた遊馬が「よし!僕もなんでも協力しちゃうからね!」と嬉しそうに言った。 こんな美形のΩが協力してくれるなら百人力だ。

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