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第16話
家に帰った僕は自分の大学のサークル一覧を見て頭を抱えていた。
文化系と体育会系に分かれていて、どう考えてもスポーツが苦手な僕は、文化系の欄に目を通す。
演劇サークルに合唱サークル、軽音楽部に写真部…、どれも僕が参加できる才能があるようには思えない。
かといって、囲碁部や将棋部、けん玉サークルやボドゲ同好会は、太陽が参加しているのを想像できない。
うーん…、いざサークルに入るとなるとなかなか難しいなあ。
強いて言うなら、ボランティアをするJRCとかがいいのかな…、と一応の目星はつけた。
ただ、紹介を見るに、被災地に向かったり、介護施設や小児病院に訪問したりと本格的な活動のようだ。
僕にやれるのか、正直かなり不安だ…
さんざん悩んだけれど、寝る時間になったので、僕は携帯の画面を閉じて布団に潜り込んだ。
学食でランチを食べながら太陽とサークルについて話す。
「調べてみたんだけど…、文化系でいい感じのサークルが見つからなかったんだ…」
僕がしおしおとそう言うと、太陽は「文化系?」と訊き返した。
「うん。だって僕はスポーツとかあまり得意じゃないから…」
「体育会系のほうでも、けっこう緩いのはあるよ。
ほら、この”自然に触れる同好会”とかどう?」
太陽がスマホを差し出す。
自然に触れる?
その画面には、その同好会の紹介ページが載っていた。
「基本的には、町中とか公園をぶらぶら歩くんだけど、年に2~3回は山登りとかグランピングとかするみたいだよ」
ぶらぶら散歩をするだけのサークル?
そんな緩い活動が体育会系に分類されているとは思わなかった。
山登りは少し大変そうだけど…
「グランピング?」
「そう。キャンプと似てるけど、キャンプと違って施設に泊まる為のテントとか炊事場とか全部完備されてるみたい」
「へぇ~…、それなら気軽に行けそうだね」
「うん。これなら俺と統和でも参加しやすいかなって思ったんだけど、どう?」
そう問われて、僕は太陽の顔を見る。
正直、グランピングや山登りのイベントで宿泊するのは怖い。
でも、太陽は守ってくれると言っていたし、何より太陽との思い出を作りたい。
「うん、いいと思う」
僕が頷くと、太陽は「良かった~」と肩を下ろした。
「午後はお互い授業もないし、部室行ってみる?」
そう問われて、僕は頷いた。
「今日、活動あるといいね」と太陽が微笑む。
ワクワクとドキドキで苦しいくらいの胸を抑えて、僕は太陽と”自然に触れる同好会”の部室を訪問した。
部室と言っても、かなり狭い教室をさらにカーテンのような仕切で狭くした薄暗い部屋だった。
中央に長机が2つ並んでいて、奥側で一人の女性が電卓をパチパチしているところだった。
ドアを開けた音に反応した彼女がパッと顔を上げ、目が合う。
「おっ、入会希望者!?」
たちまちに表情を明るくしたその人が、弾んだ声を出した。
「え、えっと…」と僕がもたついていると、扉を閉めた太陽が「まだ確定してはないんですけど、見学とか体験とかできればと思って来ました」と答える。
「そっか!丁度、今日の2時頃から皆でフィールドワークに出かけるところなんだ!
良かったらついて来る?」
人懐っこい笑みを浮かべて、彼女が訊く。
「どうする?」と隣に立つ太陽に訊かれ、「ぜ、ぜひ参加したいです!」と答えた。
「わぁ~、うれしい!座って座って」と、女性はどこからか椅子を2脚取り出して、手前の机の前に並べる。
僕たちが「失礼します」と椅子に座るや否や、
「3年の古谷千草です!自然に触れる同好会、通称ジフ会の副リーダーをしてます!
2人は1年生だよね?」と元気な声で話しかけられる。
勢いに押されそうになりながらも、太陽が「1年の園田太陽です」と言うのに続いて、「僕も1年生の今井統和です」と答えた。
「園田くんに今井くんね。
てか、2人ともよく学食にいるよね」
そう言われて、僕は驚く。
「ふふっ、だって目立つもん。特に園田くん。
私はたまにしか学食は行かないけど、それでも顔を覚えるくらいには目を引くよ」
と、古谷先輩が笑った。
僕は恥ずかしくて俯いてしまったけれど、太陽は愉快そうに笑っている。
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