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第24話

「次お前らだぞ。 最後、片付け頼むわ」 と、先輩が呼びに来た。 「了解でーす。 統和、行こう?」 そう声を掛けられて、僕は再び緊張感を覚えながら頷いた。 脱衣所は広くて綺麗だった。 背中合わせで服を脱いでいく。 「一緒に風呂に入るなんて、小学校ぶりだよな」と、太陽に声を掛けられ、昔のことを思い出す。 家が近いから、地域でやっている子供会の行事はよく太陽と一緒に過ごしていた。 その中に、帰りに温泉に寄るイベントがあった。 確か…、「潮干狩りとか海水浴の帰りに行ったよね」 僕がそう言うと、彼が「そうそう!懐かしいな~」と嬉しそうに声を張る。 お互いの思い出が共有されていることに感動すら覚える。 でも、あの時は太陽の事をそういう意味で意識したことがなかった。 どんな体をしていたかなんて全然覚えてないな… 服を脱ぎ終え、タオルでどこまで隠すべきか悩んでいると、太陽が「脱いだなら早く行こう?」と急かす。 僕はタオルを縦長にして胸から太ももを隠すような状態で振り返った。 太陽は何も隠す気がないようで、手にタオルを持っていた。 ちょ、直視できない!!! 僕はパっと顔を逸らすと、先に立って浴室に入った。 「統和?そんなに急いだら危ないよ?」 太陽が後ろから声をかけているけれど、振り向くなんて絶対に無理だ。 急いで足を進めると、漫画の様に足を滑らせて後ろに倒れかける。 「うわぁっ」と情けない声を上げ、重力に従って落ちる…、ところで後ろから支えられた。 「ほら、言ったとおりでしょ。 昔から統和はよく足を滑らせるんだから…」 太陽がそう言ってほほ笑み、僕が自分の足で立ち上がるまで支えてくれた。 「ご、ごめんね。ありがとう」 ホッとしたのも束の間、太陽のがっしりした腕や体の感触を思い出して赤面する。 めちゃくちゃ逞しかった… 僕が黙っていると、「どこか痛めた?」と太陽が心配そうに眺める。 「ううん!平気! 早く体洗おう!」 そう言った瞬間に、とっくに自分のタオルが地面に落ちていることに気付いた僕は「うわぁぁ!」と再び情けない声を上げた。 み、見られた… 貧相で子供みたいな体を、太陽に見られてしまった… 顔がさらに熱くなるのを感じる。 「え、どうしたの?」 太陽が困惑するのも無理はない。 彼にとってはただの男友達なんだから、こんなに過剰反応している方が変だ。 「ご、ごめん… なんか体が違いすぎて恥ずかしかった…」 と、正直に僕は言った。 ちらりと太陽を上目で見上げると、彼の方も赤面していた。 「…、考えないようにしてたのに」 と言われ、「ごめん」と謝る。 何に対してのごめんかは分からないけれど。 それから、無言でササっと体や頭を洗い、先に洗い終わった太陽から湯船に入った。 僕も続けて浴槽に入るけど、後から入る方が気まずい… 温泉施設でもないのに、この時の僕はタオルを湯船につけたらマナー違反かな?と思い、体を隠すタオルは浴槽のへりに置いてきてしまった。 湯船は熱くて、足先が冷えていた僕はゆっくり慣らしながらつかる。 よくそんなにすんなり入れたよね、と太陽に言おうと思ってそちらに目を向けると、彼が僕を凝視していた。 「えっ?あ、何?」 本当は恥ずかしいから見ないでほしいんだけど、そうは言えない。 「いや…、本当に体のつくりが違うなと思って」 と、彼はこちらに近づく。 僕は熱いのを少し我慢して急いで肩まで浸かった。 じゃないと見られてしまう。 僕の隣に座った彼は、僕の腕を取った。 もやしのように白くて細い僕の腕。 その感触を確かめるように筋肉がある逞しい手が触れる。 「なんかさ…、肌の質感とかも全然違うよな」 ペタペタと腕を触りながら、いつのまにか僕の後ろに回った太陽がバックハグをするような形で俺の腹や太ももの感触を確かめ始める。 「すべすべ」というちょっと掠れた太陽の声が耳元で聞こえた。 「うぁ…」 擽ったさやら恥ずかしさやら、触れ合っている肌の感触なんかのせいで、僕の背中にはゾクゾクとしたものが走った。 変な声が出たのも恥ずかしい。 「た、いようくん…、もう…」 もうこれ以上近いのは無理だよ、と言おうとして振り向く。 目が合うと同時に、太陽の顔がゆっくりと近づいてきて…、唇が触れた。

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