27 / 31
第27話
太陽は僕の顔を見た後に気まずそうに目を反らして言った。
「統和は俺のこと、兄弟とか親戚とかそういう類の親しい友人だって認識してるでしょ」
そう問われて、僕は果たしてそうなのか?と首を傾げる。
確かに口ではそう説明したけど、内心では恋慕を募らせている。
「俺の事、恋愛的な意味で意識してないのに、無理やりそういうことしちゃったから…、段階を間違えちゃったなって意味。
相手は統和で間違いないよ」
そう言って彼は自嘲気味に笑った。
「迷惑だよね。
分かってるんだけど、統和といると抑えられなくなる」
顔を手で覆っているので、太陽の表情は見えない。
太陽が言ってることって…、僕の勘違いじゃなければ…、「それはその、僕が好きってこと?」
思っていたことが口をついて出た。
言ってしまってから、そんなわけがないと自分で打ち消す。
「ご、ごめん!そんなわけないよね!
まさか太陽くんみたいな人が、僕なんて…」
「そうだよ」
ぽつりと溢された言葉。
声は小さかったのに、やけにはっきりと響いて、静寂が訪れる。
先に沈黙を破ったのは太陽のほうだった。
「マジでごめん。迷惑だよな…
諦めて男友達に戻ろうって頑張ったんだけど…、やっぱ無理だった」
顔から手を離した太陽が悲しそうに笑った。
僕の心臓がぎゅっとなる。
「迷惑なんかじゃないよ!!
ただ、その、びっくりしてて…、これって夢?」
だって、つまり…、僕たちは両想いなんだ。
「夢じゃないよ」
彼はそう言って、僕の手を掬い、口づけた。
「俺のこと、αとして意識してほしい…、んだけど」
「…、ずっと意識してたよ。
バースの結果が出るより前から、多分」
僕がそう答えると、太陽が目を見開いた。
次の瞬間には抱きしめられていた。
「信じられない。本当に?
統和も俺の事が好き?」
早い鼓動を刻む彼の心音に、嘘じゃないんだと気づいた。
今は顔が見えないので言える気がする。
「う、うん、好き」
何かしらの骨が折れるんじゃないかってくらい抱きしめられて、僕は「くるし…」と藻掻いた。
「ごめん!苦しかったよね!?
嬉しすぎて加減間違えちゃった!大丈夫!?」
パッと体を離されて顔を覗き見られた。
「真っ赤」と太陽が笑う。
こんなことされて照れない方がおかしいと思う。
「俺、統和がずっと脈ナシだと思ってた」
「どうして?」
そもそも、太陽のそばにいて惚れるなってほうが難しいのに。
「中学の時さ、バースの話になって、俺がαで統和がΩだったらどうする?って話したじゃん」
その時の事はよく覚えている、
僕が太陽を諦めなきゃと思ったきっかけだし。
「その時、俺の事は友達だから好きにならないって言ったじゃん」
「でも…、それは太陽くんが『僕がΩだったら嫌』って言ったから…、僕にアプローチされるのは嫌なのかなって思って…」
「違うよ。もし統和がΩで俺の事好きじゃなくて、他のαと番ったりしたら嫌だったからだよ。
βだったら番とかないし、俺のこと好きじゃなくてもあの手この手で囲い込めるし」
あの手この手で囲い込むって…?とは思ったものの、お互いすれ違っていただけなんだとホッとした。
「そっか…、良かった」と僕は脱力する。
まだ全然、こんな素晴らしい人が僕なんかを?という気持ちが消えないけれど。
「じゃあ、付き合うってことでいいよね?」と太陽に笑顔で訊かれて、僕は「え?」と答える。
その瞬間、彼の表情が曇った。
「なんで好き通しなのに付き合わないの?
まさか俺のほかにも好きなやつとかいるの?」
低い声で訊かれて、僕は「いないよ!」と慌てて答えた。
「じゃあ、付き合うよね?」という圧たっぷりの問いかけに、僕は「お、お願いします…」と答える。
すると、太陽は満面の笑みを浮かべた。
「α と付き合うってことは、俺以外の男とは一切関わっちゃダメってことだからね。
草間とも秦野とも萩原とも、2人きりになったり話したり連絡を取るのもだめだからね。
もちろん、他の男もそうだよ」
「そ、それは難しいんじゃ…」
「統和。分かるよね?」
「ひゃい…」
なんだかとんでもない約束を取り付けられた気もする。
けど、僕の恋は結ばれたってことでハピエンだよね?…
ともだちにシェアしよう!

