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第28話

無事にグランピングが終わり、僕たちは付き合うことになった。 といっても、今までとの関係性はそれほど変わっていない。 強いて言えば”お家デート”が追加されたことだろうか。 今までは付き合ってもいないαの家に行くなんて言語道断だったから、太陽の家に行ったことはなかった。 でも、今は付き合った、ということで解禁された。 太陽も実家はそう遠くないはずだけれど、1人暮らしをしている。 だから僕もけっこう気軽にお邪魔してしまっている。 しかも、最近は帰るのが面倒になり、たまにお泊りも発生していた。 今日もそのパターンかも… なんか、太陽と離れがたいし、外も暗くなったから帰るのが面倒だ。 夕食を終え、それぞれ課題をやっていると、不意に太陽が「なんか統和の匂い濃くない?」と言った。 自分では分からず、「そうかな?」と訊き返す。 そういえば、そろそろヒートが来る頃だったはず… それを思い出したら、なんだか体が熱くて怠い気がしてきた。 これ…、帰らないと不味いかも。 僕は慌てて課題を仕舞い、「僕、帰るよ」と太陽に伝えた。 彼は「なんで?外暗いし、危ないよ?」と不思議そうな顔をしている。 「えっと…、僕忘れてたんだけど、そろそろヒートなんだよね。 で、感覚が正しければ今日か遅くとも明日の朝には来ちゃうと思う…」 僕がそう説明すると、彼は僕をじっと見てくる。 その視線が熱くて、僕の体温はさらに上昇する。 どうしよう…、彼とヒートを過ごしたい… 僕たちは、付き合ってすぐに互いの両親に紹介をした。 中学生の前半までは家族ぐるみで関わりがあったので、どちらからも歓迎された。 双方から出された条件は2つ。 『大学卒業まで結婚はしない・番にならない』 本能を理性で押しとどめる。 僕たちを祝福してくれた人たちを裏切りたくない。 「じゃあ、」と僕が立ち上がろうとすると、彼が「待って」と言ってクローゼットに向かった。 ごそごそと何かを探して、こちらに持ってきたのは高級なものが入ってそうな箱だった。 「これ、統和に」 そう言って彼が差し出した箱を受け取る。 「ありがとう?開けて良い?」 こんな時になんだろうと思いながら箱を開けた。 出てきたのは高級そうな、僕でも知っているメーカーの…、ネックガードだった。 「え…?」 僕が困惑していると、彼がそのチョーカーを箱から出して手に取る。 「これ、ちょっとやそっとじゃ切れないように出来てるんだ。 だから…、これを付けて俺とヒートを過ごしてほしい」 ジッと僕を見つめる太陽の目に、僕は背中がゾクゾクとした。 これからヒートが始まる、そう確信した。 僕は彼に背中を向け「お、お願いします」と言うと、彼は掠れた声で「ありがとう」と言い、そのネックガードを僕の首にかける。 少ししてカチリと音がし、重厚なそれが僕の首に重みを感じさせた。 本当にしっかりと守ってくれそう。 間違っても僕たちはまだ番になってはいけない。 それから、順番にお風呂に入る。 太陽はいつも僕に一番風呂を譲ってくれる。 いつもはしっかりと温まってから出るけれど、今日は急で湯船も沸かしてないし、何より気が急いでいるのでさっと洗って出た。 これからお風呂に行く太陽を見て、僕はさらに緊張が高まった。 「お利口にして待っててね」 そう言って彼が僕の頭を撫でる。 後ろから粘液が出るのを感じた。 ベッドに座って彼を待つ。 本格的にヒートが始まってきた。 今までは自分で慰めていたけれど…、ヒート中の記憶はおぼろげだ。 もしかしたら、とんでもない痴態を晒していて、それを見た太陽が僕を嫌いになるかもしれない… そんな恐ろしいことを想像して、僕はますます緊張する。 我を忘れたら…、どうしよう。 このまま時が止まればいい。 でも、この熱を早く何とかしたい。 そんな気持ちがせめぎ合っていたけれど、時間は確実に進む。 太陽がお風呂から出る音がした。

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