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第30話

目が覚めると、全身が筋肉痛の様に痛み、喉がガラガラだった。 それでも、ヒートは終わってなくて、お腹の中が熱く疼いている。 ぬくもりを感じて横を見ると、太陽が僕の隣で満面の笑みを浮かべ、僕を見ていた。 「お、おはよう」 そう言った僕の声は、太陽に聞こえたか不安なくらい掠れていた。 「おはよう。 ごめん、声酷いね。水持ってくる」 そう言って離れていく香りが嫌で、僕はその背に抱き着いた。 もっと太陽とつながりたいと本能が言う。 「あ~…、もう、どうしよう…」 と太陽が頭を抱えるので、自分の性欲の強さに辟易した。 ヒートだなんだと理由を付けて肉欲に溺れている自分が情けない。 「ごめんなさい」と言いながら手を離した。 太陽が振り返る。 「ごめんね、気持ち悪いよね。 太陽はもうシたくないのに…。 我慢するから…、嫌いにならないで」 視界がじわじわと滲む。 ここで泣いたら、もっと鬱陶しいのに… すぐに太陽に抱きしめられた。 「嫌いになるわけないでしょ。 俺だってめちゃくちゃ統和とヤりたいよ。 でも、昨日酷くしちゃったから、お世話させて」 背中をとんとんと叩きながら、優しい声で太陽が言う。 それだけで、僕の体はキュンと疼く。 「ごめんなさい…」 僕が謝ると、太陽がふっと笑った。 「俺のせいで泣いちゃう統和は可愛いよ。 それだけ好きってことだもんね。 可哀想だからあまり泣いてほしくないけど」 僕が落ち着くと、太陽は水を持ってきてくれた。 ゆっくりとそれを飲む。 思ったよりも喉が渇いていたようで、一気に半分くらい飲んでしまった。 「お腹は空いてない?」と訊かれて僕は首を横に振った。 空腹よりも、疼きの方が強い。 「太陽くん」 「何?」 「シたい…」 「あー…」 また頭を抱える太陽。 やっぱり、太陽はあまりセックスしたくないんだろうか… 僕の不安な気持ちを察したのか、太陽が「違うよ、俺もめっちゃシたいよ」と笑った。 「俺、頭の中覗かれたら、統和に嫌われるくらい統和のことが好きなんだよね。 縛り付けたいし、どこにも行かせたくないし。 1回ヤったら落ち着くと思ったんだけど…、むしろ増した」 思わぬ言葉に僕は太陽を見る。 「嫌いになった?」と太陽が眉を下げる。 「ならないよ。嬉しい」 「あのさ、あまり可愛いこと言われると酷くしちゃうよ?」 「かわ…、可愛いとかは知らないけど、太陽くんになら酷くされてもずっと好きだと思う。 昨日のも、僕は嫌じゃなかったもん」 本心だった。 なんなら、もう1回、昨日みたいに抱いてほしい。 ちょっと苦しかったけれど、あの快感をもう一度味わいたい。 何より、太陽の気持ちがストレートに伝わってきて、僕は安心したんだ。 「やばい、統和」と彼が胸を抑える。 「え?なに?どこか痛いの?」 「なんでそんなに可愛いの? ずっと心臓が痛いんだけど」 「かっ…、可愛くなんてないよ。 太陽くん以外に言われたことないもん」 僕が口を尖らせる。 未だに太陽が言う”可愛い”を信用してない。 僕がΩの割に可愛らしい見目をしていないことは、この18年で良く理解している。 「誰も気づかないでほしい、統和が可愛いことに」 「気づくって言うか、事実として可愛くはないってば」 「統和は気づくべきだよ。 気付いて、ちゃんと自衛してほしい」 顔中にキスを降らせながら、太陽がうっとりとして言う。 「もう分かったから、シようよ…」 そんなにされたら、さらにお腹が疼いてしまう。 僕はきっかり7日間ヒートがあるタイプなんだ。 「そうだね。ちゃんと体で教えてあげるね」 そう言って彼は僕を組み敷いた。 それからは、僕のヒートが落ち着くまで、ヤって寝ての繰り返しで…、我ながら爛れた性生活をおくった。 最中、彼は譫言(うわごと)の様に”可愛い”と”好き”という言葉を繰り返していた。

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