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第12話

「え、なんだコレは!!シファ、お前人間じゃなかったのか!?」 どうしよう。コイツが母親なら、俺は父親になったということになる。動揺が隠せない。 「バレてしまいましたか」 てへ、とシファは笑顔を浮かべたと思ったら、すぐに一転して急に深刻そうな声のトーンになる。 「そうです。私はヒトではありません。話せば長くなりますが、生い立ちに複雑な事情があって、実は……」 うんうん、と続きの言葉を待つ。今明かされる驚きの新事実。 ひょっとして狼に育てられましたとか、あのとき助けてもらった鶴ですとか云い出すのかと思っていたら。 「騙されました?こんな子供だましのようなテに引っ掛かるなんて」 「はぁ!?」 「とりあえず、それらしい物を探して拾って来たんですよ。いやですねぇ、すぐに騙されるんだから」 シファは今朝、森を散策したのには薬草の採取のほかに目的があった。 既成事実を作ったあとで、すでに妊娠して卵を生んだことにしようとヒトの卵の大きさに近いものを探して見つけてきたのだった。それが大蜥蜴コウモリの卵だったというわけだ。 「何ですぐにバレる嘘をつくんだ」 「えー、だって、喜んで貰えるかなーと思って」 騙したことを少しも悪びれた様子もなくて、腹が立ってくる。 「喜ぶわけないだろ。誰が」 「えー、十人子供がほしいんでしょう?」 「云ったけど。お前とじゃないし、俺をからかって馬鹿にしてるだろ」 「ひどいっ、あんなに愛し合ったのに私とじゃないなんて。それに馬鹿になんてしていないです」 「絶対馬鹿にしてるし、無理やり犯したことを愛し合ったって、云い換えるのもどうなんだよ」 「えー無理矢理じゃないですよね。あんなに感じていたんだから。私の下で」 「もういい……!」 不可抗力だ、あれは。真っ赤になりながらリヴェラは狼狽する。 あーもうやめにしよう。 こいつを責め立てても、のらりくらりと躱されてしまって、余計に墓穴を掘ってしまうことになる。 そもそも卵なんてすぐに授かるものなのだろうか? __________なんて馬鹿なんだろう俺は。こんなことを簡単に信じ込んでしまうなんて。 そうだ、最初からおかしかった。ちょっと考えれば分かることだろ。 ……いや、待てよ。 だが、他にも違和感がある。なんだろうと、よくよく考えてみる。 しばらく熟考してみて答えを導く。 「そうだ、卵を生むのは側だった。何でそんな初歩的なことに気付かなかったんだろう。妊娠して卵を生むとしたら、俺の方なんじゃないのか!」 「やっと気付きましたか」 にっこりと間近にシファの顔が迫り、リヴェラの方へと大きな影が掛かる。 状況的に逃げられない状況が緊迫感を生む。壁際に追いやられ、手を掴まれる。 「リヴェラ様は子供がほしいのですよね?」 「そうだと云ったけど……」 今、答えるべき言葉ではないことは身をもって知っているけれど、嘘はつくべきではないと思ったから、つい本当のことを云ってしまった。これがよくなかった。 「それじゃあ、またすればいいじゃないですか」 「……え、嫌だ、やめろ」 云うや否や、両腕が伸びてきてとらわれる。シファがリヴェラにのしかかり、うつ伏せから寝後背位(バック)で攻められる。 密接したこの体勢が好きらしい。深く挿入できて、中でイキやすい。 伸びた足から腿が触れ合い、肌の感触がありありと伝わる。 ……う、云わなければよかった。 寝台で手元のシーツを握り、涙目で耐えながら自分の失言を後悔していた。 下衣を剥かれ、気付けば衣服を全部脱がされていて、シファも自分の衣服を脱ぎ捨てていた。 「お前が懐妊したいのなら受け身になって、俺が攻め手になるのが筋なんじゃないのか。逆だろ?」 「私はする側がいいんですよ。される方は好きじゃないんですよ」 そう云ってリヴェラの脚を掴んで、強引に腰を押し進める。 「…………ンンッ」 質量を増したモノが一気に押し込まれる。内側でギチギチになって、きつく圧迫する。 昨日経験したはずのこの感覚がまた甦ってきて、リヴェラの躰を激しく苛む。 「ん、ふ……」 「ごめんなさい。あなたの顔を見ていたら我慢できなくて、つい」 「つい、じゃないだろ……!」 悲痛なリヴェラとは対照的にシファの声には愉しそうな響きがある。 顔は中性的で物腰が柔らかだが、彼は大人の青年である。 女性ではないので、ふくよかな胸もなければ、男性器を包み込むへこんだ性器でもなく、引き締まった平らな胸筋とリヴェラのモノよりも一回りは大きそうなそそり勃つモノがある。 やっぱり女性ではないのだと、改めて見るとやはり驚きを隠せない。 その上、軽々とリヴェラを抱えるくらいの腕力もあり、攻撃的な一面もある。 強引に繰り返されるピストンに悲鳴を上げそうになる。 「っ、んんっ……!」 苦しい。一旦、抜いたかと思ったらまた挿入を繰り返される。加減を知らずに攻められて息を乱し、顔を紅潮させる。 リヴェラは呻き声を我慢しながら、やっとのことで「勝手だな」と負け惜しみのように呟くと シファが挑発的な表情をして 「出来るんですか?」 「え?」 「主導権を握って私を犯すつもりもないでしょう。経験不足だろうし、想像つかないな。押し倒すあなたと組み敷かれる私……どうもそれだとしっくりこない」 シファの一言にぐうの音も出ない。 確かに、無理がありすぎる。 「体格差も年齢差もあって経験値も圧倒的に劣るし、まぁ若いから体力的には期待できそうですけどね」 繋がった根元をグリグリと押し付けられる。そうされると、よりダイレクトに感じる。 「っ……やめろ、それ」 恥ずかしい行為に、やっと絞り出した声が情けない声でリヴェラは泣きたくなった。 完全に不可抗力だ。 「なので……卵を生むのはあなたにお任せしますね」 髪にキスされる。いたわるように優しく。 その行為だけがやけに慈しむように感じられて、よけいに反発したくなる。 やめろ、とシファを払い退ける。その手を取り、シファは口づけする。 恭しく、どこか服従の意を込めているように。だが、実際に組み敷かれているのはリヴェラの方で、指導権はシファが握っている。腰を動かし、激しく突きながら。 「俺のプライドが許さないからいやだ」と云っても取り合わない。 「いいじゃないですか。それにどちら側であろうと、できるのはあなたと私の子供には変わりありませんよね」 ふふ、と愉快そうに煙に巻くように笑ってやり過ごせられてしまう。 中をめちゃくちゃに掻き回されながら。 ______________くそー、またしてもいいようにされてしまった。 体位を変えて今度は正常位になり、「自分は淡泊な方だ」と云われながらも三回も中に注ぎ込まれた。嘘つき!と罵りながら堪えると、シファは喜ぶ。何て奴だ。 突かれて注入されるたびに、やめてくれ、とリヴェラは懇願する。 「このまま続けていたら俺が妊娠してしまう……」 「いいじゃないですか、大切にしますよ。あなたも産まれてくる子供のことも」 両手で包み込むように抱き込まれて、項にキスされる。刻印するように強く深く。 シファの触れたところが、疼く。身体の奥で燻るように熱が篭る。 かぁっと恥辱で顔を染める。 いずれ自分が躰を許して、結合して、交じり合って。やがて実を結ぶことになるのだろうか。 近い将来のことを想像するが、やはり実感が伴わない。 ただただ快感に翻弄され、もやもやとした高揚感とともに危うく流されそうになってゆく。こんな感覚には我慢がならない。 「いやだ、お前の云いなりになんかなりたくない……!」 「そう云いつつも、あなたもそれを望んでいるのでしょう」 「そんなわけあるか……!」 リヴェラが睨むと、その顔が堪らない。煽られたと云ってまたシファのスイッチが入る。 少しも萎えることがなく夜が明けるまで一晩中、種付けと称して繰り返し行為は続いた。 どうしたらそんなにバケモノじみた性欲が持続するのだろうか。すっかりへとへとになって、二日続けて激しい行為に体力がもたなかった。……まだ腰が痛むのに。

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