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25. めくるめく日々
湯気が漂う、熱気の篭った室内でのこと。
バスルームの白いバスタブに赤い薔薇の花びらが何枚か浮いていて、あまい芳香が満ちている。アズカヴァルの王城では今宵も濃密な夜をふたりは過ごしていた。
背後からリヴェラが、ぴったりと押し付けられるようにしてシファに抱き込まれて、すでに挿入して繋がったままふたりは湯舟に浸かっている。
腕を伸ばし、リヴェラを抱擁しながら彼の濡れた髪に触れる。
艶やかな漆黒の髪はしっとりと水気を含んで雫が滴れ落ちる。
以前と違って気軽に触れあってもリヴェラは抵抗しなくなった。
とろり、と潤んだ睛が見つめ合う。
いつもは銀色の長い髪を縛るか、そのまま背に流すかどちらかにしていた髪を入浴時に邪魔にならないようにシファは纏め髪にしていた。白い首筋、項が映える。
シファの顔は中性的だが背も高いし、細身ながらしなやかな筋肉がついて、骨格もしっかりしていることがわかる。
密接して、後孔からシファのモノを咥え込んでいる違和感がありつつ、項にかかる吐息や引き締まった肌の質感、彼の双丘や突起の感覚もリヴェラの背中に直に伝わる。
生々しい感触に、どきどきと心拍数が上る。
いつもとは違うシチューエーションで、かぁっと顔が赤くなる。
「どうしたの?」
意地悪くシファに訊かれて、「なんでもない……」俯いたままリヴェラは歯切れ悪く呟く。
なんでもないなんてセリフは、なんでもないときは絶対に云わない。
リヴェラの心の機微を感じ取り、シファは薄く笑う。
「ふふっ、かわいい」
云いながらシファのモノはナカで勃ち上がり、堅くなって質量を増し、膨張してゆく。
ああ……っと、リヴェラは声を上げそうになる。
湯が入り込み、ズンッと突き上げるような衝撃をリヴェラは受け入れ、抱きすくめられたまま果てそうになる。
がくがくと痙攣しつつも、何とか持ち堪える。
はーはーと息を整え、落ち着かせる間もなくシファの手が伸びてきて、顎を持ち上げながら自分の方へと顔を向かせキスする。
声を出さないように堪えながら、その唇から甘い嬌声が漏れる。
「っあ……ん、ンン……」
頭がフワフワしてくる。
視界が白く煙るように湯気に包まれ、すでに茹だってのぼせそうだ。頭がぼうっとしてくる。
背後からリヴェラは胸をなぞり上げられて、反応している下肢の方も触って欲しそうだったので、ぎゅっとソコを掴み、刺激を与えると敏感になった体温がさらに上昇してゆく。
シファが今度は指の腹でピンク色の突起を擦りつけ悪戯に攻めると、リヴェラの正面に回り込み、それを啄 む。
びくんと身体を反らし、ぞくぞくと快感がせり上がってくる。
舐めたり吸いついたりしながら、ふたつの突起は果実のようにあかく色づいてゆく。
「ひっ……やぁ、そこばっかり、やめ……」
リヴェラは自分から引き剝がそうとシファを押し遣るが、彼は気にせずに没頭する。
「あっ、あっ、ああっ……やああっ……!」
しきりにリヴェラが暴れるので、お湯がびちゃびちゃと辺りに飛び散る。
おかげで、バスタブの周りはすっかり水浸しになっていた。
はーはーと息を乱しつつも、おとなしくなったところで一旦、胸から唇を離し、またシファはリヴェラの唇へと口づける。
ぬるっとした舌先が入り込み、口腔内を満たすとシファの首に手を回し、リヴェラは自分からも求めて舌を動かす。口の端から唾液が溢れ出し、応じるようにシファは深く絡みつくように吸い上げて、キスだけで意識が飛びそうになった。
唇を離した途端、唾液で糸が引く。
余韻でしばらく茫然としてしまい、とろーんと、表情がやばいくらいに蕩けてくる。
ど、どうしよう……。
すっかり我を忘れて浸ってしまっていた。
シファはお湯で滴り、濡れそぼった銀色の髪をかき上げる。
「おっと、そろそろ上がりましょうか。名残り惜しいけれど、そろそろお湯が冷めてくる」
一枚大き目のタオルを取り上げて、リヴェラを抱えて寝台まで移動する。
まだ繋がったままの状態で、だ。
一日の仕事を終えた後。部屋でシファが待ち構えていて、気が付けば連日行為に耽っている。
なんだろう、この爛れた日々は。
いやだ、と断ることができずに、まるで催眠術にかかったようになすがままになっている。
……いや、分かっているはずだ本当は。この行為が嫌ではないことに……。
そして、自分が快楽にすごく弱い身体だということを思い知る。
冷たい大理石の床にポタポタと雫を落としながら歩き、注意深くゆっくりとリヴェラを寝台に下ろす。風呂上がりですっかり温まって上気した肌に、冷たいシーツの感触が心地よい。
まだ繋がっている。ここで終わるのではなく、続きをはじめるのだ。
髪や躰が濡れたままの状態でも構わず、向き合って抱き合いながら身体を密着させる。
座るシファの上に跨って抱き込まれたままで揺さぶられると、ギシギシ寝台が軋んだ音を立てる。
深く繋がった状態で、下から突き上げるピストンが続く。
激しく、一定のリズムをとって。
強い。思いの外、激しい衝動に突き動かされ、成すすべもなく陶酔してしまう。
ふたりは互いに思いをぶつけあい、欠けていて部分を埋め合うように求め合う。
無我夢中で、なにかに……、熱に浮かされたまま。
「あっ、あッ、ああっ……!」
ズブズブ突き上げる感覚がずっと続いて、おかしくなるくらい快くて。
シファの身体にしがみついて、何度もイってしまって。
自我が喪失してしまうくらいに、真っ白になって何も視えなくなってしまって、
身を委ねたリヴェラの身体をシファが抱き止める。
意識が飛んで……挙句に失神してしまった。
「……て、ください。__________________起きてください、朝ですよ」
窓の外からやわらかな光が差し込み、かすかに鳥の啼く声が聞こえてくる。
気が付けばもう朝になっている。
リヴェラの枕元でもう何度もシファが呼びかけるのだが、未だリヴェラは夢の中だ。
夕べの激しい行為がたたって疲れたのか。ぐっすりと就寝してしまって起きる気配がない。
ふーん。と、その様子をまじまじと見遣ると、どうしたものかとシファは考えあぐねる。
掛け布を被り、もぞもぞと身を捩り、リヴェラはくぐもった声を上げる。
「うう、ん、うん……」
寝ぼけているのか。健やかな寝顔を晒して、かわいらしい。
食べてしまいたいくらいにかわいい。そう思ってリヴェラの頬をツンと突く。
ずっと寝顔を見ていたい気がするが、時間だし起こさないとなぁ。
例のごとくシファは礼拝堂に行っていて、戻ってきたところだった。
自分が戻ってくるまで眼が醒めないようにあらかじめ魔法をかけていたが、そのうち深く熟睡するようになって、魔法が必要なくなっていった。
シファを信頼して身体を委ねるようになったということだろう。
ふ、と嬉しく思い、安堵感に満ちる。
よほど熟睡しているのか、さっきからもぞもぞと動くだけで、変化がない。
呼びかけても何の反応もないので、シファは自分の銀色の髪をひと房取って、毛先で寝台に眠るリヴェラの頬や足の裏をくすぶった。
何度も筆のように同じ個所をサラサラと撫で回しているが、イマイチ反応が薄い。
身じろぎしつつ、くすぐったいという感覚はあるものの、まだ覚醒には至らないようだ。
ふむ。と首を傾げつつ、何だかつまらないなと思い立ち、シファは中断させると「早く起きて」と、じっとりと見つめて軽く揺さぶる。
反応が鈍く、ちょっとやそっとでは覚醒しそうにない。
「もう、起きてくれないとキスしますよ」
すぐに返答がなかったので、シファは身を屈め、ゆっくりと顔を近づける。
落ちてゆくサイドの髪を耳に掛けながら半開きになった唇にキスすると、リヴェラの口から絶叫が上がる。
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