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46. 物陰で

シファのことをさっきまで性別不明で神秘的な存在だと思っていたのに、急に人間臭い妙齢の青年に見えてきてしまった。妹を思う兄の言動がそうさせてしまうのだろう。 急な方向転換に初対面の人間が戸惑うのも無理もない。 「女の子を傷つけて俺様を見てくれって何様だろうねー」「やだーださい」「今どき流行んないよ」「サイテーだよね」と、シファの妹たちは、各々もっともなことを洩らした。 さすがに一方的に云われっぱなしでは我慢できなかったらしく、ライラが憤慨する。 「お、お前ら勝手なことばっか云いやがって……!」 その様子を傍観していて、「やれやれ」というように頭を抱えていたリヴェラだが、さすがに見ていられなくて苦々しい顔で謝罪する。 「御見苦しいところを見せてしまい、すまなかった。側近の近衛騎士が姫君たちに心にもないことを云ってしまい、申し訳ない。__________後できつく叱っておくから」 「ううん、いいよー」「気にしないで」「わるいのはあいつだし」「リヴェラ様はわるくないよー」 軽い調子で姉妹たちが受け流してくれた。 全然怒っていない様子だ。あの兄に似て相当呑気な子たちで良かった。 と、ほっと胸を撫で下ろす。 ライラの言動には思うとことはあるのだが、自分も女子と接する態度は褒められたものではない。シファと出会ったときは、それはもう酷いものだった。 アズカヴァルに来た異国の姫だと思っていたときには不愛想で、横柄な口をきいてしまったことを今では反省している。 人のフリ見て我がフリ直す。反面教師とも呼ぶ。 これを機に改めなければならないとライラを見て強く思ったのだった。 「ねぇ、みんなでこれから鬼ごっこしようよー」 四姉妹がふいに王城の庭園を見回して、これからみんなで遊びたいと云って唐突に提案した。 「あっ、でも。これだけお庭が広いなら、かくれんぼにした方がいいかなー」 「そうだ。鬼ごっことかくれんぼ、両方合わせてやればいいんじゃないの?」 「でも、これだけ人数いれば、鬼って誰だかわかりずらいんじゃないか?」 特に、同じ顔がいくつも居すぎて混乱すること必須だ。 「自分たちの事だろうが」とライラは姉妹へ向けて毒づくが、姉妹たちは華麗にスルーして、目印になりそうなものを考える。 「あーそうだ。じゃあ、鬼は肩にタスキを掛けておこうか。そうすれば分かりやすいよね」「じゃあ、決まりだね」 「鬼ごっこなんて、ガキの頃以来だな……」 ライラが呆れたようにひとりごちる。 「ねぇ、二人一組でグループになってやった方がいいかなぁ」 「三人でもいいよねー」 姉妹たちがひとしきり盛り上がる中、ライラは「俺はひとりでいいよ」と、すげなく返す。 護衛が必要なリヴェラも単独行動がいいと云い張るので「じゃあ、僕はどうしようかな……」 サフが考え込んでいると、四姉妹のうちのふたりが誘った。 「じゃあ、私たちといっしょに行動しましょうよ」 「ええ。喜んで、姫様」 サフの方は騎士らしく誠実さと忠誠心に溢れた対応をする。 微笑して悠然とした態度で接する。 「お供します」と、姉妹のうちのふたりの手を取ってエスコートするのだった。 「どこに隠れるー?」 王城の庭園の敷地は広大だ。 迷子にならないようにここにいる人間を敷地の範囲内に留めておくために、あらかじめ結界を張っておく。こうすれば、その外に出られないようになって安全だ。 「これで、よし!」と、もしものために万全の体制を整えてから、四姉妹が「わーい」と一斉に駆けて、方々に散ってゆく。 「私が最初に鬼だよ」 タスキを肩から掛けてはしゃぎながらアーシャ、サーシャ、コーシャ、ターシャの四人が走り出す。子供のように無邪気で自由奔放そのものだ。 「最後まで鬼だった人はどうするー?」 「罰ゲームにしようよ」 「そうだねー、決まりだね」 リヴェラと近衛騎士のふたりとシファだけでは人数が少ないので侍女と従者も数人メンバーに加えられ、参加することになる。 同じ顔が四つ、四方へ元気よくバタバタと駆け出した。 四姉妹のひとりがタスキを掛け、探し回っている。 敏捷で運動神経もよく、めっぽう足が速い。 純粋に楽しんでいるという様子が伝わってくる。 (くさむら)の物陰から頭をひょっこり覗かせてリヴェラは様子を観察する。 _____________このままではすぐに捕まってしまいそうだな。 注意深く潜伏場処を探して息を顰め、茂みの影へと腰を下ろして隠れていたリヴェラだったが、そこにシファがやってくる。 「……わぁ、っ……!」 自分のテリトリー内に急に侵入する者がいて驚いてしまい、咄嗟(とっさ)に飛び上がりそうになる。 シファは悠然とあまりにも自然に、溶け込むようにそこにいる。 リヴェラは気分を害し、露骨に嫌そうに睨む。 「お前かよ、脅かすなよ」 「そこにいたんですね。ひとりでしたか、私も隣に座ってもよろしいでしょうか?」 訊くや否や返答もないのに、法衣の裾をたくし上げ無遠慮にシファは腰を下ろす。 おい、と抗議の声を上げそうになる。構わずリヴェラの傍らに向き直る。 「ふたりっきりですね」 「…………!」 囁きながら突然、シファはリヴェラの太腿の上に手を置いた。 びくん、とリヴェラは上体を震わせる。恥辱で顔が赤く染まる。 リヴェラの膝をシファは撫でるように載せて反応を見ながら、ぞわぞわと這うようにゆっくりと手を動かす。その手が股間へと移動する。

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