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第12章 動けない部屋の中

 22時。体が重い。相変わらず背中が痛い。  僕は頓服の入った紙袋を睨み、小さく息をついた。そろそろと紙袋に手をかける。ゆっくり頓服のシートを取り出して見つめる。  一度シートをしまって、もう一度取り出す。  そうしている間にも、ツキ、と頭が鋭く痛み、僕に決断を迫ってくる。  息をひとつ吐いて薬を取り出し、サイドテーブルに置いていた水で流し込んだ。  すぐに布団に入り、目を閉じる。  このところ、一睡もできないまま、空が白み始めるのを見ていた。そのあとに見る時刻はいつもまちまちだった。寝た気がしないのだけど、浅いながら僕は眠っているらしかった。  やがてゆらりと頭の中が揺れて、吸い込まれるように僕は眠った。  目が覚めると、カーテンを閉めきった部屋はそれでも明るい。時計を見ようと少しだけ頭を動かしたら、それだけでとても疲れてしまった。 「11時……」  まるでシーツに縫い付けられているみたいに、身体が動かない。  仕事ができなくなったらどうしよう。このまま起き上がれなかったら。  納期は? 将来は?  次々と不安が浮かぶ中、筒井さんの顔がよぎった。  映画に誘ってから、会っていない。  最後まで、目が合わなかった。  ゆらゆらと頭の中が揺れ出す。……体と頭がバラバラだ。抗えずに、僕はもう一度眠りに落ちていった。  ……あたたかい。  向かいに筒井さんの柔らかな笑顔。  それだけで、胸の奥のこわばりが少しほどける。  静かすぎない明るいカフェで、筒井さんと僕は温かいカフェラテを飲んでいた。  気づいたら、見慣れた天井。また、夢を見ていた。  筒井さんと何を話していたのかはまるで覚えていない。残ったのは、春のひだまりみたいなあたたかさだった。

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