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第14章 会いたいと言ってもいいですか

 夢の余韻を柔らかに引きずったまま、スマホで時間を確かめる。8時。  背中が痛くない。頭もだ。  ゆっくりと立ち上がって、少しだけカーテンを開けた。光は、今日はまぶしくなかった。  筒井さんに会いたいと思った。  しばらく忙しいと言っていたから、また断られるかもしれない。  ……そのときは、そのときだ。  そんな思いが降ってきて、僕はLINEを開いた。 『今日会えませんか?』  一言だけ入力して、送信ボタンを押した。  するりと迷いなく行ったあとで、指先が震えだす。ベッドに突っ伏して、目をきつく瞑る。  だけどすぐに顔を上げた。  半熟の目玉焼き。トーストの香り。いつぶりかわからないくらいに、朝食を作った。カフェオレと一緒にテーブルに運ぶ。昨日まではベッドでゼリーやレトルトのお粥をちびちびと食べていたのに、ちゃんとおいしい。    洗い物を済ませて、メールチェックをしようとしたところでLINEの着信音が鳴った。  息を整えて開くと、『どこにしますか?』  一言だけだけど、じゅうぶんだった。 『スーパーの近くの公園で、今からでも大丈夫ですか?』  あとは送信ボタンを押すだけ。  指先が重たい。  その重みごと、僕はボタンを押した。    電車の中に足を踏み入れたみたいな心地がした。  5分も経たずに「行きます」と返信が来た。急いで身支度をして、僕は公園へ向かった。

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