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第2話

そういうと彼は俺の股間に触れていた手を離し、人差し指と中指で俺のちんこを下から上へと布越しに撫で上げた。 「興奮はしているんですよね。インポではなく」 「……ではないです。自分でするときだってちゃんとたつし」 「そうですか。…俺、今とっても苦しくて、もうやばくて…頭おかしくなりそうで…。俺を、助けてくれませんか」 「お、俺なんかでいいんですか。初めて会ったばっかの俺で」 「……あなたじゃなきゃ、嫌だ」 そういって彼は俺の体をぎゅっと抱きしめた。 「薬も飲んだけどずっと興奮収まんなくて。だから」 彼はこちらをじっと見つめ俺の唇に彼の少し乾いた唇を重ねてきた。その唇はふわっと柔らかかった。一瞬が数億年にも感じた後。 「俺たち、もしかして運命の番ってやつじゃないですか?」 そういって、彼は歯を見せて笑った。俺は思った。あぁ、最初に目が合った時から心を奪われていたんだ。このポラリスのような、潤んだきらめく瞳に。俺は部屋の鍵をカチャリとかけた。 「あ…ああっ」 じゅぶ、じゅぶ、と水音がする。彼は俺のちんこを口に含んでいた。唾液と俺の先走り液が混ざり合い口の中で溶け合っている。 「…ほう、ですか」 彼が俺のちんこを舐めながら聞いてくる。 「あっ、…す、すごく、気持ちいいです…」 「ん、よかった」 彼は垂れた横髪を耳にかき上げた。すこし吸い込むような形になっている頬が見える。その姿にとてもそそられるものがあり俺は気持ちが高ぶった。 「…イ、イきそうっ」 「ん、んんっ」 俺は彼の口の中で勢いよく果てた。彼は俺のそれを受け止めて、口でぐちゅぐちゅと含みそのままキスしてきた。 「んっ、んぅ」 ちゅく、ちゅくと舌で唇を暴かれ舌と舌が絡み合った。俺の出した精液は彼の口の中に残っていてそれもろとも唾液と混ざり合う。彼はごくんとそれを飲み込み唇を離した。 「…どうですか。自分の出した精子の味は」 「はじめて…だったんですが、なんというか…苦いというか、なまぐさいというか…おいしくない」 「ふふっ、そうですね。俺も味はおいしくはないけど気分は嬉しいです。俺のしたことであなたが気持ちよくなってくれて」 彼はにこっと微笑んでいた。口端から唾液や俺の精液がつぅーっとこぼれ落ち、彼は自分の手の甲でぐっと唇をぬぐった。 「俺ばっか気持ちよくなってて、ごめんなさい」 「そんなことないです」 「ううん、苦しいのはそっちでしょ」 「…あなたも十分苦しそうです」 彼は視線を下げ俺の再び勃起したちんこを指さした。 「…ごめんなさい。俺全然経験ないしヘタレだし、何したらいいか分かんなくて」 「いいですよ。俺が教えてあげます」 そういうと彼はズボンと下着を脱ぎ自分の尻の穴に指を入れ始めた。 「あっ、あぁっ」 彼は軽くうつむき目を閉じた。その姿はとても卑猥だった。ぐちゅ、ずちゅ、と指が動き、中から染み出てきた体液がぽたぽたと外へと垂れ床を濡らす。 「はぁ、あっ、ぅん…いい感じ、です」 彼は息を乱しながら俺に言った。 「そ、そうですか」 「はい。ここに…あなたのちんこを…入れて、ほしいです」 その言葉は俺にとって爆弾級の発言だったが俺は全力で冷静を装い返事をした。 「……あの、こういうのって、全然経験ないんですが」 「なんですか、今更」 「…ゴムってしたほうがいいんですよね」 「…あります」 「……」 彼はなんて準備が良いのだろう。 「勘違いしないでください。万が一用です」 彼はバッグから青いポーチを取り出しそこからコンドームを取り出した。 「…あなたが聞き分けのいい人でよかった」 「え?今なんて」 俺はコンドームの正しい付け方を頭の中でシミュレーションしていて彼の言葉が全く耳に入ってこなかった。 「いいえ、なんでもありません。…机の角に座って」 彼がなんと言ったのか気になったが俺は彼の言うことを聞いた。彼は袋から出したコンドームを俺のちんこに被せ、手と口を使ってちんこに装着しようとしていた。それを見て俺はさらにドキドキした。 「…えっろ」 「あなたを興奮させたんだったら、よかったです」 ふっ、ふぅ、と息を漏らしながら彼は俺のちんこにコンドームを被せた。 「よいしょ」 彼は俺に近づき、体と体が向かい合う状態で俺の太ももに体重を乗せた。見た目が華奢な彼は想像通り軽かった。 「あ!あ、あぁっ……んぅ」 彼は俺のちんこを尻の穴に挿入した。ゆっくりと俺のちんこはあたたかいふわふわの肉壁に包まれた。 「う、あ、俺、すごい、きもちいい」 「…俺もです。でも、まだ」 彼は体を前後に動かし俺のちんこの出し入れを始めた。ずちゅっ、ぐちゅっ、じゅぶっ、と部屋に体液の絡み合う水音が響く。 「あ、あっ、ふぁ…」 彼の顔はとろけていて目もとろんとしている。その時だった。 「んー?誰かいるー?」 ガチャガチャとドアノブを回す音と人の声がした。この声は江古田さんだ。 「あっ」 思わず俺は声を漏らす。 「あー、その声はノゾムだな?こんなところでなにをしている。鍵までかけて」 再びガチャガチャと音がした。俺は思わずとろとろになっている彼の口を掌でふさぐ。 「あぁ、えっと…さっきお客さんで急病人がいて、今会議室で休んでもらって俺が看病してたんですけど、持っていた薬を飲んでもらって、もう体調良くなったそうなので、もうすぐ帰宅されるそうです!」 俺はとっさに思いついたことを話した。 「そ、そうか。お客さんには無事帰ってもらうんだぞ」 「は、はい!」 「もうすぐ閉館作業でこの部屋も閉めるからな。そのお客さんを見送ったら事務所まで戻って報告しろよー」 「わ、わかりましたぁ」 コツコツと靴音が遠くへ離れていったのを耳で確認すると体の緊張が解け、はぁーっと深いためいきをついた。 「あーもう、びっくりし」 「うーっ!うーっ!」 彼が叫び声をあげ俺はずっと彼の口をふさいでいたことを思い出しすぐに手を外した。 「ご、ごめんなさいっ」 「いいですよ。…興奮、してしまいました」 彼の体を見てみると腹が精液で汚れており一度果てていたことが見てとれた。しかし彼のちんこはまた元気そうに上を向き我慢汁を垂らしている。 「…変態ですね」 「そんなことありません」 「…はやく終わらせましょう」 閉館時間も迫っていることもあるがそれよりも俺は理性を保つことと焦りで頭の中がいっぱいで、心はぐちゃぐちゃに色々な気持ちがせめぎ合っていた。俺は彼の腰を両手で抱いたまま机から降りる。そしてぐるりと体の向きを変え、ちんこも肉壁の中で回転させた。 「うぁっ!…んぅ」 「ここに手をついてください」 俺は彼に指示をした。 「…はい」 二人ともバックの体勢になり俺は彼の尻の穴に再度ちんこを挿入した。ぬるりとした温かい感触。とても最高だった。 「…動きますよ」 俺は腰を振り、少しずつ、ずちゅっ、ずちゅっ、とちんこを抜き差しした。 「あ…あぁっ…きもちいいです」 彼の尻の穴からはとろとろと体液がこぼれてきてそれは太ももを伝い落ちる。 「こっちも手伝いますね」 俺は彼の苦しそうなパンパンに張り詰めたちんこを左手でこすった。 「あ、ンッ」 はぁ、はぁと彼も気持ちよさそうに息を漏らしている。 「あっ、アッ、だめ、イっちゃう」 「…俺もです」 「…一緒に、イキたいです」 「…うん」 俺はもう我慢が出来ずガツガツと腰を打ちつけ、より奥へ、奥へとちんこを肉壁へぶつけた。しばらくすると 「んあ!あぁっ」 と彼が目を見開き、足をがくがくと震わせた。 「そこ、そこっ…!もっと、突いてぇ」 もしかしてここが彼の気持ちいいポイントなのだろうか。それを聞き彼の希望通りにそこを重点的にちんこで突いた。 「俺も、嬉しいっ。俺ので気持ちよくなってくれて」 そういって彼の顔を寄せキスをし、舌を絡めた。 「あふん、うっ、ぁん」 キスをしながら、ぐちゅ、ぐちゅ、ずちゅ、ぬちゅ、と腰を動かしていると彼はびくびくっと体を揺らしその後びゅーっと精子を腹に出した。俺も彼が果てた後すぐ、びゅっ、びゅっ、とコンドームの中に欲を吐き出した。 「はぁ…はぁ…」 俺は尻の穴からちんこをずるっと抜き、コンドームを外して上を結んだ。どうしよう、これ。どこに捨てよう。そんなことをうんうん悩んでいたら 「……ありがとう、ございます」 いつのまにか下着とズボンを身に着け、身支度を整えていた彼にお礼を言われた。 「あっ、は、発情は落ち着きましたか?」 「はい、おかげさまで」 彼は少しスッキリしたような顔をしていた。 「それはよかったです」 「もう帰ります。閉館時間なんですよね」 そう彼に言われ先ほど江古田さんに言われたことを思い出した。 「あっ、そうだった。待ってください。入口まで見送ります」 俺は急いでズボンを履こうとしたが下着にジッパーが引っかかりなかなか外れない。なんだくそ、こんなときに。 「いいですよ。…もう一人で歩けます」 そう言うと彼はすっと立ち上がりバッグを肩にかけた。 「あっ!ちょっと、待って」 「…なんでしょうか」 彼は落ち着いた顔で扉に手をかけ鍵を開けようとしているところだった。俺はなんとかジッパーを上げることに成功し 「名前!名前だけでも教えてください」 と俺の言葉を聞くと彼は少し考えたそぶりを見せて 「…サクノスケです。石杜大学一年、原野谷キャンパスに通ってます」 といい鍵をカチャっと開け、扉を開け小走りで走り去っていった。残された俺は茫然としていた。 「……同じ大学じゃん」 「あっ、ノゾム。お客さんは大丈夫だったのか?」 事務所に戻り江古田さんのもとへ向かうなりそう聞かれた。 「はい。無事体調も戻って先ほど帰られました」 「そうか。それはよかった。しかしもし今度具合悪いお客さんがいたら先に私に報告してくれよ」 「わかりました。すみません。さっきはとっさに自己判断してしまいました」 「いや、いいんだ。元気になったみたいだし。お前も急な対応、偉かったぞ」 「ありがとうございます」 「じゃ、私は館内の見回りをしてくるから。もう帰っていいぞ。時間だしな」 季節的に外はまだ明るいが時計に目をやると夕方五時十分を示していた。 「では、お疲れ様でした。お先に失礼します」 俺は江古田さんと他の職員さんに挨拶をした。頭の中は先ほどの事でいっぱいだったが、それをみんなに悟られないように必死だった。 ……明日、大学であの子のこと探してみよう。食堂にでも居るかなぁ……。そう思いながら俺は住んでいるマンションへと帰宅した。

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