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第7話
七月二十日
午前七時二十分。…起きた。今日は朝から講義がある。支度をしなければ。俺はベッドから出てトイレ、洗顔をすまし
キッチンへと向かった。ケトルに水を入れ、電源を入れる。戸棚からマグカップとインスタントコーヒーのビンを取り出し粉をマグカップにティースプーン二杯入れる。お湯が沸いたところで、マグカップへそそぎ、コポポとお湯の音がする。これが朝の日課である。スプーンでかきまぜたあと、コーヒーを持ってソファに座り、リモコンでテレビの電源を入れた。
ふとサクのことを思い出した。サクと出会ってから早くも三ケ月がたった。付き合い始めてから大学では昼飯を裏庭や食堂、近くの飲食店で一緒に食べたり、俺の仲間と一緒だったり、二人で一緒に帰ったり、図書館で勉強したりした。一度休みの日に電車で遊園地に行ったこともあった。その日のサクは子供のようにとてもはしゃいでいた。聞くと、サクは母親と二人暮らしらしく親と一緒に遊園地に遊びに行ったことがないのだという。『今日はすごく幸せ』と言ったサクのにんまりとした笑顔と言葉が忘れられない。俺がサクの家に行ってサクの作るご飯をごちそうになったり、サクが俺のうちに来てたこ焼きパーティーをすることもあった。あれはカラシやチョコレート、色々なものを入れたロシアンたこ焼で俺がハズレを食べたりサクが大当たりを食べたりしてとても面白く二人で大笑いした日だった。その日サクはうちに泊まっていったがベッドにはサクに寝てもらい、俺は床に毛布を敷いて寝た。出会った初日からあんなことがあった俺たちだったが俺はヘタレからなかなか抜け出せずキスすらできない有様だった。しかしサクは楽しそうに俺に付き合ってくれるし笑顔を見せてくれる。俺はそれで幸せを感じていた。性欲はないわけではないがどうサクにアプローチすればよいのかわからなかった。そうこう考えているうちに時間は過ぎていき、現在に至る。
俺はコーヒーを飲みながらテレビの朝のニュース番組を見ていた。大規模な火事、強盗事件、殺人事件…。毎日悲惨なニュースが流れる。物騒な世の中だな、と思いながらコーヒーを一口すする。すると、コトン、と玄関先から小さな音がした。ソファに座ったまま郵便受けをちらりと見てみると、何かがそこに入っているようだった。
俺はソファから立ち上がり、恐る恐る郵便受けをがたっと開けた。郵便受けの中を見てみるとそこにはA4の糊付けされていない茶封筒がひとつ入っていた。
俺は少しドキドキしながら茶封筒のふたを開き、中に入っている紙を取り出した。封筒の中には原稿用紙数枚と不思議な紙が入っていた。
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