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第9話
問題は、仲間はずれの頭文字を入れろ、か。俺は謎をざっと全体的に見た。これも星座に詳しい俺にとってはわりと簡単な問題だ。四角ごとにグループで、5つあるうちの一つが仲間外れである。すべて星座の名前で、左から順に春夏秋冬の順で並んでいるようだ。そしてその春夏秋冬に当てはまらない星座を抜き出すと……いて、みずがめ、やまねこ、しし。その頭文字を順番通りに並べると正解は『みやいし』である。…大学で『みやいし』を探せ?宮石にはさっき食堂で会ったばかりじゃないか。
「…ノゾム君?」
「あ、すみません。ちょっと考え事をしていて。これ、いただいてもよろしいですか?」
「えぇ、いいわよ、あの子があなたにって言ってたもの。受け取ってちょうだい」
「ありがとうございます。では、俺、大学戻ります」
「気を付けてね。それと…いつもサクノスケと仲良くしてくれて本当にありがとう」
「いいえ、こちらこそ。サクノスケ君とはとても楽しく過ごしています」
「そう、それならよかったわ。あの子、中学も高校も色々あってねぇ…。だから大学生活は大丈夫なのかしらって、心配していたのよ。そしたらノゾム君やあなたのお友達があの子と仲良くしてくれてるみたいで。あの子、夕飯の時あなたのことを楽しそうに話すのよ。いい先輩、いい人だって。ありがとう」
「そうですか」
俺はそんなことは全く知らなかったので少し恥ずかしくなったが素直に嬉しかった。
「あの子、ちょっと自分の気持ちを口に出すのが苦手だから…。ノゾム君がよかったらでいいんだけど、もしあの子の様子がおかしいと思うことがあったら、サクノスケに気持ちを聞いてほしいの。それでもあの子は話してくれないかもしれないけど、もしかしたら…あなただったら、サクノスケは心を開いてくれるかもしれないって思うのよ」
「そんな…。俺のこと買い被りすぎです」
「そんなことないわ。だってあの子、多分あなたのこと好きだもの」
「えっ」
「ふふふっ」
そう言って笑う母親の笑顔はサクそっくりだった。
俺は大学に戻り宮石のもとへ向かうことにした。今は十三時四十五分。三限の授業中だ。宮石にメッセージを送ると『中庭でジュース飲んでる』と返事がきた。俺は中庭へ行き宮石を見つけた。宮石は仲間の最上と一緒にベンチに腰かけていた。
「あ、戻ってきた」
「サクちゃんいなかったでしょ」
「なんで?」
「だってさっき大学ん中で会ったから」
宮石はさっき見た同じような茶封筒を俺に差し出した。
「またか」
「また?」
「いやこっちの話。そういえばサクはお前にこれを渡した後どこにいったの」
「さぁ、知らない。どこに行ったかは聞いてない」
「なんでだよ」
「なんか急いでるみたいですぐどっか行っちゃったから」
「そうか…」
俺は宮石から封筒を受け取り、中身を確認した。
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