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「──それで、お昼頃まで仲良く寝ていたわけですか」
「すみません⋯⋯。起こせば良かったのですが、一緒に寝てしまいまして⋯⋯」
「いえ、謝ることではありませんよ。そういう日があってもいいんじゃないでしょうか。姫宮さまは大河さまのことで手を焼いているでしょうし。それに今日は大河さまにとって特別な日ですし」
自分の世話係だという”おぐち”が「ねー」とわざわざ目線を合わせて言ってくるが、だっこしてくれているままの温もりが心地よくて、また寝たい気持ちになり、話を聞く気がなかった。
というよりも元々聞く気がない。
からかってくるし、ままと仲良くしていたのにいつの間にかままと離れさせられるから嫌なヤツだった。
目の前からいなくなれとパンチしてみたりするものの、それをいとも簡単に交わされてしまうから余計に腹が立った。
けれども、”れいすけ”と一緒でこっちの言いたいことが何となく分かるらしい。だから仕方なくお世話されてる。それに夜一人で寝られないし。
よく分からないけど、ままと一緒に寝れないから本当に腹立たしい。
一緒に寝られなくしているのはこいつのせいなのではと思うほどだ。
いつしか喋れるようになったら、いつしかままといつも一緒に寝られるようになったら、いなくなれと言おうと思う。
一番はままが喜んでくれたからだけど、そのためにれいすけに発音を教えてもらっている。
まだ何か言っているようだが、何も聞こえない。
どうでもいいから寝たい。
「大河。さすがにまた寝ちゃったら夜寝れなくなっちゃうから、もう起きようね」
ままの声がはっきりと聞こえ、眠いながらも目を擦り、うんと頷いた。
「いい子」と柔らかい声で褒めてくれた。
そうだ。今日こそはままと一緒に寝るために起きていなくては。
決意し、今日の夜まで待ちきれないとそわそわしている時、「ちょっと下ろすね」と床に下ろされた。
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