3 / 9
3.
いや、と言う前にそうされてしまい、数秒状況が理解ができなくなっていたが、「ま、ま⋯⋯だっ、⋯⋯こ⋯⋯」となんとか言って足にしがみついて抗議した。
まだだっこしてもらいたい。
「抱っこしてもらいたいの? でもごはんだから、また後でね」
眉を下げてままにそう言われたことで、お腹がその気になった。
「ふふ、もうお昼だからね。お腹空いちゃったよね」
「お腹は素直ですねぇ」
空いた音を聞かれたことがどことなく恥ずかしい。だけど、ごはんはごはんで《《まま》》にあーんしてもらえる。
そう思った時、足早に席に座った。
「ふふ、早く食べたいよね。今日は何かな」
笑みを零し、隣に座ったままが、「楽しみだね」と声を掛けた。
ままと一緒に食べれるのなら、なんでも嬉しいし、美味しい。あと、ハニワのお皿や箸にしてくれたらもっと嬉しい。
早くあーんして欲しい。
「お待たせしました。今日はハンバーグですよ」
にこりとしたあんのがそれぞれの前に置いていく。
"あんの"は、ままのことが大好きらしい。
ままのことを見たら、大きく喜んだり、お外から帰ってこなかったらそわそわ落ち着かなかったりする。けどわーわー騒いでうるさいし、何よりままのことが大好きなのが気に入らない。大好きなのはぼくだ。
でも、"おぐち"みたいにからかってこないから、まだいいかもしれない。ままよりちょっと美味しい料理を作ってくれるし。けど、急にままに抱きついてくるのは嫌だから止めてもらいたい。抱きつくのだってぼくしかやっちゃいけないのに。
「ハンバーグ美味しそうだね」
「ま⋯⋯ま⋯」
「うん?」
首を傾げて、何? と言うままに、あ、と口を開けた。
きょとんとした顔をしていたけれども、「あーんしてもらいたいの?」と微笑んだ。
いつもしていることだから、すぐに分かってくれた。
うん、と頷くと「いいよ」と言ってくれた。
ともだちにシェアしよう!

