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4.
ままの分のハンバーグからひと口分に切り分け、ふーふーと吹きかけたそれを「あーん」と差し出した。
それを口に入れ、もぐもぐした。
「美味しい?」
「んっ」
ままが食べやすいように冷ましてくれたおかげですごく美味しい。
「大河様に喜んでもらえて、作り甲斐がありますよ」
「いつも美味しい料理をありがとうございます」
「姫宮様にもお礼を言われて、安野は嬉しゅうございます⋯⋯!」
両手を握りしめ、満面の笑みを見せた。
目をよく見ると薄ら涙を浮かべているようだった。
大げさだなと、眉を潜めた。
いつまでもあんののことを見てないで欲しい。
「ま⋯⋯っ、まっ!」
「わっ、大河、急に抱きついてどうしたの」
こっちまでもがびっくりするくらい跳ね上がった。
さりげなく椅子から落ちないように抱きしめてくれたことに嬉しく思いつつ、それに甘えた。
「いつまでもぼくのママさまを取られているのが嫌だったんじゃないでしょうか」
「あら、それは申し訳ありません」
「一人でもライバルは減らしたいですしねぇ?」
「ライバルだなんて、私はそのような立場を臨んでおりませんよ、大河様。それだけは誤解しないでください!」
おぐちとあんのが何か言っているが、それよりも「大河、突然あんなことをしたら、ママびっくりしちゃうから、ダメだよ」とままにとっての怒り方をしたが、それも嬉しく思い、頬擦りしていた。
はっ、こんなことをしている場合じゃない。
「もう、大河⋯⋯」と少しばかり呆れたような声を上げるままのことをよそに、とっておきのハニワのフォークで自分の分のハンバーグを切り分けた。
ままのように真似してみたが、ままよりも大きく切り分けてしまったそれをどうしようかと思ったが、大きくても食べてくれるはずとフォークを突き刺し、それをままに向けた。
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