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7.
「慶様が?」
驚いて、けれども嬉しそうにしていた。
話も途中にままは、玄関に続く扉に目を向けていた。
すると、あんのと共にやってきたのが。
「愛賀、久しぶりだな」
「慶様」
軽く手を上げたみつきどうに駆け寄った。
うわぁ、出た。一番の敵。
ままのことを奪う悪いやつ。
「お忙しい合間に来てくださってありがとうございます」
「なに今日は大河にとって特別な日だからな。どんなに忙しくても来る」
別に来なくてもいいんだけど。
ままと楽しくお喋りしていたのに、そのままはあんなのと楽しそうにお喋りしている。
むかつく。
でも、やつが抱えている可愛い包みが気になった。
「あーあ、ママさま取られちゃってますよ。奪い返しに行かないんですかー?」
後ろにいた”おぐち”が呆れと面白そうと言っている声を上げた。
そうしたいのなら、今すぐにでもそうしてる。
けど、ままがぼくに向けるような嬉しそうで優しい笑顔をしているから、ままを取り返したら、ままが悲しむ。
むかつくけど、たまにはやつに譲るしかない。むかつくけど。
「⋯⋯ママさまは御月堂さまのことが大好きですが、大河さまのことも大好きですもんね。だから、あっちに行っても愛は変わらないと?」
わかってる、とうんと頷いた。
「そうですか。仲がよろしいことで。まぁ、あーんするほどの仲ですもんね。あれは恐らく御月堂さまもしたこともされたこともないんじゃないでしょうか」
多分、見たことがないから、ぼくしかやったことがないはずだ。
何とも誇らしい。あいつに勝ってるものがあった。
だったらあのぐらいのことなら許してもいい。
たまにしか会えないあいつは、いつもままと一緒にいるぼくのことを羨ましいと思っていることだろう。
いい気分。
ふふん、と胸を逸らしていた。
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