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キミなしでは、もう生きられない・第1話-5
「阿方さんこそ、急に可愛い声を出さないでもらえますか? 阿方さんが目の前にいるだけで、コマンドで言うこときかせたいっていうのに理性まで失ってしまったら、めちゃくちゃにしちゃいそうで……」
「め、めちゃくちゃって! それって……」
「もう……ボクにとって最高のSubだって思ってたけれど、阿方さんはそれ以上に可愛い反応してくれるからプレイだけじゃすまなくなっちゃうっていう意味です」
「プレイだけじゃない? っていうかプレイしようとしてるのかよ!」
「プレイしないと阿方さんの不調は治らないのはご存じで?」
いちどもDomとプレイ経験がない蒼真にとって、その選択はすぐに答えがでない。首をひたすら横に振って抵抗をしてみるが、全身で彼を求めているようで命令を欲しくて鼓動が早くなる。それに「プレイ」という言葉を聞いただけで腰の奥が重くなり、しっかりと下半身は勃ち上がってしまった。
「阿方さんにはコマンド使わなくてもボクに従順な体ですね。ほら、ここはボクに触って欲しくて勃起してますよ」
半藤は指の腹で蒼真の硬くなった先端に触れる。
「あぁんっ!」
ほんの一秒にも満たないあいだ、触られただけなのに、過剰な快感が駆け巡った。どうして彼の温度は嫌ではないのだろう。これまでもセックスする機会はあったけれど満足を得られることはなく疲れるだけの交わりだった。しかし半藤に触れられるともっと欲しくて体が疼いてしまう。プレイを期待しているのか、筋肉質で体格が良い整った顔立ちの半藤に抱かれたいのか答えがでない。
「Say! 」
なかなかプレイを承諾しない蒼真にしびれをきらした半藤にコマンドを使われた。
「ちゃんとおねだりしてくださいね、阿方さん。じゃないともう触ってあげません」
「やぁっ、やだぁ」
蒼真は喘ぎ声のような言葉を発しながら、触れられても抱かれてもいないのにぞくりと興奮が増した。
「ちゃんと言わないと、プレイしませんよ。こんなに体は欲しがって苦しんでるのに」
溜まっていた欲は耳元で囁かれる言葉だけで、先走りとなり濡れる。ラブホテルの照明がそこにあたるときらりと光り、触られていないのにも関わらず濡れていることに恥ずかしさが増した。
「ほら……根元まで垂れてきちゃってますよ。こっちも処理してなかったんですか?」
亮之に抱いた気持ちが恋かもしれないと思い始めてからは、蒼真の妄想の供は亮之がパートナーと交わる情事だ。同じSub性である亮之とはプレイはできない。それに亮之のほうが先にパートナー兼恋人を作って海外へ旅立ってしまったのだからなすすべはないのだ。
失恋だとか、嫉妬だとか、亮之に対してそんなことを思いたくないが,彼が居なくなってからSub特有の支配されたいという欲がオーバーフローしてしまい、自慰行為どころではなかった。
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