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キミなしでは、もう生きられない・第1話-7
「今日はさ、阿方さんと再会した記念日だから。優しいプレイにしますね」
「……優しくないプレイってあるの? 俺、初めてするプレイだから分かんないんだ」
「えっ? 初めて? 阿方さんにプレイをするDomはボクがいちばん先だったってこと?」
蒼真はこくりと頷く。それと同時に半藤は喉を鳴らした。我慢できないとでも言いたげな顔で蒼真は抱き寄せられる。誰かに感情的に抱き締められるのも初めてだ。
「いままでどうやって抑えていたんですか? こんなにボロボロになるまで欲しているのに……。だから今年は一軍で投げてないとか?」
そんなこと蒼真が聞きたかった。このまま野球人生が終わるのではないかっていうくらい辛くて仕方ないというのに。
「……こんなこと半藤にお願いすることじゃないかもだけど。野球をやめたくないんだ、俺」
「分かってます。ボクだってもっと見ていたいですから、阿方さんの投げている姿」
顎を半藤に掴まれて、鼻梁の先で蒼真の鼻筋をすぅっと撫でる。触れそうで触れてくれない唇がもどかしい。その気持ちがバレたのか「キスして欲しいんですか?」と唇に人差し指が触れる。
唇が震えすぎて言葉が出ない。Domの香りがどんどん自分のなかへ浸透してゆき、もっととねだる心がうるさくなる。
「言わないとキスしませんよ。ボクがキスしたら、きっと明日は投げられるはずです」
とろんと溶けるような思考はもはや普段の蒼真とは別人だ。通常ならばお願いしないような欲で支配される。
「き、キスしたいよ、半藤……」
半藤のキスが欲しすぎて舌を出してその瞬間を待つ。その姿を見た半藤は「阿方さん……想像以上に欲しがりで可愛いです」と一瞬、余裕のない目つきで睨まれたと思ったら唇が重なった。
「んっ、んっ……」
軽めで終わる口づけのわけがない。いちどひっついたら離れることを知らないような濃密な唇の交わり。
むさぼるように互いに唇を挟み、滑り込んだ舌先が絡み合って気が付けば重なっている下半身に半藤の硬いものが当たっている。
「まだキスだけなのにね。さっきより大きくなってますね」
キスを続けながら半藤は蒼真の反り返るものに大きな手のひらをあてがう。その手のひらに残された皮膚の柔らかさに半藤は野球を辞めてしまったのだろうか、と頭をよぎった。ピッチャーなら必ずある、手のひらのマメの痕がない。
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