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キミなしでは、もう生きられない・第3話-2

 天井を見上げて考えた。なぜか蒼真の脳裏には亮之がアメリカへ旅立つときに言った「グッバイ、蒼真さん」というセリフが過ぎる。 「グッバイ、で」 「……分かりました。なんだかぜったいに言われたくないなぁ、そのセーフワード」  困ったように眉をひそめて笑う半藤は「すこし飲みます? まだ夜は長いですしね」と立ち上がって冷蔵庫からチーズと白ワインを取り出してグラスに注いでくれた。 「半藤は綺麗好きなんだな」  リビングの眺めはシンプルで清潔感のある生活が想像できる。蒼真もどちらかというとそっち側の人間だった。物はあまり持たず、良質なものだけに囲まれて暮らしたい。それなりに活躍していたときは年俸も良かったから憧れの車を手に入れることができた。いまはだいぶ給料は下げられてしまったので維持費もかかって仕方ないが愛着のある車を手放したくない。ひとつのものを長く愛用したいタイプなのだ。  たぶん恋愛もそうだ、と蒼真は思う。ひとりの人を好きになったら長く、誰かと恋人になったら一生一緒にいたいとか言ってしまうだろう。亮之にはSub同士ということもあり、恋かどうかもあやふやな気持ちを伝えることもなく終わりを迎えてしまったが、半藤はDomだ。もしこれからプレイをして、彼の色に染められたら、恋にも落ちてゆくものだろうか。そもそもパートナーと恋人はどう違うのだろう。 「阿方さんは? ボクの予想だと黒を基調にしたインテリアな気がしますが」 「まぁ、だいたい合ってるかな」  口当たりの良い白ワインで飲むペースが早まってしまう。酒は強いほうだが、人の部屋で酔いつぶれるのも良くないだろう。 「こんど阿方さんの部屋にも行ってみたいです。もしボクとパートナーになってくれるなら、いっしょに住むのはどうでしょう。ボクはどちらかというとお気に入りをずっと手放したくないタイプなんです。だから阿方さんと出会ってからいちども他の人を好きになったことはなくて……」 「たぶん俺もそうだと思う。パートナーと恋人の違いは分からないけど、誰かとそういう関係を結んだら、他の人は目に入らなくなる」 「ホントですか? あぁ、はやく阿方さんとパートナーになりたいなぁ。そしたらボク以外は考えられなくなるってことですよね」

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