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キミなしでは、もう生きられない・第4話-1
半藤のSUV車で助手席に座った蒼真が向かったのは臨海副都心にオープンした商業施設だ。
ショッピングモール・劇場・ホテルが組み合わさった話題の場所だからシーズン中はなかなか訪れることはできないうえに、独り身の蒼真にとってはよっぽど欲しいものがない限り足を踏み入れない施設だ。
「平日だけど、夏休みだからけっこう人いますね」
家族連れが多いなか体格があきらかに一般人と違うふたりが並んで歩いている。勘のいい人ならプロスポーツ選手だと気づかれるかもしれない。
「阿方さん、サングラスもなにもしてないけど、大丈夫ですか? 人だかりできちゃったりしません?」
「まさか。俺のこと気づく人なんていないよ。球場や練習場の近くなら声掛けられるけど。日本代表や一軍の選手だってめったに気づかれないさ」
インテリアショップに書店、ハイブランドから生活雑貨などさまざまな店舗を半藤といっしょに目的もなく眺めて歩く。お互いに一人暮らしだからインテリアの店に入って使ってみたい家具などを言い合った。
「趣味合いそうですね、阿方さんと」
好意を寄せてくれているからというポイントを抜きにしても半藤の配色センスは蒼真とぴったり合致した。きっと同じ空間に住んでも意見が割れることがなさそうだ、なんて思って頬が赤くなってしまう。
「もし恋人になって、パートナーにもなれたら、いっしょに暮らしたいなぁ。仕事ですれ違っても帰る場所に好きなひとがいるって思うだけで、安心できますし」
十センチくらい身長が違う半藤に見下ろされた目尻には優しげな皺が寄っている。その表情に蒼真は胸がちくりと鳴った。きっと自分も同じだ。試合で気持ち良く投げられた日も、打ち込まれてへこんだ日も、家に半藤がいたらその癒されそうな表情を見ただけで回復できるような気がする。
「……俺もどっちかといえば、恋人ができたら会える時間はいっしょにいたいタイプだと、思う」
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