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キミなしでは、もう生きられない・第4話-3

「いらっしゃいませ。きょうは何をお探しですか?」  黒いスーツを身に着けた女性が白い手袋をはめて蒼真と半藤に向かって尋ねた。 「はい、ボクの恋人にぴったりな指輪を見に来ました。あとカラーもいくつか試したいのですが」 「かしこまりました。リングですとお客さまとお連れさまがつけるものでよろしいでしょうか」  そう言って店員の女性はショーケースからシンプルなプラチナリングを取り出した。 「ラフなペアリングもありますが、長くつけるのであれば結婚指輪のようにプラチナが間違いないかと」  蒼真と半藤の左手を見ただけで、その店員はぴったりなサイズを探し出して試着させてくれる。同じリングが互いの左手薬指に光り、胸が疼く。 「ではカラーもつけてみます? ぜひお客さまがつけてあげてください」  シンプルなエナメル調で黒色の首輪、ちりんと鳴る鈴がついたタイプ、それから本格的な牛革で作られたものが用意された。 「やっぱり阿方さんには革がいいと思うんだ」  蒼真もそう思った。グローブの手入れをするから革はまいにち触るもの。だから身に着けるものも牛革がいい。 「わぁ、似合いますね、阿方さん。指輪して、カラーした姿が見られるなんて夢みたい」  どうぞと店員さんが蒼真の前に鏡を置く。そこに映った自分の姿は半藤と契りを交わした蒼真が憧れているSubだった。 「恥ずかしいけど……悪くない、かも」

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