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キミなしでは、もう生きられない・第4話-10

 夕方と言えども夏の太陽はなかなか沈まない。  半藤の部屋に戻ってきた蒼真は玄関で靴を脱ぐや否や、半藤に廊下の壁に押し付けられた。 「寝室まで行くのすら我慢できないです」  両手首を掴まれて抵抗をできないようにされる。壁と半藤の体に挟まれた蒼真は「んっ」と甘い声を出してしまった。まるでそうされるのを期待していたかのように。 「ずっと欲しかったんじゃないですか、ボクのキス」  間髪あけずに半藤の唇が強く重なり、息ができないくらいに吸われる。電気もついてない部屋で西日だけがうっすらと廊下に差し込んではっきりと半藤の顔が見えない。  ちゅくちゅくと唇同士の音だけが響き、耳からも興奮を覚える。 「はぁっ、んっ……」  息継ぎのたびに声を漏らしてしまい、半藤はそれが合図かのように舌先を蒼真の歯列を割ってねじ込ませた。舌で蒼真の口内をとことん味わうように駆け巡る。怯えていた蒼真の舌もその動きを追うように絡ませた。まだ服だって脱いでいないのにキスだけで官能的な悦びを得られることを初めて知る。まるで性器が自分のなかに入ってきたかのようにいやらしい。  半藤は蒼真の両手を開放し、腰を掴んで引き寄せた。 「勃ってるよ、阿方さん」 「っ! だ、だって……半藤のキス、気持ちよくて」 「素直でいい子です。もっと気持ちよくしてあげますから」  じゅるっと唇ごと食べられてしまいそうな音を立てて、たっぷりと吸い上げられる。だらしなく力の抜けた舌をそのまま扱くように半藤は唇で舐めた。まるでそれは自分の硬くなったものを舐められているかのようで、蒼真は腰の力が抜けて脚が震えてしまう。 「あぁっ! んっ、あーっ!」  声にならないような叫びを上げた瞬間、蒼真はズボン中で射精してしまった。 「阿方さん? もしかして、出ちゃいました?」  へたるようにフローリングへ座り込んだ蒼真は濡れた股間の部分を両手で隠す。まだ出ているようで染みがじわりと広がる。 「隠さないで、ボクにみせて」  キスで精を放ってしまったことが恥ずかしくて半藤の顔が見れないが、命令だと受け取った蒼真は隠していた両手を離した。 「わぁ、いっぱい出ましたね。そんなに気持ち良かったですか? ボクのキス」  俯いたまま頷くと半藤は蒼真のベルトを外して汚れたズボンのファスナーを下ろした。まだ勃起は続いており、べとべとの下着を突き破るように先が飛び出している。 「ボクはひとこともいっていいなんて、言ってないのに。悪い子だ、阿方さん」  ドクンと蒼真は体をびくりとさせた。言うことを聞けなかったらどうなってしまうのだろうか。恐怖を感じながらもその先のおしおきを期待する自分が現われる。

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