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キミのすべてを、受け止めたい・第1話-1
後半のレギュラーシーズンを前に、蒼真は半藤と二日間の休暇を過ごした。
二十七年間、恋人と呼ぶような相手がいなかったのに、とつぜん吸い寄せられるようにパートナー兼恋人ができた。まだ実感がわかないが、いつも何気なく見ているはずの風景がふだんより眩しく見えるのはそのせいなのだろうか。
半藤と行ってみたいごはん屋が目に付いたり、スマホをわけもなく覗いたり、誰かのことで頭がいっぱいという経験が初めてだ。
チームの全体練習を翌日に控え、蒼真は体を慣らすために球団施設の練習場へやって来た。意気込む選手は蒼真だけではなく、だいたいの選手は参集している。
ロッカールームで練習着に着替えようと服を脱いだ蒼真は首元につけたネックレスに手をかける。
それはこの休みのあいだに半藤から贈られたペアリングだ。プレーする際にも身につけられるように首から下げられるチェーンを買った。それだけなのに今日という日を頑張れそうな気がするのはなぜだろう。恋人から贈られた物がこんなにも気持ちに影響があることに初めて知る。
キュッと手のひらでリングの部分を握り、目を閉じる。
恐らくサブスペースに入ってしまい、恋人になったあとの行為は途中から記憶がない。それでも自分の体の状態が軽いだけで彼の愛情を受け取れたんだな、と胸がじわっと熱くなる。
「おっ、蒼真。ネックレスなんて珍しいな。磁気で血行を良くするようなアレか?」
「あ、まぁ、そんなもんです」
同じく自主練に来ていた先輩ピッチャーにネックレスのことを聞かれ、上着を慌てて着ようするくらい動揺してしまう。磁気ネックレスをしている選手は多い。だから蒼真も恋人からの贈り物だとバレないようにネックレス自体はそれに似せた形状のものを選んだ。
アンダーシャツの上にネックレスを出して、その上からTシャツを被って隠すと胸元を押さえ「よし」と鏡を覗く。
自分の首元を見つめた瞬間、カラーを試着したときのことを思い出し、動きが止まってしまった。
初めてカラーというものを試着したあの日から、どうしてもその自分の姿が忘れられないのだ。
半藤の手でカラーをつけてもらった姿はまるで理想の自分がその鏡のなかにいるかのようだった。
いつか、自分も欲しいと期待してしまう。恋人兼パートナーになったのだから半藤からもらえるものなのだろうか。
もしかしたら、もっと半藤の言うことを聞いたら、「GoodBoy」と頭を撫でながら、カラーを受け取ることができるのかもしれない──。
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