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キミのすべてを、受け止めたい・第1話-3

 練習を終えた蒼真と叶野は練習場のシャワーを浴びたあと、徒歩で練習場の近くにあるいきつけの中華屋へ向かった。  広めの店内を構える町中華屋だ。座敷とテーブル席、それにカウンターがあるが、チームメイトと来たときはだいたい奥の円卓がある半個室に通される。  スポーツ選手向けの量なのかは分からないが、普通盛りを頼んでも明らかにオーバーな盛り付けが特徴で、その料理皿が並び始めると条件反射で腹が鳴ってしまうまでが定番だ。 「うまそうだな。施設のメシもいいけど、練習後にここの中華食べるのが楽しみだったりするよな。とくにこの大盛炒飯!」 「それ、わかるっす。オレは塩だれの天津飯も好きですね」  叶野が皿に取り分けているあいだ、スマホの画面が光ったのが目に入る。半藤からのメッセージだ。中華屋に入る前、『後輩とふたりでメシ行ってくる』とだけ送った返事かもしれない。 『帰るとき、連絡して』  怒っているような短文に蒼真はどきりと胸の奥が痛んだ。恋人になった日に連絡交換したばかりだから、ふだんのやりとりの日数は浅い。もしかしたら仕事中だから手短に返したのかもしれないが、たった一行のメッセージにも一喜一憂してしまうのがなんだか恥ずかしい。  今夜は半藤と会う約束をしているわけではないが、隠しごとをしたくなくて連絡した。帰る時間を半藤に知らせるのは何の意味があるのだろう。 「蒼真さん、どうかしました? いいひとさんからですか?」  餃子をたて続けに口に運ぶ叶野に心配そうな顔で尋ねられた。 「なぁ、潤は恋人いたことある?」 「はい、いちおう。高校の野球部は恋愛禁止だったんで、ドラフト決定してから入寮までのほんの数か月っすよ」 「彼女……、だよな?」 「そうっすね。他校でオレのファンっていう子で……プロになる前にそっちの経験積んどきたかったっていうか。気持ちがついていかないまま付き合ってしまったから、すぐに思いっきりフラれました」  へらっと笑いながら叶野は「恋とかよく分からないっすね。興味がないわけではないんですけど」と言った。  自分とは真逆かもしれない、と蒼真は思った。恋かどうか気づけないまま、ある特定の人物から独占されたいと思ってしまう矛盾だ。

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