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キミのすべてを、受け止めたい・第1話-5
「いやぁ、ウチのチームの将来は安泰だな。こんな頼もしいキャッチャーが存在するなんて、ピッチャーとしては安心して投げられるわ」
褒められた叶野は調子に乗ったのか「で、蒼真さんのカレシって、どんな人なんですか?」と身を乗り出した。
「カレシ……、そうだな、そうなるのか。っていうか、潤も気づいてたのか、俺が同性を好きになる傾向があることを」
しまった、という顔をした叶野に、すいません、と謝られた。
「なんとなく風の噂というか……亮之さんとの関係は誰が見ても分かるっていうか。でもSub同士だよなぁ、とかオレのなかで一年目のときからモヤモヤしてたんっすよ! それに蒼真さんが今年、なかなか調子出ないのは亮之さんが恋人作ってアメリカ行ったからって思ってましたし」
叶野の察知能力は想像よりも高いようだ。なにもかも見抜かれている。蒼真が図星というような表情をしていたせいか、叶野は「でも、カレシさんができてよかったですね!」と満面の笑みで炒飯をかきこんだ。
「おみごとだな。潤が思っているとおりだよ。いま付き合い始めた恋人も同性なんだ。ずっと俺のこと好きみたいでさ。最初はプレイだけだって思ってたけど、気づいたら恋人兼パートナーになってた。ほとんど記憶がないんだけど、体の調子もいいし、彼といっしょにいると満たされるっていうか……。薬以上に頼れるんだ」
するすると半藤への想いが口から溢れてしまう。はやく脳がとろけるような命令が欲しいと全身で彼を欲してしまう。
「もしかして……蒼真さん、サブスペースを経験したんですか?」
「あぁ、恐らくな」
叶野は大げさに肩を動かしながら溜息をつく。
「サブスぺのときって、記憶ないんですよね? 何されているか分からないのに、それで相手を好きだって言い切れるんすか?」
叶野にじっと見つめられながら蒼真は考えた。ほんとうに好き? 自分は半藤のことを、ほんとうに好きなのだろうか。
プレイから始まった出会いなんて叶野に言ったらなにを言われるか分からない。どんなきっかけだったとしても、いまの蒼真にとって半藤の存在が大切だ。
「そうだな、まだ相手の感情に流されている部分も多いけど……。それでもさ、誰かに共有したい出来事があったとするだろ? それを話したいといちばん先に浮かぶのがカレなんだ」
今日いちばんの大きな声だったかもしれない。蒼真の熱い言葉を聞いた叶野は「よかった」と安堵の表情を作る。
「もし亮之さんを失った淋しさだけで付き合ってるなら、後悔するんじゃないかって思っちゃって。蒼真さんがちゃんと前を向いてカレシさんを受け入れたなら安心しました。それにSubの発作にも苦しまなくてすみますしね!」
やっぱり叶野は強がっているだけで、この先訪れるかもしれない体の不調を恐れているのかもしれない。
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