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キミのすべてを、受け止めたい・第1話-6

「羨ましそうな顔するなって。潤も無理しないで、辛かったら片山さんに相談しろよ」  はい、と叶野は頷くと「あー、那須さんと仲良くなったら、また三人でここに来ましょう?」と子犬のように甘えた声を出した。 「お、いいな、それ。潤はほんとうに那須さんのこと気になってるんだな」  そんなことない、と言わんばかりに、ぶんぶんと首を縦に振る叶野に蒼真は亮之と出会ったときのことを思い出す。憧れの存在はほんの小さなきっかけで恋のようなものに変わる可能性がある。たまたま亮之はSub性だったから発展することはなかったけれど、もしDomだったら、と思うと武者震いが起こる。自分ではなく違うSubをパートナーに据えてアメリカへ旅立ったとしたら──。間違いなく蒼真は心身ともにバラバラになっていただろう。 「もし那須さんがDomだったら、どうするんだ?」  万が一、相性がよいDomだったらオーラだけでも引き寄せられてしまうこともある。自分の意志すらコントロールされてしまうのだから逃れられない。恐らく半藤との関係のはじまりはそれだと蒼真は思っていた。 「えっ!」と叶野は頬を染めた。Domの那須の姿でも想像したのだろうか。 「そ、そういう関係にはならないっすよ!」 「と言ってもさ、最終決定は俺たちSubにあるから。パートナーだって解消することができるし。でも、そんなに顔を赤くするほど憧れてるなら、分かんないぞー?」  盛大に照れた叶野はウーロン茶を一気飲みして、おかわりを注文した。  叶野との食事に夢中になっていた蒼真は半藤からのメッセージのことなど、すっかり忘れていた。帰るときに連絡すればきっと元通りの雰囲気に戻っているかもしれない、と中華屋を出てから施設の駐車場に戻り、停めていた車に乗り込む。 『遅くなってごめん。いまから帰る』  それだけ打つとエンジンをかけて、自宅へ車を走らせた。信号で停まるたびにスマホに目が行ってしまう。半藤からはなにも返事はない。

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