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キミのすべてを、受け止めたい・第1話-7

 帰るときに連絡しろって言ったくせに、と胸の奥がもやもやとした不満でいっぱいになる。会いたいとか、迎えにいくとか、そんな甘い言葉を期待してしまうから返事がないことに苛立ってしまうのかもしれない。  叶野といるあいだは淋しいなんて思わなかったけれど、ひとりになると半藤に会いたくて、会えない時間が長く感じた。  次に会えるのはいつなのだろう。このまま誘われなかったら、自分から誘ったほうがいいのだろうか。  そんなことを考えていると眉間に皺が寄っていることに車の窓に映った姿で気が付いた。 「付き合うって落ち着かないもんだな」  蒼真は自宅マンションの駐車場に車を停めてエントランスへ向かう。すると正面から視線を感じ、ふと顔を上げるとエレベーターホールに続くオートロックのドアの前でサングラスをかけた半藤が腕組みをして立っていた。 「えっ、な、半藤? どうしてここにいるの?」  会いたかった人がそこに居たことに驚いた蒼真は「どうして俺の家、分かったんだ?」と駆け寄る。 「ちゃんと連絡寄越して、どこへも寄らずに帰ってきたみたいで良い子ですね、阿方さん」  サングラスをずらした半藤にまっすぐ瞳を覗かれた蒼真は褒められたせいかギュッと胸が苦しい。そんな蒼真をおかまいなしに半藤は腕をひっぱり抱き寄せる。 「ちょっ、ここ、まだ、外だよ……」  半藤の体温を感じてしまえば蕩けそうなくらい足に力が入らない。でも誰が見てるか分からない場所では甘えたくても甘えられなかった。 「と、とにかく中入ろ?」  オートロックを解除した蒼真は半藤を連れてエレベーターで部屋まで向かった。 「703号室ですよね?」  七階で降りるととつぜん半藤は蒼真の住む部屋の番号を呟いた。そうだけど、と言うと満足そうな顔でサングラスを外す。 「じつは阿方さんをホテルに連れ込んだときに抑制剤だけじゃなくて、免許証も見ちゃったんです。もし自宅まで連れていかないとダメな状態かもしれないって思ったんで」 「……その節は世話をかけた。ごめん。そ、それに俺たち付き合ってるなら、お互いの家を知らせておくべきだったよな」  鍵を開けて、どうぞ、と半藤を先に玄関へ通した。

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