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キミのすべてを、受け止めたい・第1話-10

 ローション片手に持った半藤に長いキスをされた。そのあいだに指を臀部の奥の窄まりに這わせ、とんとんとノックするように突かれる。  体は順応で欲しいものは手に入れたいのか、指を咥えようと緩むのが分かる。さきほど垂れた先走りのぬるつきも相まって半藤の指を迎えようとしていた。 「エッチすぎ……阿方さん。初めてとは思えない。ほら少しずつ指を咥え込むし」  半藤は片手でローションの蓋を開けて、つぅっとすこしだけ入った指の部分に垂らした。ひやりとした感触で穴はきゅっと締まる。 「んーっ、こんなキツイとボクがもたない気がします。もっとほぐしますね」  第一関節まで、第二関節まで、そっと入れられ、なんども大丈夫かと確認してくれる半藤は額に汗がびっしりと浮かんでいた。まだ動いてもないのに蒼真の中の感触だけでなにか我慢をしているのかもしれない。 「あぁ、こんなことならもうちょっと抑制剤飲んでおけばよかった……! 阿方さんの中へ指が入ってるだけなのに壊したい欲が込み上げてきておかしくなりそう……」 「今日は恋人だよ、半藤」 「で、でも……阿方さんがすごく何か欲しそうな顔で良さそうにしてるのはずるいです。サブスぺの姿もものすごく好きですけど、恋人として抱かれてる阿方さんはもっともっとボクのDom欲を刺激してくる」  それまでゆっくり入っていた指がとつぜん奥へ突き進んだ。すると腹側を擦られ、いままでとは違う快感が全身を巡り大声を上げてしまった。 「ダメ、そこ、いいっ! あぁっ!」 「見つけちゃった、阿方さんのいいとこ。ここですね。こうやって内側から叩くと気持ちいいですよね?」  たしかに半藤の言う通りだった。中をいじられても屹立が緩むことはなかった。むしろどんどん濡れてしまっている。 「気持ち良さそうだから、指増やしますね」  一本が二本になり、ゆるゆると広がる感覚が手に取るように分かる。三本入れられたところで半藤は腹の上に落とした避妊具を唇で開けて、見たことない大きさに勃ち上がっているものに被せた。 「すこしずつ挿れるので、無理そうだったら言ってください」  指がずるりと抜かれると、「あぁんっ」と声をあげた瞬間、半藤の先端が入り込んだ。指とはまるで違う大きさに息が止まりそうになったが、「ふぅって息を吐いてください。それに合わせて進めますから」とクールな顔つきとは程遠い余裕のない顔で言われた。 「そう、とても上手です、阿方さん」  半分くらい挿入したところで「この先、進めても?」とキスを落とす。  もうなにがなんだか分からない蒼真は「ぜんぶ、半藤のぜんぶ欲しいの」と叫んでいた。 「好き、ほんと大好き。サブスぺじゃない阿方さんもこんなに可愛いなんて……ボクは幸せ者だな」  腰を掴まれた蒼真は目を固くつぶり、動く半藤を中で感じる。Subの自分もそうではない自分も好きでいてくれる半藤を蒼真は愛おしく想った。彼が望むなら、もっと気持ちよくさせてあげたい。自分の体で悦んでもらえるなら、どんなに抱かれても構わない──。 「あぁっ、なかふじぃ、お、奥すごく、いいっ、もっと、もっとぉ、ちょうだい!」  腹の上で動く半藤のお陰で蒼真の前側も擦れてたまらなく気持ちいい。コマンドがなくても半藤との行為は心が満たされるのが分かる。きっと愛されていることが実感できるからだ。 「阿方さんってキスすると、中を締め付けてくるから、ぜんぜんボクが持たないや」 「じゃあ、キスやめる?」 「それはボクが嫌。だって阿方さんだってキスしたいですよね?」 「ん……。したい」  全身が半藤と繋がっている。唇も舌も、お腹の中も、手のひらも──。  この人が好きだ、蒼真はじわりと目の淵に涙が溜まる。 「なかふじぃ……俺、半藤とひとつになれてよかった」 「いまそんなセリフ言わないで! 阿方さん、オレ、いきそうですっ!」  ふだんなら命令されて頂点に向かうので、半藤からのコマンドを待っている自分がいた。  でも今日はいいんだ、半藤といっしょに自分で快楽の向こうへ行っていいんだ──。 「うん、俺も出るっ!」  キスをしたまま、半藤は低く呻き、いちばん奥を突いた瞬間、深く溜息をついた。脈を打つように腹の中で半藤のものが動いている。 「……阿方さんのは、ボクの体にいっぱい飛ばしてくれたんですね」  しばらくして呼吸が整った半藤が起き上がり、べったりと胸についた蒼真の吐精したものを手のひらですくう。 「まぁ、阿方さんのこと言えないんですけどね」  ずるりと中から抜いたあと避妊具を外した半藤はたっぷりと吐き出された白い液体の溜まりを蒼真の目の前に差し出した。 「えっ、すご、禁欲してるわけじゃないのに……」 「自慢にもならないけど、ボクは毎日阿方さんのこと想ってしてますし。何度だって抱けますよ。もう一回します?」 「ぜ、絶倫なのか?」  ふだんはサブスペースのまま寝落ちしてしまっているから、ベッドで抱き合ったあとの会話も心地いい。恋人ってこんなに幸せをもたらしてくれるのか、と蒼真は起き上がって半藤へ抱き着いた。 「サブスぺじゃない阿方さん、新鮮だなぁ。ふだんでも甘えてくれるなんて」  悦ぶ半藤は「でもゴムをひとつしか持ってなかったので……また今度にしましょう」と眠りにつくまで口づけを交わし続けた。

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