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キミのすべてを、受け止めたい・第2話-7
「阿方さんっ! ボクが迎えに来てるのに、どうしてボク以外の男に抱き締められてるんですか!」
「……キミ、阿方のパートナーか? こんなになるまで、どうして放っておいたんだ。間違いなくこれはプレイ不足だぞ。だからおれが助けてあげようとしたのに!」
「プレイ不足? だって阿方さん、調子悪いなんて言ってなかったじゃないですか」
「ご、ごめん……じぶんでも気が付いてなかったみたいで……。薬も飲んでなかったから」
那須は額を押さえながら、半藤のほうへ歩み寄る。
「おれたちは毎日が勝負だ。日々のコンディション不良がどれだけチームに迷惑かけることか──。それを含めてキミには阿方を支える覚悟があるのか?」
那須の声は低く響き、受け取った半藤はいっそう威圧的なオーラを強めた。蒼真を過剰に保護しようと那須に対して暴力的なオーラでディフェンス状態を作った。こうされたDomは守られたSubに手出しができなくなるらしい。
「いい度胸だな。おれに向かってディフェンス状態にするなんて。どんなSubもおれの手に掛かれば、穏やかに過ごせるんだよ。阿方が一軍に上がれるチャンスが来たっていうのに、こんな体調じゃ、違うメンバーと交代してもらわないとダメだ。キミの快楽や欲望のためだけに、阿方は存在しているわけじゃない!」
黒いオーラ同士がぶつかり、蒼真は全身の震えが止まらなかった。やめて欲しいのに声すら出ない。那須は想像していたよりも高いランクのDomのようで半藤を圧倒した。
「ふざけんな! 阿方さんはボクのモノだから、いますぐ離れろ!」
「うっ!」
グレアという威圧感の塊のようなオーラを半藤は発動させ、ランクの高いDomであろう那須を怯ませる。
「あぁっ、頭が割れるっ!」
ランクの高さは関係なく、激しい憎悪のグレアは相手を滅ぼす強さを持っている。それはDom相手だけでなく、パートナーであるSubに対してもだ。
「うわぁっ! な、なかふじ……っ! ごめんなさい……お、俺が悪いんだ……ちゃんと半藤の言うこと聞けなかったからっ!」
命令されているわけでもない。コマンドが叫ばれたわけでもない。
ただ半藤の怒りのグレアが蒼真を服従の姿勢を取らせた。ぺたりと地面へ座り込んだ蒼真は体がじりじりと熱くなってゆくのが分かる。
このまま半藤のグレアを受け取り続けたら、自分がどうなってしまうかも分からない。それに半藤だって一層、凶暴になってしまうはずだ。そんな彼を蒼真は見たくなかった。
言わないと。半藤と決めた「セーフワード」を──。
これ以上、半藤のグレアを受け続けたら那須も体に影響が出てしまうかもしれない。チームにとって大切な仲間を自分の私情で巻き込みたくなかった。
蒼真は使うことはないだろうと思っていた「セーフワード」を頭のなかで反芻する。言いたくないけれど、これ以上、全員が苦しむ場面を続けたくなかった。
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