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キミのすべてを、受け止めたい・第2話-8
「大丈夫か、阿方! おい、キミのグレアが阿方に入り込んで苦しんでるぞ!」
那須がへたり込んだ蒼真の頭を撫でようとした瞬間、半藤は拡声器でも使ったかのような大声を挙げた。
「触るな! ボクの阿方さんに!」
ハリケーンよりも強そうな真っ黒なオーラが撒き散らされて辺り一帯が深い念に包まれる。
「あぁっ! んっ」
半藤に会えなかった空白の時間まで埋めるように、半藤のグレアを蒼真の体はめいっぱい受け取ってしまうとびくんと腰が疼き、魚が跳ねるように背中を仰け反ってしまった。じわりと下着が濡れたような気がして蒼真はそこを両手で隠す。
「あぁんっ! ごめんなさい──。お、俺……こんな外で……どうしよう。いい歳して……!」
快楽とは違う。半藤から受け取った恐怖が蒼真を怯えさせて、勝手に失禁したようだった。
これ以上、半藤の怖さを知りたくない。優しく頭を撫でてくれる半藤に戻って欲しい。いっぱいいっぱい抱き締められて、「いい子ですね、阿方さん」とキスして欲しい──。
働かない蒼真の頭は、たったひとつのフレーズだけを提示する。
「GoodBye! 半藤……」
「え……阿方さ、ん?」
ぐったりと力が抜けて意識が遠のいてゆく。セーフワードを叫ばれたDomがどうなってしまうかなんて分からない。
蒼真は那須の足元に寄りかかると、耳のなかに届く音が消え、なにも聞こえなくなった──。
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