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キミのすべてを、受け止めたい・第3話-1
気が付くと蒼真の愛車を運転する那須の姿が視界に入った。
「えっ、那須さんが俺の車を運転してる……?」
「目が覚めたか」
運転中は眼鏡をかけている那須の横顔は凛々しい。差し込む街の明かりで影ができてミステリアスな雰囲気が漂っている。
窓の外は真っ暗で、繁華街のネオンが煌びやかに輝いていた。
「阿方のマンションとおれが越してきた部屋はわりと近いな。球団が用意してくれたところだから施設や球場を考慮した場所なんだろうけど」
ここは新宿か、と蒼真は小さく息を吐いた。半藤にセーフワードを使ったところまでは覚えているが、そのあとの記憶はない。あのあと半藤はどうなったのだろうか。
「うぅっ……」
半藤のことを考えると胸がつかえて、胃の奥からなにかがせり上がってくる。
「だいじょうぶか? その様子だとサブドロップの状態かもな」
那須がはっきりとした目鼻立ちの顔を歪めて、心配そうに蒼真の顔をちらりと横目で確認する。
助手席のシートに深く沈み込み、身を起こすことができないくらい体が重い。半藤がどうなったか、連絡をしたいけれどその気力は蒼真に残されてなかった。
「勝手にカーナビに設定されていた阿方の自宅に向かってるけど……ここで合ってるか教えてくれ」
新宿の繁華街を横切り、新宿御苑を超えた場所を車は進んでいた。徒歩で御苑に行けるマンションに住む蒼真は「合ってる」と力なく答える。ナビが案内を終了するアナウンスが流れ、那須は蒼真が指し示すとおりに駐車場へ車を停めた。
「降りられるか?」
かちゃりとシートベルトを外され、那須の大きな手のひらが背中を支えてくれる。
「……おれもさ、Domだから。阿方のそんな姿を目の当たりにしてしまうと構ってあげたくなっちゃうんだよな」
ぎらりと那須の鋭い眼光が蒼真の両目を捉える。
「それにここ、気持ち悪いだろ?」
さっき半藤のグレアが蒼真の内側に流れ込んだときに、濡れてしまった部分がまだ乾ききっていなかった。
「いけない子だな。外でお漏らしなんて」と那須は蒼真の濡れた生地を覆うように掴んだ。
「んっ! やめ、て……!」
いけない子、と言われた蒼真は条件反射のようにおしおきを期待してしまう。那須はパートナーではないというのに、Subの本能をうまくコントロールできずにすがりたい気持ちでいっぱいだった。
「欲しそうな顔をするなって。そんな表情をされるとおれの言うこと聞かせたくなるんだよ。体はものすごく敏感だし、表情は申し分ないしな」
べっとりと下着がまとわりついて気持ち悪いはずなのに那須の大きな手のひらでくるくるとその部分を弄ばれると少しずつ硬さを増してゆくのが分かる。
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