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キミのすべてを、受け止めたい・第4話-1

 ギシ、と音立てて半藤はベッドへ上がる。「もう、どうしてボクに連絡をくれなかったんですか」と覆いかぶさった。 「調子が良い時間が続きすぎていて、気づかなかったんだ」  鼻先同士が触れただけなのに声が漏れそうになる。まるでキスしているような感じ方だ。それに心臓がうるさくて半藤へ聞こえてしまわないか息を止めることに必死になった。 「Look! 阿方さん、ボクの目をしっかり見てください」  ふだんはゆるくひとつに結んでいる髪は慌てて駆け付けたせいか、無造作に乱れ、半藤の顔に影を作る。その憂いに満ちた表情があまりにも美しくて蒼真は喉を鳴らした。 「ん……半藤、来てくれてありがと」  半藤の瞳には蒼真自身が映って揺れている。半藤はまだ動揺している最中のようだ。 「もう……心配したんですよ。球団施設の駐車場でボク以外の男が阿方さんに触れているの見て……。それにSubの発作が出ていたようですし」  半藤の揺れる瞳は鋭い眼差しへ変わり「他のDomに助けてもらうなんて……とっても悪い子だ。ボクがしっかり躾けないと」と蒼真の顎を指で持ち上げた。 「あぁっ、ご、ごめんなさい! な、なかふじぃ……許して」  半藤に怒られるかもしれないという恐怖が半分で、どんなふうに躾けてもらえるのかを期待している自分がせめぎ合って体がぞくぞくと熱を取り戻す。 「アイツになにかされていないか、ボクがぜんぶ点検しますからね。隠してもすべて見つけます」 「な、なにもされてないから……俺のことをケアしようとしてくれただけなんだ」 「ボクを目の前にして、アイツを擁護するなんていい度胸です」と半藤はギリっと唇を噛んで覆いかぶさっていた体を離した。 「まぁ、いいでしょう。たっぷりお仕置きしたいところなんですが、まずは阿方さんのことを回復させたいので」  膝立ちで蒼真を見下ろす半藤は「Come!」と両手を広げた。  飛び込みたい、すぐにでも、あの両腕に抱き締められたい──。  あれだけ重たかった体は半藤のコマンドを聞いたとたん、ピシッと起き上がり半藤へ抱き着いた。 「わぁ、甘えん坊な阿方さんだ。よくできましたね……辛かったでしょう? ボクもちゃんと気遣えなかったこと、反省します」  半藤の両腕でしっかりとホールドされた蒼真に恐怖心はない。ずっとずっとこの腕のなかにいたいと願ってやまない。 「俺も……ちゃんと自分の体の管理ができなくてごめんなさい。半藤に嫌な思いさせちゃった」 「ボクのことを頼ってくれたなかったこと、それから思いっきりセーフワードを叫ばれたことには、かなり堪えました。阿方さんに嫌われたって塞ぎ込みましたよ。でもボクがグレアまで撒き散らして……阿方さんをもっと苦しませてしまったせいだから、その報いは当然です」  蒼真は半藤のグレアの強さを思い出す。それを受けたときに外で失禁してしまったことを伝えるべきか悩ましい。

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