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キミのすべてを、受け止めたい・第5話-2

「あぁっ、な、半藤……!」 「ちょっとリードを引っ張っただけなのに変な声を出さないでください。想像以上に蕩けた顔しているんで、ボクの理性が失われそうだ」 「だ、だって……引っ張られるとき、気持ちいいの。首がきゅっとなる」  すると半藤は立ち上がってリードをさらに強めに引いた。 「んぅーっ! ごめんなさ……い」 「どうして謝るんです。 なにも阿方さんは悪くありませんから。ただボクのパートナーとしてカラーを当たり前のようにつけただけですよ」 「ち、違う……んだ」と蒼真は床にぺたりと座って両太腿の付け根の間を押さえて半藤を見上げる。 「もしかしてカラー付けたから勃っちゃったんですか?」  蒼真は唇を噛んで「はい」と返事する。 「あれだけ気持ち良くなったあとなのに、ボクにカラーを付けてもらって、リードで引っ張られたら興奮したんですね?」  恥ずかしすぎて蒼真は目を閉じた。グレアを浴びたときのように瞬発的な快楽を得そうな感覚もあった。 「……目を開けて、阿方さん。ボクも同じ状態ですから」  そっと瞼を上げた蒼真は半藤の下半身に目をやると、しっかりと盛り上がってハーフパンツがきつそうにさえ見える。 「なんなら車に取りに行ったとき、カラーを付けた阿方さんを想像しちゃって……しばらく動けなくなったくらいです」 「だから部屋に戻ってくるのが遅かったのか」  蒼真がふっと笑うと半藤も同じ目線になるよう腰を下ろす。 「大好きです。蒼真さん──」  とつぜん名前で呼ばれた蒼真はまっすぐ瞳を覗き込んでいる半藤の顔を見つめた。きっと驚いた顔をしていたからかもしれないが、半藤は「いきなり名前で呼んでごめんなさい」と唇を重ねた。 「ボクだって蒼真さんに認識される存在になれたんですからいいですよね。ずっと憧れていたんですよ、蒼真さん、って呼ぶことを。亮之もいまのチームメイトもみんな自由に蒼真さんの名前を呼んでいるのが羨ましかった」  蒼真は、そんなこと断らないでも好きに呼んでいいのに、と自ら半藤へキスをする。 「んっ、蒼真さん?」 「好きだ、航希」  両手で半藤の頬に触れて強く唇を押し当てる。 「俺のパートナーになってくれて、ありがとう。ずっとずっと航希の隣から離れないから」  亮之が幸せそうに「さよなら、蒼真さん」と言って旅立った姿が遠くへ霞む。  隣の芝生が青く見える、とはよく言ったもんだ、と蒼真は溜息をつく。亮之が幸せそうに振舞っていただけだったのかもしれないと気づかされたからだ。恋に憧れていた蒼真の幻想で、幸せは自分で作りださなければやってこないことを半藤と出会って知った。  言葉にしなければ、何も伝わらない。  半藤に甘やかされたいときは、ちゃんと言おう。  半藤が限度を超えた命令や行動をしたなら、セーフワードを言う勇気を持つ。  しっかりと蒼真は胸に刻み、半藤にも伝えようともう一度だけ短いキスをした。 「俺たちはパートナーとして溺れないように支え合おうな。ちゃんと俺もして欲しいことを言うから」 「……もちろんです、蒼真さん。ボクが暴走しかけたら、止めてくださいね。でもそのあとはたっぷり愛してください」  わかった、と蒼真は胸に顔を埋めた。半藤の鼓動が聞こえる。とくん、とくんと一定のリズムが心地よい。 「甘えてくれる蒼真さん、とっても可愛い。ペアリングもカラーも付けた姿が愛おしくて仕方ないですね。これで蒼真さんの心も体もボクのものだって視覚で分かります」 「リビングの窓に映る自分の姿がさっきから目に入ってて、それがいちいち嬉しいんだ。ずっと憧れてた姿だってようやく気付いたよ」 「ほんとだ、とってもとっても似合ってます。Goodboy,蒼真さん──」  フローリングに押し倒された蒼真は「え、ここで?」と半藤に尋ねる。 「その姿のまま、したくなっちゃいました。寝室行きましょうか」  リードを軽く引っ張られて、蒼真は身を起こす。まるで飼い猫のように甘えたい気持ちでいっぱいだ。  乱れたベッドにふたたび押し倒された蒼真はこの夜のことを忘れたくない、とサブドロップへ落ちないように必死に意識を保つことで精いっぱいだった。

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