3 / 11
第3話 Tシャツ
俺たちの高校は、このあたりでも偏差値の低い所らしい。そんなの関係ないって突っ張って来たが、レベルの低い高校は周りを見回しても何の刺激もない。
田舎なので緊張感が無い。
警察から「高校生のカツアゲ事件」の注意喚起が来た。
警察官の言う事には、うちの高校は被害者が多いという。
つまりいつもカツアゲされていると言うのだ。
カツアゲは犯罪だが、被害者しかいないってのはダサすぎる。
「上田、どう思う?」
「いいんじゃない?ブラックリストに載るよりも。」
「上田の家は怖いんだよ。
知ってたら誰もカツアゲなんかしないよ。」
「やめろ、チビ助。」
「チビ助言うな!」
「ははは、ごめんごめん。」
放課後、部活に行くと揃いのTシャツが届いていた。S高サッカー部のロゴが入っている。色は鮮やかな黄色。
「へえ、早いな。費用はどうなるんだ?」
「寄付だって。だからいらない。
今度ちゃんとしたユニフォーム作った時考えようって、顧問が言ってた。」
上田がパッと学ランを脱いで、シャツもボタンを外して脱いだ。上半身裸になった。
「あ⁈ 何?これ本物?」
上田の腰に入れ墨が入っている。
「そうだよ、珍しいか?」
「初めて見た。」
衝撃だった。右側の腰から下に向かってタトゥーが見えた。下着の中に向かって続いている。
トライバル柄というのか、アラベスク模様というのか何だかセクシーな場所に彫られているような。
「すごい、何でこんなところに?」
俺は言葉が出ない。
着痩せして見える上田の身体は、すごい筋肉で引き締まっている。
(なんてセクシーなんだ。夢に見そうだ。)
上田はさっさと黄色いTシャツを着てしまった。隠された身体に残念な気持ちになる。
「佳央も早く着ろよ。真っ黄色ってのも悪くないな。綺麗だ。」
俺の頭から上田のウエストのあたりが消えない。ものすごくセクシーだ。エロ本の女の体よりずっとセクシーで忘れられない。
「なんだよ。あまり見んなよ。スケベだな。」
「違うよ、なんでもないよ。」
ともだちにシェアしよう!

