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第19話 夢?

 俺は帰って来て夕飯を食って風呂に入って部屋に引きこもった。写メを見ながら佳純を描いていく。あの、チラッと見えたお腹のタトゥー。  直に触ってみたい。撫で回してみたい。 また、妄想の世界にのめり込む。  俺は、話を作るのが好きだ。漫画家になりたかったのもそれだ。 ーーなんでこんな所にいるんだ? 向こうから佳純が歩いて来る。いつも自転車なのに、今日は歩きだ。そう言えばバイクの免許、取ったって言ってたな。 「今日はチャリないんだ。おまえの家に行こうとしてた。」 「ああ、じゃあ来いよ。 相変わらず汚い部屋だけど。」  佳純は家について来た。ーー  作り話だけどなんだか、面映い。眠ってしまったらしい。この続きを夢で見ていた。 「なんで佳純がいるの?」 「寝かせてくれ。部活でクタクタなんだ。」  ベッドに潜り込んで眠ってしまった。毛布を掛けてやろうとしたら、横を向いた拍子に腹が見えた。あのタトゥーのある脇腹。  思わず手を伸ばしてタトゥーを触った。 調子に乗って撫で回した。 (これは夢に違いない。俺の妄想と夢がシンクロしてる。)  パッと手を掴まれた。よくある夢落ち? 漫画だったらつまらない展開だ。 「どこ触ってんだよ!」  ハッとして目が覚めた。目の前に佳純がいた。 「おふくろさんが部屋に入れてくれた。 何の夢見てたんだ?」  佳純の顔が近い。 (ああ、これは,キスする? 少女漫画だったらここでキス、だ。) 「大丈夫か?」  残念ながら佳純は何事もなく離れていった。 「人の寝込みを襲うなんて、悪趣味だな。」 「襲ってねえし。おまえがいきなり腹、触って来たんだろ。」 「えっ?やっぱり触ってたのか。 イヤにリアルな夢だった。」 「興味あんの? ちゃんと見る?」  起き上がってシャツを脱いだ。意外なほど筋肉がついている。 「脱がなくていいよ。」  言いながら目が離せない。  

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