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第20話 腹筋
見事な腹筋だ。シックスパック。腰穿きの制服のズボンに引っかかっている。カッコいい下着が見える。
「おしゃれだな。派手なパンツ。」
「当たり前だろ。いつ,どこで、どんな時脱ぐかわかんねえんだからさ。」
女子に見られてもいいようにカッコいいのを選んでると言った。
俺なんか母親が買って来る、し○むらの2枚パックのトランクスだ。パンツなんて特に考えた事無かった。
「女の子は夢を持ってるんだ。
カッコよくなきゃ抱かせてくれねえよ。」
プハッ。俺は飲んでたコーラを吹き出した。
「佳純ってチェリーじゃないんだ?」
「順子とやったよ。おまえ、まだ童貞?」
16才で童貞って普通じゃないのか?
「この頃、グランドに女子が多いな。」
「吉田と佐藤がいつも数えてるよ。
今日は2万人、とか5万人とかな。」
「五万人?」
「そう、女子は一人でいちまんにんだろ。」
「ああ、そうか、納得。」
まったく男子校は馬鹿馬鹿しい事ばかりだ。
俺のバイブル、風と木の詩,みたいな美しい男子校はないのか。現実は美的ではない。
「誠、情報だけど、秋川たちが何でこの時期にウチに転校して来たか、知ってるか?」
「やっぱ、秋川は男が好きなんだって。」
「それで男子校!キモイな。」
秋川がゲイの噂は本当だったのか?
「佳純はゲイじゃないだろ。
順子さんと付き合ってたし。」
「ああ、俺はバイ、かもな。」
「えっ?」
佳純で漫画が描けそうだ。
秋川の存在にも創作意欲を刺激される。
「秋川はゲイじゃねえよ、たぶん。
女が迎えに来てたから。」
「それにしても美形だな。
一緒に来た花田もカッコいい。
ガタイが良くて頼りたくなる感じだな。」
やっぱり俺は男が好きなのか、と佳純を見ていて思った。横にいるこいつの一挙手一投足から目が離せない。
「佳純って誠とどういう関係なの?」
当たり前の事を聞き忘れていた。
「何で俺の部屋にいるの?」
「ああ、ちょっと寂しくなって、さ。」
「えっ?」
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