25 / 64
第25話 試合
「走れ!マークされてるぞ、気を付けろ!」
「戻れ、戻れ!」
シュートが弾かれてボールが戻される。
全力で花田が戻る。秋川も戻る。
ディフェンダーの誠と俺も緊張が走る。
「ゴール前、競り負けるな!クリアだ!」
ボランチの花田が佳純のカバーに入る。
相手チームのフォワードがドリブルで突破してくる。相手のウイングが走り込んでパスが出た瞬間、キーパーの河合しかいなかった。
シュートが決まった。線審が旗を上げている。
「オフサイド!」
「ふう、助かった。」
フォーメーションが以前より形になって来た。
アディショナルタイムも使い果たし、時間切れ。
ホイッスルが試合終了を告げた。
ベンチに戻って来て、
「はあー、俺が間に合わなかった。
ディフェンダーが遅い。得点になる所だった。」
結果、S高は負けてしまった。相手に取られた先制点のまま、1対0 だった。
高校総体はトーナメントで、負けるとそこで終わる。
「あーあ、また、来年だな.」
「これに勝って県代表で高校サッカーに出演出来ればカッコよかったのに。」
「頑張ればテレビに出られたかな?」
俺は見てしまった。佳純が唇を噛んで涙を隠した所を。
「佳純は泣くんだなぁ。そんなに悔しかったのか?」
意外に思った。いつも弱気な顔を見せないのにに、不思議だった。
部員も揃って、練習試合を重ねて来たんだ。
勝ち進んであと一勝で優勝だった。やっぱり、そんなに甘くない。それでも結構頑張ったんだ。
もしかしたら、勝ってお正月のテレビに出られたかもしれない。
この所、みんないつになく頑張っていた。
学校に戻ってミーティングしていると、あの軽音部の奴らがやってきた。
「残念だったな。こんど俺たちのライブがあるんだ。見に来いよ。」
嫌がらせでなく、心から慰めてくれるようでなんだか和んだ。
俺は佳純がユキに会いたがってたのを知っている。
「やあ、会いたかったよ。
試合期間は顧問に止められてたから。
遊べなかったよなな。」
(ああ、やっぱり。
佳純はユキが好きなんだな。)
ともだちにシェアしよう!

