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第27話 汗

 走り込んでいる。練習マッチで試合と同じポジションをやる。  何度も何度も相手ゴール前から自分の守りに戻る。連携しながらもディフェンダーは一人で守らなくてはならない。2チーム出来るほど人数がいない。 「声出して行こう!」 「戻りが遅い! それじゃあ、突破されるぞ。」 「何で秋川と花田がツートップで攻めてくんだよ。ディフェンダー俺一人かよ。」 「河合がいるだろ、キーパーが、よ。」 「キーパーも出て来いよ。 一人じゃ身が持たない。」  ホイッスルが鳴った。顧問の杉山が吹いた。 「練習マッチ終わりだ。その辺にしておけ。」  走り込んできた佳純が汗だくだ。 誠がタオルを俺に投げた。甲斐甲斐しく佳純の身体を拭く。  佳純の汗が光る。俺の心臓が持たない。Tシャツを脱いで惜しげもなく裸になる佳純。あの腰のタトゥーが見えている。  汗が伝う形のいいヘソ。触りたい。 「タオル、もういいよ。ありがと、な。」  首にかけているタオルを持って帰りたい。 俺は佳純にだけ変態度が増すようだ。  佳純の汗の匂いが好きだ。誠が乾いたシャツを肩にかけてやる。 「風邪ひくよ、佳純。」  二人の阿吽の呼吸が切ない。 「腹減ったなぁ。ハンバーグが食いてぇな。」 「あ、佳央のお母さんのハンバーグ、すげえ美味かったな。」 「食ったことあんのかよ。」 「ああ、この前ご馳走になったんだ。 超美味かった。」  俺はおふくろに電話した。 「今夜の飯、ハンバーグ出来る? 追加であと二人分。  え、無理? 材料がないって? そうか、じゃあしょうがないな。  え、肉じゃがならあるって?」 佳純が 「いいねぇ、肉じゃが。行ってもいいのか?」  うちで晩飯を食うことになった。 家の近くにある花屋で可愛い花束を買った。 佳純がモテるのはこういう所だな。 「あら,ありがとう。花なんてもらうの、久しぶりだわ。」  おふくろの声のトーンが一段高くなる。

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