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第30話 今の時代のロック
荒削りでこなれてない。アマチュアくさいバンドだった。結跏趺坐は言いにくいので蓮華坐に変わった。
「たった今バンド名が決まった俺たち、
蓮華坐(れんげざ)です。よろしく!」
ユキがマイクを佳純に渡した。ユキのギターがいい音を出す。鏡也のベースがリズムを刻む。
力いっぱい、迫力あるドラムが引っ張る。
キーボードがメロディを奏でる。ジローのピアノは本当に奏でる、と言う感じ。
しばらくイントロダクションが続いている。
佳純のボーカルが入って来た。
ギターの音が引き立てる。
綺麗な愛の歌を歌い始めた。だんだん強くなってやがてシャウトするように声が大きくなった。
綺麗なだけじゃない、男らしく強い声がたたみかけてくる。
思わず聞き惚れてしまう。曲が美しいのだ。ピアノの音。
長い一曲が終わって、みんなボォーッとしてしまった。音で翻弄された。曲に物語があった。
佳純のMCになる。
「どーも。メンバー紹介します。
ギター山口幸洋(やまぐちゆきひろ)
ベース佐伯鏡也(さえききょうや)
ドラム大塚雅(おおつかみやび)
キーボード加藤二郎(かとうじろう)
そしてボーカルは上田佳純(うえだかすみ)です。」
ギターのイントロが始まった。
静かに始まる。ツェッペリンの天国への階段、のオマージュか。オーナーの喜ぶ顔が見たくてこのイントロにしたのか?
佳純が歌う日本語の歌詞が心に入って来る。
「いいねぇ、色っぽい、艶のある声だ。」
俺も佳純の歌う声に引き込まれた。シャウトするのもいい。しかし静かなバラードが聞かせる。
誰もが切なくなって、誰もが抱かれたいと思う、そんな佳純の声。
(ヤバい!みんな佳純に惚れちゃう。)
思わず誠を見た。誠が俺をドヤ顔で見ている。
自分のものだ、と言うように。
汗が飛び散るたびに女子の嬌声が飛ぶ!
「かすみーっ!」
こんなにカッコいい男を他に知らない。
「最後に愛を歌います。
みんなに届け!」
掠れた声がセクシーに響く。
「おまえが欲しい!」
こんな声でこんな事をいわれたら、死ぬ!
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