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第31話 佳央の母
佳央の佳は佳純の佳だ。読み方は違うけど同じ字を使う。そんなことが嬉しく感じる。
乙女になってしまった。
(は、バカだな。佳純の顔以外何も描きたくない。描いても描いても佳純のカッコよさには程遠い。
「はーあ、ダメだ。何も集中出来ない。」
ドアにノックの音。
「佳央、ちょっといい?」
おふくろが入って来た。
「何?」
「母さんは何があっても佳央の味方だからね。
たとえゲイになっても反対したりしないから。」
「えっ?何言ってんの?誰がゲイだって?
誰の事、言ってんの?」
「あの,上田くんがあまりにも素敵だから。
佳央は彼が好きで悩んでるんだと思ったのよ。
理解ある母親でいたいからね。」
「はあ?バカじゃねえの。
なにかそんなドラマが流行ってんの?」
「違ってたらいいのよ。
佳央一人で悩んでるのかと思って。」
おふくろの思い過ごしだ、と笑った。しかし、心に隠していた感情を突き付けられた気はしている。
「俺、彼女とかいるから。北女子校の娘。
この前、告られて付き合う事になったんだ。
俺はノーマルだよ。母さん、心配すんなよ。」
「そう、それならいいけど。」
「佳純が母さんの肉じゃが,美味かったって。
また、頼むよ。」
「ええ、褒められて嬉しいよ。
また、ご飯に呼んで。今度はハンバーグ作るわ。」
俺は母親と良好な関係だと思う。親不孝もした事は無い。たいして親孝行もしてないが。
それでも、痛い所を突かれた気がする。頭の中から佳純が消えない。日々、気持ちは募る。
(おふくろ、鋭いな。俺は佳純が好きだ。
言霊は声に出したら現実にはなる?
もう遅い。この気持ちは止められない。
でも、それでどうにかなるわけじゃ無い。)
北女子校の沙也加という娘から連絡が来た。
「デートしよっ。
あたし達付き合ってるんでしょ?」
あの一件で終わったと思ったのにまだ続いてたんだ? 俺の認識不足?
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